いつか仮面を脱ぐ為に 嗤う鬼神と夢見る奴隷 /榊一郎



いつか仮面を脱ぐ為に ~嗤う鬼神と夢見る奴隷~ (角川スニーカー文庫)【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2019年9月刊。
「昏い眼をした奴隷のエルフ少女を引き取って、いちゃいちゃする話」が流行ってるから乗ってみよう、という感じで企画がスタートしたらしい榊一郎さんの新作(あとがき談)
私が大好きなシリーズにもそういう話があるけど(つい最近新刊の感想記事を書いたばかり)、あの設定って流行ってるのか。
というわけで、そういう設定のお話です。
でもラブコメの方はあまりピンと来なかったかな。ちょっと私の好みからは外れてました。
どちらかと言えば、巨大武者ロボの躍動感あるアクションと予想外にエグい設定が印象に残る作品でした。

☆あらすじ☆
戦場で出会う二人が互いに被る『仮面』越しに始める、不器用な恋の物語。
《鬼神》レオ・アラモゴードは王国を護る最強の戦士。いつもの如く敵を殲滅するはずが、彼は敵国の特攻奴隷に一目惚れしてしまい——戦場で出会う二人が互いに被る『仮面』越しに始める、不器用な恋の物語。

以下、ネタバレありの感想です。

 

護国鬼神としてウォルトン王国を守護する少年・レオ・アラモゴード
戦場で遭遇した敵国の半生体魔導兵器を討伐したレオは、その中に「部品」として格納されていたエルフの少女・フェルミと出会う。
彼女に惹かれたレオは思わずフェルミを連れ帰ってしまうが―― というスタートを切る本作。

 

戦場のボーイミーツガールとかすごい好きなんだけど、レオとフェルミのラブコメは読んでてあまり気持ちが乗りませんでした。
服の着方も食器の使い方も分からない女の子が少しずつ健康で文化的な生活を送り始めるわけで、なんというか、ラブコメを楽しむ気分よりも「可哀想」が先に立つというか・・・・・・

 

こういう設定でもラブコメの明るさが勝って楽しめる作品もあるんだけど、本作はそういう感じにならなかったなぁ。
コミュ障を引きずりつつ、一生懸命フェルミに構おうとするレオは微笑ましいんですけどね。
でもそれに対するフェルミの反応が薄くて、なんというか、フェルミ自身にあまり魅力を感じることができなくて。

 

ただ、終盤で明らかになる「フェルミ」の真実を知れば彼女がこういうキャラ付けをされた理由が分かり、それが本作の面白さでもあるので、どうにも痛し痒しなのだけど・・・・・・
うーん。レオとフェルミのラブコメを私が楽しめるようになるのは次巻以降なのかも。

 

あと、個人的にはマリエルの存在が微妙だったんですよね。
マリエル自身は好きなタイプのキャラクターなんだけど、「レオとフェルミの恋」が描かれていくなかで後ろから「私が婚約者(自称)です!」とか叫んでる子がいると気が散るというか。
当て馬にしては変な目立ち方してるな〜って思いました。むしろフェルミの存在感を食ってたし。
私が1対1の恋物語のつもりで読んでるからそう思うのだろうか。
Wヒロインものとして見れば別におかしなキャラでもないんですよね。だからやっぱり見方の問題なのかも。

 

これとは逆に、フェルミ以上の存在感をみせつつも、魅力的なキャラ立ちをしていたのが執事のハリエット
レオの一番の理解者であり、私生活も戦闘も支える万能サポーターであり、レオの幸せのためにフェルミを導く恋の協力者でもある。
そしてボケもツッコミもこなして、物語を円滑&軽快に進めていく優秀なサブキャラクター。
個人的には、この作品で一番好きなキャラでした。
なにげにラストでは黒幕を討って良いとこ取りしてましたよね。美味しいポジションだ。こういう影の実力者ってとても好きです。

 

先にラブコメについての微妙な評価を書いてしまったのだけど、「出会いから仕組まれた恋」という展開にはすごくワクワクしました。
こういう意外な落とし穴って楽しい。だってそれを乗り越えたら更に盛り上がるに決まってるじゃん。

 

武者型巨大ロボットが躍動する戦闘シーンの熱さも相まって、終盤はとても楽しく読めました。
戦いの中で明らかになる、「フェルミ」という存在に隠された残酷さとかゾクゾクしたし。
まさか私が「ハーレムエンドのほうがまだマシだった・・・」と思う日がくるとは。予想外にむごい話でした。
残されたフェルミに幸あれ。

 

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