英国幻想蒸気譚2 ブラッドレッド・フォルクール /白雨蒼



英国幻想蒸気譚II -ブラッドレッド・フォルクール- (DENGEKI)【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
19世紀末の英国を舞台に、機械じかけの怪物との戦いを描くスチームパンク第2弾。
前巻とあわせて上下巻のような構成なんですね。
登場人物それぞれの因縁の相手との決着。
随所に切ない場面もあったけれど、オーバーテクノロジーな機械だらけのアクションは縦横無尽な躍動感があり、とても面白かったです。

☆あらすじ☆
蒸気機関革命のロンドンで繰り広げられる正統派スチームパンクアクション!
シャーロック・ホームズの助力の元、トバリたちはヴィンセントの口より世界の裏側で暗躍する錬金術師たちの戦いを知ることとなる。
そして古から連綿と続く錬金術師たちの闘争に一石を投じるべく、彼らはパラケルスス、そしてセンゲとの再戦を決意する。 しかしロンドンの地下には、彼らの決意と覚悟をも容易く踏みにじる悪意が渦巻いていて——。

以下、ネタバレありの感想です。

 

ロンドンで暗躍するパラケルススとの決戦が迫る中、情報を求めるトバリたちが転がり込んだのはベーカー街221B。

名前だけは既に出ていたシャーロック・ホームズが満を持して登場です。

ヤク中設定に少し可哀想な理由付けがされているのが特徴的ですが、変人であることには変わりない様子。
そんなホームズ関係のキャラクターはなんなか楽しいことになっていました。
ホームズが霊媒体質で反魂香を焚いてたり、アイリーン=アドラーが美少女精霊でホームズとラブラブだったり、ワトソンくんがレヴェナントをホームズごと凶悪銃器で蜂の巣にしようとしたりとか。
特に最後のやつは容赦なさすぎて笑う。ホームズとワトソンのバディっぷりは本作でも良い感じですね。

 

それはさておき、本題はパラケルススの目的とそれの打倒。
クトゥルーな雰囲気を帯びつつ語られるのは、業の深い錬金術師の狂気に満ちた理想ーー だったはずが、その先に待っていたのは「安っぽい三文芝居」のようなどんでん返し。

うーーーん、2巻序盤からそういう雰囲気はあったけれど、なんとなく外れていてほしかった黒幕の正体でした。
だってこれじゃあエルシニアが救われない。自分が愛したものが幻想でしかないというのは、とても残酷なことだから。

 

一方で、その黒幕登場によって予想外な幕切れとなってしまったのが、トバリとセンゲの因縁。
トバリのセンゲに対する想いも、センゲのトバリに対する想いも、愛憎入り乱れて余人の理解を許さないところがとてもエモくて好きです。
二人にしか分からない感情があって、互いにすら伝わらない想いがある。
トバリが英国まで追かけてきた本当の目的も切なくなるんですよね。
怒っているし憎んでいるけれど、家族だったし愛していたんだよなぁ・・・・・・
そう思うとセンゲの最期にやりきれない気持ちになります。せめてトバリの手で終わらせていたらマシだったのに。

それでもセンゲがトバリに託したものが、最終決戦で見事に花開くというのが良い。
なんだか、トバリとセンゲの想いが少しだけ報われたような気がして。

 

そんな最終決戦。
私の中の厨二心とスチパン好きを刺激すぎだよ、このバトル!
登場するギミックや兵器がメカメカしくてド派手で上下左右に視点を揺さぶられる感じがめちゃめちゃ楽しかったです。
トバリとエルシニアの即興連携プレーも格好良かったし、さっさと退場して良いところで戻ってきたイケオジ伯爵もキュートでした。

 

でもこれでトバリも伯爵もエルシニアも長年の目的を達成しちゃったんだよな。じゃあ請負屋は解散か・・・?

 

と思ったらなんだか続きそうなラスト。
話は綺麗に終わっているのでシリーズとして3巻が出るのか不明ですが、これからも騒がしいに違いない彼らの蒸気的な日常に思いをはせつつ、続きを気長に待ちたいと思います。

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