ただし少女はレベル99  出屋敷市子シリーズ1 /汀こるもの



ただし少女はレベル99 出屋敷市子シリーズ (講談社ノベルス)【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2014年2月刊。
『五位鷺の姫君、うるはしき男どもに憂ひたまふ』(メディアワークス文庫刊)が面白かったので他の作品も読んでみようということで、読んでみました「れべきゅー」シリーズ第1作。
不思議な能力と存在感を持つ女子中学生・出屋敷市子を中心に、彼女の周囲で巻き起こる騒動を描いていく連作短編。
実在の人物・作品名が怒涛の如く垂れ流される天狗の早口オタトークに思わず笑い、サブカル薀蓄で殴られつつも異様に分かりやすい例え話に思わず身体が前のめり。夢中になって一気読みしました。
てかこの妙ちきりんな中毒性、まんま五位鷺の読み味じゃん!すごい!同じ作者だ!(当たり前の感動)
これは他のシリーズも追いたくなりますね。とりあえず「れべきゅー」を読破しよう。

☆あらすじ☆
学校で出屋敷市子は「カッパー」と呼ばれている。彼女のまわりではありえないことばかりが起こるからだ。だからカッパー、デビッド・カッパー・フィールド。同級生の葛葉芹香が撮った写真に偶然写りこんだ市子は、その写真を消去するようにと芹香に迫る。消し忘れているうち、小さな幸運が次々と市子に舞い込むが、それは凶事を呼び込む幸運の無駄遣いだった……。博学天狗にもふもふ狐ほかも登場するオカルティックファンタジー。

以下、ネタバレありの感想です。

 

デビッド・カッパーフィールドって誰やねんって思ってググったらマジシャンでした。そこはプリンセス天功で例えてくれないと。

さて、そんなプロマジシャン顔負けの超常現象を引き起こす女子中学生・出屋敷市子
写真にすら映らないと言われる彼女の姿を、ちょっとした偶然で携帯カメラに収めてしまった葛葉芹香は、その日から不思議な幸運に見舞われる――

この話、突然人死にが出た段階でギョッとしつつ過剰な幸運のツケを友だちが払ったのかと思ったらそうじゃなかった。
なにげにニコニコしていた大雅パパが一番怖いのでは。
市子を守る護法たちのやり方がヤンデレめいているのは何なのでしょうか。
オタトークすごい(鬱陶しい)けど溝越さんの飄々としたスタンスの安心感がすごいです。
この天狗、私の中のイメージは40後半くらいのイケ枯オジなんだけど、表紙見るともうちょい若いっぽい感じかな。現代のテクノロジーに精通した戦時生まれの天狗。もうこれわけわかんねぇな。好き。

そういえば一番最後の話のことを考えると、この第一話って時系列的にはどこの話になるんだろう。
携帯電話は溝越さんが回収したはずでは?
助六のいう「初期の茶番」がこれってことなのか。

 

市子と芹香がぎこちなくも友達関係を育みつつあってニコニコしちゃいますね。
そんな少女二人の団らんに割って入った男子中学生・氷室。狐に呪われている彼の助けを市子は断ってしまうが―― という話。

この話は現代伝奇ホラーっぽくて楽しかったです。
市子が当初断った理由もすごく納得がいくもので、なんというか、超常の世界も独立しているわけではなく現世と地続きだし、どこに行ってもしがらみは存在するのだなぁ、と世知辛さを感じたり。
市子は何でもできるけれど、だからこそ何でもしないように制約が必要なのでしょう。
それはどうにも窮屈そうで、同級生の家を吹っ飛ばして爆笑する姿に致し方ない気持ちになってしまうのです。

この話あたりから、市子が超常カッパーな側面以外の可愛さが見えてくるんですよね。
友達との会話の内容を父親にお伺いたてるチート美少女って、何か変なヘキに目覚めそう。

 

伏線だらけやんけ!
叙述トリック的で普通にミステリーを読むように楽しめた1本。
「A型同盟にハブられた少女」のくだりをおじさんが語り始めたあたりでワクワクが止まりませんでした。

しかしこの話でちょっと明かされる市子の過去が壮絶っぽいのだが?
護法は市子の味方ではないのがよくわかるというか。溝越さんも戦犯ってことは宗教上の理由でやせ細っていたということなのか。

あと、女子中学生相手に心理テストで知識マウントを取ってくるおじさん、普通にドン引きで笑いました。よかったな、相手が市子で。同類だから。

 

突然のループ!?しかも日本沈没の危機!?と驚愕した1本。

市子の運命を知って絶望した大雅パパによるループ・ループ・ループ。
新米パパの奮闘と本音に思わず泣きそうになったのだけど、それはそれとして助六のヤンデレっぷりにときめきが止まりません。この狐、ノーマークだった。とても好きになりそうな予感・・・!

この話はSFでオカルトでループで闇鍋な感じがとても楽しかったです。
セカイ系にガチギレする溝越さんに笑った。たしかにな!
でもその「世界なんか知るか!一般市民なんか知るか!キミとボクが幸せならそれでいい!」っていうエゴ丸出しで特別感のあるストーリーが良いんじゃないか!笑(そしてサブタイにひやりとする)

ところで本作って実在の人物・団体・作品の名前がこれでもかと出てくるのだけど、唯一「浦安にあるアミューズメントパーク」だけネズミとかランドとかシーとか言い出して、これにも笑いました。
権利関係で尻込みしたというより、それについては名前を出してはいけないのだというムーブに強いオタク仕草を感じた。

それとジップロックは万能の袋だよね。わかる。

 

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