鬼人幻鐙抄 葛野編 水泡の日々 /中西モトオ



鬼人幻燈抄 葛野編 水泡の日々【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2019年6月刊。
妹を守るために家を飛び出し、製鉄の里の者に拾われた主人公。
里の巫女に想いを寄せ、その護衛となった彼は、想像もしていなかった過酷な運命に落ちていくことになるのです。
天保の世を舞台に、人と鬼の衝突と切ない恋の行方を描いた和風伝奇ものでした。
この巻だけだと、なんだかシリーズの途中で満を持して語られる主人公の過去話っぽい雰囲気。
途方もない道のりを歩む主人公の「始まり」を描いたお話でした。
面白かったけれど、まさに戦いはこれからだ!なノリなので今後に注目しようと思います。

☆あらすじ☆
江戸時代、山間の集落葛野には「いつきひめ」と呼ばれる巫女がいた。よそ者ながら巫女の護衛役を務める青年・甚太は、討伐に赴いた森で、遥か未来を語る不思議な鬼に出会う――江戸から平成へ。刀を振るう意味を問い続けながら途方もない時間を旅する鬼人を描いた、和風ファンタジー巨編の第一巻。
「何度読んでも号泣必至」「人生観が変わった」と絶賛の嵐だったWEB小説シリーズが、待望の書籍化! 全編改稿のうえ、書籍版番外編も収録。

以下、ネタバレありの感想です。

 

父から虐待を受ける妹・鈴音を守るため、家を飛び出した少年・甚太
どこにも行けず困っていた兄妹は、巫女守を名乗る男・元治に拾われ、彼の住む集落・葛野へと連れて行かれる。
そこで元治の娘・白雪と出会った甚太は、やがて彼女に惹かれ、巫女として葛野を守ろうとする白雪のために巫女守になる道を選ぶのです。
その選択が、やがては甚太、白雪、鈴音の関係を徹底的に破壊し、甚太の運命を大きく歪めることを知らないままに―― というストーリー。

 

中盤までは里を守る巫女とよそ者の守護者の恋を描いていく本作。
自分と相手の信念を守るため、自分たちの想いを封印する姿はとても切ないものでした。
自分で選んでいるのに、真面目すぎて融通がきかないから雁字搦め。
それでも決めた道を貫こうとする姿は誇り高く、悲恋だからこそ美しい。

 

でも、きついなぁ・・・・・・この状況を鬼がぶっ壊してくれたら良いのになぁ。

とか思っちゃったんですよ。私。
いやだって、鬼の襲来で政略結婚の話が持ち上がったなら、鬼の存在でそれが崩れる可能性もあるかも?ワンチャン甚太と白雪の恋が実る大逆転もあるかも???とかね、思ったんですよ。

まさか本当に鬼が全部ぶっ壊すとは・・・・・・あっ、でも「水泡の日々」でしたね・・・・・・

 

誤解と言えないすれ違いの結果、引き起こされた愛憎劇。
それまで(鬼の血を引くという異常性以外は)あまり目立ってなかった鈴音の大爆発は衝撃的でした。
三人揃って何かを言えば言うほど気持ちがすれ違っていくのがもはや笑えてくる(笑えない)
話せばわかるなんて嘘だったんだ・・・・・・

 

まさに、ここから全てが始まったと言えるエピソード0。
変質した妹を目指して、同じく変質した兄は場所を変え時代を超えて追いかけていくことになるのでしょうか。スケール大きい鬼ごっこかな?
どうも江戸から始まり現代に至るまでの主人公の旅を描いていく話になるらしい??

 

個人的には、示されたゴールが遠すぎてワクワクする前に付き合いきれるか少し不安だったりします。
恋仲だった女が早々に死んでしまって、正直、恋愛要素大好きな私のモチベーションは下がり気味だしなぁ・・・・・・。
この先に待つのも、実父を捨てても守ろうとした妹を殺すのか、それとも愛した女を殺した鬼であっても許すのか、っていうちょっと気が重いお話のようですし。選択肢が地獄。もしかしたら他に道があるのかもしれないけれど。

 

うーん、うーん、でも文章は丁寧で読みやすいし、鬼とのバトル・アクションも面白かったし、ここで切るのは勿体ない気がしてならない。
江戸ものだと思って読んだのに江戸感薄いな!という不満も、次の舞台が江戸らしいので解消されそうですし。
全ての始まりを描きつつも、復讐譚となるのか否かもまだ曖昧ですからね。
それを甚太が見定めるための物語になるようだし、私も彼の道を見定めるために続きを読むべきなのでしょう。

 

とりあえず2巻が10月に発売されるようなので、そこまでは追ってみましょうか。
なろうで掲載されているようだし、そちらを先に覗いてみても良いかもしれない。

 

スポンサーリンク
 
0

「鬼人幻鐙抄 葛野編 水泡の日々 /中西モトオ」への2件のフィードバック

  1. 鬼人幻燈抄! 読まれていたとは……
    この小説とても面白いんですが(といっても私もWeb版を途中までしか読んでいないんですが)、恋愛好きの方にとってはかなりキツいと思っていたので、★が3つもついたのがかなり驚きでした
    文章すごくいいですよね! 丁寧でキャラの動きが容易に想像できるいい文章です
    これからも甚太は重い方重い方にばかり進んでいきますが、そういうのが苦手な俺でも、不思議と読むのをやめようとはならないんですよね なんというか「見届けてあげなきゃな」という気持ちにさせられるというか……不思議な感じです
    Web版は完結済みなので、10月の2巻発売を前に読むのもいいかもしれませんね!

    1. スズナリンゴさん、コメントありがとうございます。

      読みました〜!
      本屋で偶然見かけたのですが、和風ファンタジーとか楽しそう!と思って。
      文章、とても良かったです。読みやすくて、映像が浮かびやすくて、エモい文章でした。

      ただやっぱり私は恋愛好きなもので、ラストが辛くて辛くて・・・・・・泣
      幸せになってほしかった・・・・・・号泣

      これからも重い話が続くんですね。
      楽しい旅路じゃないんだろうとは思っていましたが、読むなら覚悟しなくちゃいけませんね。

      甚太のキャラクターが良くて、本当に「見届けてあげたい」って気持ちになります。
      2巻もたぶん読むと思います。どうにかモチベを奮い立たせねば・・・!笑

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。