紗和国竜神語り 麗しの公達に迫られても、帝になれません! /伊藤たつき



紗和国竜神語り 麗しの公達に迫られても、帝になれません! (角川ビーンズ文庫)【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2019年10月刊行。
竜神に支配された国を舞台にした和風ファンタジー。
突然本当の身分を明かされ女帝候補となった庶民育ちの少女が、教育係兼夫候補の青年たちを相手に奮闘しつつ、竜神の求める答えを見つける物語です。
気まぐれな竜神に生殺与奪をがっちり握られた国という舞台設定が面白かったです。
ただ、主人公をはじめ登場人物のキャラ立ちがやや弱く、話の筋も少し定石通りすぎたかな・・・・・・
でも今後の展開次第では盛り上がりそうな気もするので、続刊に期待したいと思います。

☆あらすじ☆
竜神に選ばれ、公達に迫られて、帝にならないと国が滅ぶなんて!?
竜神と女帝との契約で、雨の恵みを受ける紗和国。貴族の館で働く緋蝶に帝から迎えが!? 次の帝として竜神と契約し、雨を降らせて欲しいという。けれど帝教育をする花賢師と呼ばれる公達たちは、くせもの揃いで!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

物語の舞台は、竜神により雨の恵みを受け、竜神と契約した初代女帝の血をひく女性のみが「雫花帝」と呼ばれる皇位を継ぐことが決まっている紗和国
そんな紗和国では、当代の雫花帝の子が男子一人のみであったため竜神が怒り、ここ一月ほど日照りが続いていた。
世の中に少しずつ混乱が生まれ始めるなか、貴族の屋敷で働く少女・緋蝶は帝から自分が出奔した皇妹の娘であることを知らされる。
唯一の皇女として「花蕾東宮」となり、次の女帝になるよう言い渡された緋蝶。
断れば命はなく、また、無事に試練を乗り越えれば行方不明の兄の居場所を教えるという取り引きを受け入れ、緋蝶はまずは「花蕾東宮」として正式に認められるべく教育を受けることになるのだが―― というストーリー。

 

この話の第一印象は「なんだか取り引きの多い話だなぁ」というものでした。あと人の命を盾にとった脅しが多い。
当代女帝とか、おっとりした女性なのに言い分がとても押し付けがましくて気になるんです。
緋蝶に「あなたが帝にならなければ国が滅びるのですよ」といったり、息子に「あなたが協力しないと緋蝶も民も死ぬんですよ」とかいったり、なんかもう、責任転嫁すごいな!って。
変な国なんですよね。人の命を取り引き材料に使う話自体は別に珍しくもないのだけど、この国の場合その全ては竜神に端を発している。
だから命を弄ぶ気まぐれな竜神とは縁を切り、女帝も廃止してしまえ!という暁の言い分を至極真っ当に感じます。
まぁ最初に取り引きを持ちかけているのは初代女帝なので、人の都合で神様を振り回すのもどうかという話かもしれないけれど。

 

で、そんな変な国のトップに立てと強制された主人公・緋蝶。
超前向き人間という評のある女の子ですが、今の所そこまで強い個性は感じないかな?
自分で選択したとはいえ脅されて敷かれたレールの上を必死に走っている感じがあるので・・・・・・色々と誘導されてるというか。
そこから脱してほしいなー。私は神の思惑を超える主人公が見たい!

 

緋蝶の周囲には5人の男性が教育係兼夫候補として登場するのだけど、恋愛面についてはまだそんなに動きがない感じ。
今回は仲間として絆を結んだところで終わりましたし。
逆ハーな雰囲気だけど、暁がメインヒーローと見ていいのかな?

 

彼らを巡っては陰謀と裏切りも描かれるのだけど、ここはセオリー通りな展開に見えました。ベタともいう。黒幕の正体とか。
それよりも惜しかったのは、女帝教育を受けてテストに合格するぞ!という話だったのに、実際に教育を受けるシーンもテストの内容もほとんど描かれなかった点。
まぁこれは関係崩壊危機と竜神の問いだけが重要だったからなのかもしれないけど・・・・・・
でもせっかくヒーロー5人がそれぞれ別の分野を担当しているのだし、それぞれの担当科目を通して緋蝶と絆を深めてほしかったんですよね。今後に期待していいのでしょうか。

 

不満げな感想になったけれど、長い物語の始まりを予感させる内容だったので続きに期待します。

 

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