千年探偵ロマネスク 大正怪奇事件事件帖 /囲恭之助



千年探偵ロマネスク 大正怪奇事件帖 (宝島社文庫)

評価:★★★☆☆
2019年7月刊。
人魚の肉を求める白い少女と財閥の四男坊。
人魚伝説が残る島で二人が巻き込まれる連続殺人事件の謎を追う大正ミステリーです。
ミステリーとしては少々物足りなかったのだけど、不安を煽る人魚の伝承と、人々が疑心暗鬼へと陥る暗い雰囲気は良かった。
主役も脇役もキャラが立っていて魅力的だったし、シリーズ化するなら続きも読むと思います。

☆あらすじ☆
時は、大正8年。秦野財閥の四男・孝四郎は、父の命令であるものを得るため、謎の少女・白比丘尼と共に、孤島で行われるオークションに参加することとなる。“千年探偵”と呼ばれる彼女は白い髪に葡萄茶式部姿で、自らを「人魚の肉を食べた不老の身」と言い、童女のようなあどけなさと老練な賢者の如き鋭さを併せ持つ、麗しき奇人で―。人魚伝説の残る孤島で起きる連続殺人事件の謎に挑む、怪奇ミステリー!

以下、ネタバレありの感想です。

 

父親に対する復讐心を抱えながら、命じられた人魚の肉を探す青年・秦野孝四郎
人魚の肉により与えられた永遠の生から解放されるために、人魚の肉を探す少女・白比丘尼
引き合わされた2人は、男爵家の有する孤島で行われるオークションに参加する。
そこで出品されるのは人魚のミイラ。しかし彼らを待っていたのは悲惨な連続殺人事件だったーー というストーリー。

 

不老不死(身体に危害を加えられたら普通に死ぬらしいので「不老」だけかな?)にして、千年分の叡智を溜め込んだ探偵役の白比丘尼の魅力が好感触なミステリーでした。
正直に言うと、事件の顛末やトリック自体にはそこまで驚きや目新しさは感じず・・・・・・
でも、知識の糸を集め、それを紡いで謎を解くという白比丘尼のスタイルは、彼女という存在の幻想的な趣と似合っていて、なんだか綺麗だったんですよね。
彼女の存在そのものが物語を美しく彩っていたと思います。

 

あと、元軍人や没落貴族、成金、親子間のドロドロとか過去に隠された血生臭い事件とか、どことなく横溝正史っぽい陰鬱で気怠げな雰囲気も好みでした(笑)

 

主人公に憎まれる実父の印象が、過去の事件を通して物語の中で変化していくのも良かった。
全てを知ってもクソ親父はクソ親父なんだけど、ただ憎たらしい存在から、なんだか憎めないな・・・ってなるんですよね。彼は彼なりに一途なひとだったんだって思えて。
これはお兄ちゃんに関してもそう。ギャップを与える一族なのか?アクが強い。

 

こういう一族の人間なら、孝四郎くんはもっとアクが強くても良かったかも。
夢遊病や二重人格設定が幕間の引っ掛けに使われただけで終わったのは少し残念でした。もう一捻りほしかったかな。

 

さて、無事に事件を乗り越えた孝四郎は、父の想いを受け継ぎつつも、彼自身の想いをもって白比丘尼に向き合いました。
世代を超えた感情を向けられる白比丘尼の位置づけが良いですね。幻想的な高嶺の花って感じで。
彼女に振り向いてもらうのは茨の道に思えるけれど、父よりも諦めの悪そうな息子の奮闘に期待したいところです。

 

スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。