86―エイティシックス― Ep.7 ミスト /安里アサト



86―エイティシックス―Ep.7 ―ミスト― (電撃文庫)【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★★
2019年9月刊。
ラブコメ好きとしては★を10個でも100個でも1000000000000000個でも差し上げたい。
湯けむり旅情で慰安旅行で修学旅行でニヤニヤ止まらぬラブコメ回でした。
新章の始まりでありながら、最初から最後まで戦場から遠く離れ平和に息抜きを満喫する第7巻。
普段が精神的負荷最大値の戦争ものだから、こういう日常回には果てしなく癒やされます。オンとオフのギャップが良いのだ。
ていうか、やっぱりこのシリーズの恋愛パートめちゃめちゃ好きだ・・・!

☆あらすじ☆
ひとときの休暇は、新たなる戦いの予感を連れて——〈盟約同盟〉編!
上位指揮官機〈無慈悲な女王〉。それは対レギオン戦争で守勢に立つ人類に与えられた“銀の弾丸”。『第86独立機動打撃群』の活躍で〈彼女〉の確保に成功した連邦・連合王国は、轡を並べる第三国「ヴァルト盟約同盟」にて、その解析と「尋問」を開始する。
一方、大戦果を上げた者たちにも報奨が授与された。特別休暇。鉄と血にまみれた日々を、僅かひととき遥か遠くに置き、シンとレーナはじめ皆はそれぞれに羽を伸ばす。が、同時に《その二人以外のほぼ全員》はある思いを共にしていた。
それは。“お前らいい加減、さっさとくっつけよ”
もう一つの戦線がついに動く(!?)Ep.7!

以下、ネタバレありの感想です。

 

頑張りすぎた少年少女に慰安旅行をくれてやろうという、ということで与えられた特別休暇。
てか休憩中に悪だくみごっこするおじさんたち、ちょっと可愛すぎでは・・・?

 

そんなわけで、今回の舞台はヴァルト盟約同盟の温泉施設。
初っ端から混浴風呂でダラダラと能天気で騒がしい会話が繰り広げられ、めちゃくちゃ笑ってしまいました。
女子どものサイズ比べに聞き耳を立てる(不可抗力)男子どもの構図、最高にひどすぎて転がった。
なんかもうさ、エイティシックスたちが戦場から離れた場所で平和にじゃれ合ってる姿を見るだけで癒やされるんですが。
なるほど。精神衛生上のケアが必要だったのね。読者もね・・・!

 

で、年頃の男女が集団で旅行に行き、なんとなく時間を持て余したらすることと言えば恋バナでしょう(偏見)
もじもじしているレーナとシンを眺めつつ、しゃあねぇサポートしてやるか・・・と一致団結する仲間たちの絆が愉しかったです。
探検時とかパーティでの全然さりげなくないアシストとか笑った。わざとらしすぎる!あ、そこもわざとか!
すごい出歯亀っぷりなんだけど、あの二人を見ていると背中を突き飛ばしたくなるのも分かります。
今まで二人がどんな感じで進展していったのか全員知ってるわけだし(その共有ぶりホント笑う)、それなら最後まで面倒見てやろうと思うのも仕方ないよな。

 

ただ、その裏にいる失恋組は少し切ないのだけど・・・・・・クレアはともかく、シデンも・・・・・・
あとアネットのプレゼントが小粋すぎて高感度高まりました。贖罪みたいな優しさだなぁ。いつかきみも幸せになってね・・・・・・

 

そういう仲間たちのサポートもあり、ついに自分の気持ちを自覚したレーナとシン。
シンはともかく、レーナは土壇場になってダークサイドに落ちだしてびっくりしました。
シンが前に進み始めたぶん、浮き彫りになっていくレーナの傷。
「共和国の白ブタ」であることを、彼女は誰よりもそれを厭っていたのに。いや、だからこそ囚われてるのか。
しかも洗濯洗剤の主張を裏付ける存在になってると言われてしまうと、そりゃ自己嫌悪も加速するよねぇ。

 

とかなんとかしんみり思っていたと言うのにあんなのマリッジブルーみたいなもんとか一蹴されて泣きながら笑いました。それかー!

 

まぁレーナの傷は傷なんだけども。
彼女が自分の負い目を後生大事に抱え込んでいても、そんなことは知るかと仲間たちが蹴飛ばしてくれる。
そういう関係になれたのが良いんだよな・・・・・・そういう関係を築けたことこそレーナは誇るべきであって。

 

レーナが恐る恐るシンへの気持ちを確かめていく姿にドキドキしつつ、最後の最後までしっかりラブコメを楽しめました。
空振り空振り空振りからのロマンチック猛打がすごかったなぁ。花火まであるとかさぁ、好きだよそういうの!
そしてシンとレーナがようやく・・・!ようやく・・・!!!!!!!
おめでとうございます!!!!!!!!!!

 

ところで、シンとレーナが恋の花咲かせて、それを周囲がやれやれと見守ってる横で、さらっと触れられたヴィーカの話に切なくなったのだけど。
大切だった少女の姿をした人形をそばに置いて、その人形に早く他の女を選べと言われて。
でもまだ時間が欲しいっていうくらいには、過去の恋に未練を残していて。
これでレルヒェが人間だったら救いがあるのになぁ。失ったものは、もう取り戻せないのか。
私、ヴィーカに対しては、他の誰かと幸せになってほしいという気持ちと、そのまま壊れた純愛を引きずって朽ち果ててほしいという気持ちがあって。
とても好きだ、殿下の妄執めいた愛。
本人が理性的な人物だけに、余計に、捨てきれない愛の重さを感じるんです。

 

ところで、妄執めいた愛にとりつかれた人物がまた増えましたね?
オリヴィア大尉、男性!?えっ!?姫って言ってたのに!!とか思ったら、ここにも悲劇があって辛い。
ラブコメで油断した瞬間に心臓を殴ってくるのは殺意あるでしょ・・・?

