ダンジョン・ザ・ステーション /大泉貴



ダンジョン・ザ・ステーション (LINE文庫エッジ)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2019年10月刊。
怪物はびこる迷宮と化した新宿駅。
行方不明になった妹を探すため、迷宮へと乗り込んだ少年の冒険を描くファンタジーです。
変質した新宿駅構内の描写が面白かったし、主人公を取り囲むメンバーも個性豊かで魅力的だったと思います。
続刊予定のシリーズらしく、まさに冒険の始まりを描いた第1巻という趣。
今後に期待したいと思います。

☆あらすじ☆
迷宮と化した新宿駅で繰り広げられるダンジョンファンタジー、ここに開幕!!
迷宮主(イニシエーター)を名乗る謎の人物の宣言により、突如新宿駅は、底の見えない巨大迷宮と化した。
そこには駅員(ガーディアン)と呼ばれる危険な怪物も出現。
国は迷宮駅攻略のために探索員制度を制定するが、どうにも個性的な強者ばかりが集うように。
最強の殺し屋聖女、常に眠い魔法使い幼女、元救世主のステゴロヤクザ、謎多きアイテムコレクター。
そしていま、行方不明になった妹を探す少年が一人、混沌とした物語に足を踏み入れる。
迷宮駅の大いなる秘密をその手に携えて。
新宿駅で繰り広げられる果てしなき冒険譚が––ここに始まる。

以下、ネタバレありの感想です。

 

行方不明の妹・つかさを追って、本物のダンジョンと化した新宿駅改め迷宮駅へと足を踏み入れた少年・薬王寺ユウ
新宿駅探索の免許を取得したものの、探索者としては新人であり、早々に窮地に陥ってしまうユウ。
そこに現れた「紅血の聖女」神楽をはじめとする探索者たちと巡り会い、ユウは彼らの協力を得ながら妹の手がかりを求めてダンジョンに潜ることになるのです。

 

駅をベースにしたダンジョンものということで、登場する敵やアイテムなどは駅由来のものが多い本作。
見慣れた言葉が全く違う使われ方をしている様子はなんだか不思議な高揚感を伴うものですね。こういうロー・ファンタジーって楽しくて好き。
特にスイカのチャージが命綱っていう設定は、そのまますぎて笑うのだけど、緊迫感が全然違うのがまた楽しかったです。
ドローンで遠隔攻撃してもチャージできるっていうの、なんかクレカ経由のチャージみたいで便利だよなぁ。

 

さて、そんな魔境と化した新宿駅に乗り込んだ新米探索者のユウ。
彼が抱えていた大きな秘密こそ、この世界観のキモであり、重要な謎でもありました。

 

なぜユウは誰も知らないスイカの使い方を知っていたのか。
なぜ迷宮駅はユウが幼い頃に書いた小説にそっくりなのか。

 

妹の行方を追う中で、ユウ自身すら知らない様々な秘密が明らかになっていきます。
その秘密をユウは迷宮で出会った仲間たちと共に知っていくことになるのだけど、この仲間たちがまたクセ者揃い。
元殺し屋のシスター、銃弾すら拳で殴り止めるヤクザ、謎の異世界転生魔法少女、なんだかやたら玄人っぽい自称後輩女。
それぞれが主役を張れるような事情を抱えていて、もはや各人の設定が渋滞を起こしている。それでもスルッと頭に入ってくるのはベテランの技ですね。
個人的には都市伝説から飛び出てきたヤクザが一番好き。ドスをきかせてもツンデレ呼ばわりされる年長者・・・・・・

 

そんな濃いメンバーの内情が語られていくなかで思うのは、駅という場所はたくさんの人生が交錯する場所なんだよな、ということ。
すれ違った人の数だけ物語があり、それぞれが主役をはる人生がある。
迷宮駅が誕生するほど不思議なエネルギーに満ちていると言われるのも納得。
そこを通る人の人生の数だけドラマもあるし、冒険だってあるでしょう。

 

今回描かれたのは、あくまでその触り程度なのかな、と。

 

ユウの目標は未だ解決しきらぬまま、冒険はまだまだ続きます。
その中で、ユウ自身はどんな物語を描いていくのか、また、仲間たちのどんな物語を知っていくのか。
今後の展開が楽しみです。

 

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