イレーナ、永遠の地 /マリア・V・スナイダー



イレーナ、永遠の地 (ハーパーBOOKS)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★★
2019年10月刊。
「毒見師イレーナ」から始まる、イレーナの過酷な運命を描いた物語もついに最終巻。全6巻で完結です。
愛する人と出会い、頼もしい仲間を得て、彼らとともに平和を勝ち取ろうと懸命に駆け抜けたイレーナ。

毒見をするか、今すぐ死ぬかーー

そんな選択肢を突きつけられた元死刑囚の少女が、生きてここに至るまでの軌跡を思い返し、なんだか感無量です。
とても素晴らしいファンタジーでした。ラブロマンスとしても最高だった。
最後まで刊行してくれたハーパーBOOKSさんに感謝。完結おめでとうございます。

☆あらすじ☆
世界累計100万部突破の壮絶ファンタジーシリーズ完結!運命はいつだって、この手で切り拓いてきた――
長年敵対してきた2つの国、イクシアとシティア。
両国はいま、支配欲に駆られた悪しき集団《結社》の手に落ちようとしており、最高司令官さえも操り人形と化していた。
いまだ魔力の戻らぬ中、イレーナは未来を、大切な人たちを守るため最後の闘いへと向かう――ヴァレクら残されたわずかな仲間と共に。
死刑宣告を受けながらも毒見師として生きながらえたイレーナの壮絶サバイバル、堂々のフィナーレ!

以下、ネタバレありの感想です。

 

最高司令官を操り、再びイクシアとシティアの間に戦火をもたらそうと暗躍する《結社》。
薬物と魔術によって上層部が次々と洗脳されていくなか、イレーナやヴァレクたち抵抗勢力は命がけで人々を取り戻そうと奔走していた。
しかし妊娠中のイレーナは魔術が使えず、逆に魔術を使えるようになったヴァレクは経験不足。
イレーナたちを狙う暗殺者、《結社》側が対魔術師のために用意した奥の手など、問題は山積みのなか、イレーナたちは勝機を見つけようと必死にあがくのです。

 

壮絶サバイバルのラストを飾るに相応しい、最初から最後まで緊迫の展開が続く完結巻でした。
相変わらず各章の引きが強烈なんですよね。
最終巻は今まで以上に視点人物が増え、もはや群像劇の様相を呈していたのだけど、毎度毎度「えっ、そこで切るの!?続きは!?」となる感じで次の人にバトンタッチするんですよ。
海外ドラマとかこんな感じだよなぁって思いながら、まんまと策にはまって一気読みしてしまいました。

 

視点人物はたくさんいるのだけど、やはり一番気になるのはイレーナの状態。
なんといっても妊婦ですから。
海外小説の妊婦は元気が良すぎるんだよな・・・と、別作品のことを思い出しながら、妊婦とは思えない切った張ったを繰り広げるイレーナにヒヤヒヤしてしまいました。
妊娠発覚から半年間ずっと戦い続けていたのでは?いや、待機期間も結構長いので「ずっと」とは言えないかもしれないけれど。
お願いだから大人しくして!という周囲の悲鳴が聞こえてきそうでした。ぜんぶ無視するんだけど。イレーナだからね!

 

そんなイレーナの赤ん坊も、未だ胎児なのに大活躍。
魔力を吸収している・・・かもしれない?くらいの曖昧な根拠で戦力にカウントされるベビー。
それくらいイレーナたちが追い詰められているということなのだけど、生まれる前からこれでは成長したらどんな波乱の運命を用意されるのか。
イレーナとヴァレクの娘が平穏な人生を歩めるとは思えないけれど(両親から受け継ぐであろう性格的にも)、いつか成長した彼女の物語も読んでみたいものです。

 

そして今回最も目立っていたのは、パパになったヴァレク。
イレーナも体を張っていたけれど、ヴァレクはそれ以上に果敢に火中に飛び込んでいた気がします。
そして過去最大にボロボロ。妻子を守るため、もはや気力だけで動いていた感じ。格好いいなぁ。
でも疲弊してベッドで昏睡するシーンが多くて、彼がちゃんと最後まで生き残るのか心配で死にそうでした。

 

個人的には、このシリーズを通して一番印象が変わったのはヴァレクなんですよね。
初期は油断ならない暗殺者だったし、中盤はイレーナがピンチになると現れる神出鬼没な助っ人キャラ(タキ●ード仮面みたいだってずっと思ってた)。
それが終盤では過去に残した心の傷を見せてくれたり、最高司令官との友情に苦悩したりと、彼が隠していた弱い部分がわかるようになって。
更にはイレーナに「過保護すぎ!」って怒られるくらい心配性の顔を見せたり、妻子のために無謀な役目を引き受ける頑張るパパになったりするんですよ。
ほんと人間的魅力がカンストしてる。このシリーズで一番好きなキャラでした(あ、ジェンコと悩むかも)

 

そんなヴァレクが、イレーナと感動の再会を果たした瞬間は、もう胸がいっぱいで・・・・・・

ヴァレクは笑ってわたしのお腹に手を置いた。「君ーー」
「言葉に気をつけて」と言ってじろりと睨む。
「記憶よりはるかに美しい」
「うまく立て直したわね」

このやり取り、不意打ちすぎてめちゃめちゃ笑いました。
あと出産シーンの「意外と重いな。君がーー」「言葉に気をつけて」「ーー辛かったのもうなずける」も好き。
めちゃめちゃ嫁の尻にしかれてるよ、この暗殺者!
これからも言葉には気をつけなきゃいけませんね笑

 

でも、開戦の緊張、妊娠の不安、魔力の喪失など、苦しい状況のなかで疑心暗鬼になり、互いを心配するあまり傷つけ合ったこともある二人が、こんな穏やかな会話を交わせるようになったのは、とても嬉しい。
緊張感にあふれるラストバトルだっただけに、最後のイレーナとヴァレクの呑気で仲良しなやりとりに心が洗われました。
これが平和だ。彼らはこれが欲しかったんだ。
いつまでもこの平和が続きますように。
そしてイレーナと仲間たちが末永く幸せに暮らせますように。

 

「わが軍団はそれぞれが好きに行動するが、わが家がどこかはちゃんとわかっている」

ジェンコ、最後の最後に素敵なことを言っちゃって。大好きだ!

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