 

レギオンとの戦争で傷ついていない人なんて一人もいないんだよなぁ。
共和国人ですら(身勝手で自業自得でも)レギオンに様々なものを奪われているのだから。

 

そんなレギオンとの戦争に解決の糸口が。

「無慈悲な女王」によって語られたレギオンの設計思想は皮肉でしかなかったけれど。
それはさておいても、いよいよ戦争に終止符を打てる道が見えてまいりました。これは高まる!
フレデリカの微妙な立場を、どのように活用していくのでしょうか。ヴィーカとのやり取りは伏線だよなぁ。

フレデリカのことを考えるとちょっと不穏なフラグにも思えるけれど、続きがとても楽しみです。

 

余談。

待て待て待てあとがき後のエピローグ待て!!
逃げとる!!えっ!?まさかまだすれ違うの!?!?
勢い余ってキスしといて「違うんです」は草。
ちょっとこれはレーナちゃんにお仕置きの時間が必要なのでは?

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「86―エイティシックス― Ep.7 ミスト /安里アサト」への4件のフィードバック

  1. アオハル全開悲喜こもごもの総力戦回…今回空回りまくりヘタレまくりだったレーナの暴走と詰めの甘さには愕然としましたが、でも「ごめんなさい」で逃げなかったことだけは褒めてあげたいw

    オリヴィアさんは今回の当て馬役だけでは切ないので、ヴィーカさんもそうですけど、この戦いの中で何らかの形で乗り越えてほしいですねー。というかそれぞれのその後が読みたいからもうこれ以上主要人物死なないで(苦笑)

    フレデリカは冒頭に回想録らしき引用ありますし大丈夫ですよ(たぶん)

    1. よっちさん、コメントありがとうございます。

      >アオハル全開悲喜こもごもの総力戦回

      本当にそれでしたね!笑
      「ごめんなさい」だけは踏みとどまりましたが、逃げちゃってますからね!?これはお仕置きですよね!?笑
      レーナ、いっぱいいっぱいすぎて脳がショートしたんでしょうね。本当に今回の空回りっぷりはすごかったし、可愛かったです〜

      >オリヴィアさんは今回の当て馬役だけでは切ないので、ヴィーカさんもそうですけど、この戦いの中で何らかの形で乗り越えてほしいですねー。

      あの悲恋抱えた男2人には、どうにか幸せを見つけてほしいですよね。そして生き延びて・・・・・・
      同じように悲恋を抱えているアンジュはまだ希望が見えているので、どうにかならないかなぁと期待しています。

      >フレデリカは冒頭に回想録らしき引用ありますし大丈夫ですよ(たぶん)

      小さい子が死ぬことはない!って信じてます・・・・・・でも回顧録ありましたね、そういえば。
      その着眼点、素晴らしいです。なるほどフレデリカは生き抜きそうですね!笑

  2. コメント失礼します。

    安里先生のTwitterでの事前のライト回という宣伝を最後の頁まで信用できず、後書きのある一文に思わず自分の正気を疑った真白優樹です。いやまさか、嘘だろ、と。・・・本当の本当にライト回、シン達の子供としての素顔が見られる巻でしたね。 時々忘れがちになりますが、彼等もまだまだお年頃、手荒くも不器用にお節介を焼く姿に若さと青春の息吹を感じました。まぁレーナさんの最後のあの姿にはため息と苦笑も出ましたが。・・・もうシデンさん辺りがリボン辺りでレーナさんを包装してシンの部屋に放り込んで施錠するしかないのでは。

    その裏、蟠る闇と終わらす方法。よりによってレーナさんも自分と同郷の同僚から言われたのが一番キツかったでしょうね。これがあの騎士団の代表から言われたなら一笑に付せたかもしれませんが・・・。終わらす方法として彼女が鍵となるとは予想外でしたが、これは迂闊に明かせない秘密となってしまいましたようで。・・・知ったら幾らでも非道な手段を取りかねない輩もいますし。

    次の戦乱が楽しみな真白優樹でした。
    追伸

    今月の電撃の新刊の 妖姫ノ夜 月下ニ契リテ幽世ヲ駆ケル 面白いですとても。

    1. 真白優樹さん、コメントありがとうございます。お久しぶりです!

      ライト回のフリして最後は怖いオチで続くんだろ!?と心のどこかで疑いが捨てきれませんでした(笑)
      すごい良いライト回でしたね!!もう、今までの苦しさがあるぶん、青春を謳歌してる彼らに涙がとまらないというか。
      レーナも、まだまだ青春1年生なところがあるので、今後の成長に期待です。とりあえずはお説教の後、リボン装備で部屋に突撃してほしいですね(むしろそれがお仕置きでは??)

      >その裏、蟠る闇と終わらす方法。

      洗濯洗剤、イヤァな感じで存在感をみせてくるのが怖いですよね。レーナの件も、なんらかの形で問題化しそうな気がするし、動向が恐ろしいです。
      私も次なる戦乱が楽しみですが、もはや全員に愛着がわきすぎて「誰も死なないで!!!!!」と願いまくってます。

      >追伸 今月の電撃の新刊の 妖姫ノ夜 月下ニ契リテ幽世ヲ駆ケル 面白いですとても。

      つい先程読み終わりましたよ〜〜〜!!(グッ)
      明日あたりに感想をアップすると思うのですが、とっても面白かったですよね。蛇のお姫様が可愛くて好きです!

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