獣の巫女は祈らない /中村ふみ



獣の巫女は祈らない (講談社X文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2019年7月刊。
かつて神がいた国において、神と交わった名残を残す獣耳の一族。
一族の巫女である少女と、帝によって彼らの島に流された皇族の「姫」。
二人の出会いから始まる和風ファンタジーです。
巫女でありながら神頼みはせず、自分で道を切り開こうとする理知的な武闘派ヒロインがとても素敵でした。
世界観も面白かったし、この二人が今後どうなっていくのかも気になります。
一応綺麗に終わっているけれど、シリーズ化してくれると嬉しいな。

☆あらすじ☆
獣の宮の巫女なぎはある日、島に流されてきた咎人の〈姫〉と出逢う。だがこの美しい〈姫〉は、どうやら性別を偽っているらしく……。

以下、ネタバレありの感想です。

 

帝が統べる明日何において、頭の上に獣の耳をもつ奥見族の島は自治を許されていた。
奥見族が崇める獣の神の巫女である少女なぎは、ある日、島に流刑された皇族の「姫」の正体が実は男であることを知る。
迅衛を名乗る少年のことを気にかけるなぎだったが、一方で、島には異変が生じ始めーー というストーリー。

 

巫女でありつつも、神へ祈るのではなく自分の力で強く在ろうとするなぎ。
複雑な身の上に生まれ育ち、自分に力がないために運命に翻弄される迅衛。

 

対照的なふたりの出会いから始まる物語は、島に起こる異変や迅衛に対する刺客などを通し、やがて島で忌まれる「琉貴姫」の真実へと繋がっていきます。
望まぬ運命に翻弄されつつも、奥見族の自然な在り方に憧れ、そうして自分の力で島を救った琉貴姫。
その人生や人物像は、なぎと迅衛の両者に通じるものがあり、ふたりの物語における琉貴姫の特別な存在感を強く印象づけるものでした。

 

「祈らない」というタイトルではあるけれど、それは神や運に頼らないという意味でしかなくて。
自分の力が守りたいものを守れますように。そう願うことはとても尊くて、美しい「祈り」なのだと感じる物語でした。

 

奥見族の島を舞台とする物語は、1冊で綺麗に収まるスケール感だったけれど、せっかくならこの世界の全容も見てみたいです。
神との繋がりを「獣耳」や「イノリ」という形で残す和風ファンタジー世界って魅力的ですし。

 

島を脱出した迅衛がこれからどんな人生を歩むのか気になるし、そこになぎが関わっていくことも期待したい。
というわけでシリーズ化希望です。
結局甘いシスコン兄もまた出てほしいな笑

 

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