86―エイティシックス― Ep.3 ランスルー・ザ・バトルフロント(下)/安里アサト



86―エイティシックス―Ep.3 ―ラン・スルー・ザ・バトルフロント―〈下〉 (電撃文庫)【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★★
2017年12月刊。
1巻ラストの空白期間を埋める上下巻の後半戦。
前半はしどかったのだけど、終盤ちょっと最高すぎる・・・・・・
結末が分かっていても(分かっているのに)最高でした!

☆あらすじ☆
待望の《ギアーデ連邦編》後編登場! “史上最大の作戦”の火蓋が切られる――!
敵〈レギオン〉の電磁加速砲(レールガン)による数百キロ彼方からの攻撃は、シンのいたギアーデ連邦軍の前線に壊滅的被害を与え、レーナが残るサンマグノリア共和国の最終防衛線を吹き飛ばした。進退極まったギアーデ連邦軍は、1つの結論を出す。それはシンたち「エイティシックス」の面々を《槍の穂先》(スピアヘッド)として、電磁加速砲搭載型〈レギオン〉の懐に――敵陣のド真ん中に突撃させるという、もはや作戦とは言えぬ作戦だった。だがその渦中にあって、シンは深い苦しみの中にあった。「兄」を倒し、共和国からも解放されたはず。それなのに。
待望のEp.3、《ギアーデ連邦編》後編。なぜ戦う。“死神”は。何のために。誰のために。

以下、ネタバレありの感想です。

 

電磁加速砲型(モルフォ)の遠距離攻撃により、甚大な被害を受けたサンマグノリア共和国。

電磁加速砲型を破壊しないことには、人類に生き残る道はない。
しかし、電磁加速砲型を破壊するために突撃する兵士は、ほぼ間違いなく帰ってくることはできない。

こういうデッドオアアライブですらない選択、本当に残酷すぎて胃がキリキリします。
誰かが死んで他者を生かすか。誰も彼も諸共死ぬか。
どうしようもない選択肢が提示され、何を選んでも罪悪感に苛まれるときに、人が自分の心を守ろうとする動きはとても醜い。

共和国に比べると全然マシなのだけど、でも、やっぱりここでもエイティシックスは切り捨てられる側なのだな・・・と憂鬱になります。
連邦ではその呼び名に意味なんてないのに。

 

こんな状況であっても「そういうものだろ」と軽く流してしまうシンたちに辛くなってしまう。
家族も仲間も失い、帰るべき国もなく。帰属意識をどこにも持たない人間は、どこへ辿り着くのでしょうか。

 

なぜ戦うのか。

その問いかけは彼らの誇りを汚すものだというけれど、「これしかないから」と戦い続けることは、やっぱり悲しいことだと私は思う。
それでも誇りある生を燃やし尽くすために戦う彼らの姿はとても気高いんですよね・・・・・・格好いいんだよ・・・・・・

 

とはいえ、もはや目的すら見失って幽鬼のようになっているシンだけは違うのだけど。

 

死にゆく仲間を見送り続け、その死の責を負い続け、誰も彼もに置いていかれ、誰にも連れて行ってもらえなかったシン。
今回はレギオンとなったキリヤの意識がかなり丁寧に描かれているため、余計にシンとレギオンの近さを感じてしまうんですよね。ほとんど戦場の亡者だなって・・・・・・

 

そういう不安を煽られていたので、終盤のレーナ登場には喝采を送りたくなりました。
レーナが、シンのおかげで生きていられる、彼を連れて行きたいって堂々と答えたのがいい。
それは、シンが否定してきた自分の存在と真逆のものだから。彼の全てを肯定するものだから・・・・・・

 

戦場の死をゴールと定めて走り続けてきたシンたち。
けれど、「戦い抜く」ことも、「生き抜く」ことも、本当はもっと長く途方もなくてゴールすら見えないものなのでしょう。
連邦の大人たちが何度も何度も言った言葉だけど、きっとそれは大人が言うだけじゃダメだったんだろうなぁ。
必死に彼らと同じ場所に立とうと駆け抜けたレーナの姿こそが必要だったのでしょう。

 

こうやって1巻ラストにたどり着いたのかと思うと感無量です。
次からまたレーナが指揮をとるのかな?続きもどんどん読んでいこうと思います。

 

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