英国幻想蒸気譚1 レヴェナント・フォークロア /白雨蒼



英国幻想蒸気譚I -レヴェナント・フォークロア- (DENGEKI)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2019年7月刊。
電撃新文芸スタートアップコンテスト「編集部特別賞」受賞作。
史実とは異なる発展を遂げた19世紀末のロンドンを舞台に、人に仇なす『鋼鉄の怪物』との戦いを描いたスチームパンクです。

不気味な都市伝説の裏で、怪物たちが起こす凄惨な殺人事件。
それに関わるのは、怪物専門の請負屋を営む極東の青年と謎多き錬金術師。
蒸気機関が異常発達したロンドンで、いま、一体何が起こっているのか。

スチパン特有の幻想的な世界観と、血なまぐさいバトルにワクワクできる作品だと思います。
1巻だけだと少し盛り上がりに欠けるのだけど、この先に期待をこめて応援していきたい新作でした。

☆あらすじ☆
高度に発達した蒸気機関が世界を席巻した第二次産業革命、通称『蒸気機関革命』により飛躍的な文明発展が遂げられた19世紀末。
大英帝国首都、ロンドンで請負屋を営む極東人・封神幎(ツカガミ・ドバリ)と錬金術師・ヴィンセントの二人の下に舞い込むのは、いつだって厄介ごとばかり。
混沌に彩られしロンドンに渦巻く都市伝説を追う二人の前に次々と現れる『鋼鉄の怪物《レヴェナント》』の正体とは。
これは、虚実が織り成す鋼鉄と蒸気の幻想譚。

以下、ネタバレありの感想です。

 

『蒸気機関革命』により、あらゆる蒸気機関が飛躍的な発展を遂げた19世紀末のロンドン。
蒸気機関が生み出す深い霧の中には、魂持たぬ人形「レヴェナント」の都市伝説がまことしやかに囁かれていた。

しかし怪物は実在する。

人に取って代わり、人を食らう「鋼鉄の怪物」
そんな怪物たちと戦うのは、極東からきた青年・封神幎と、永劫を生きる錬金術師ヴィンセント・サン=ジェルマン
ロンドンでヴィンセントと怪物専門の請負屋を営む幎は、とある因縁の人物を探していてーー というのが本作のストーリー。

 

現実世界と地続きながら、全く異なる世界観がとても楽しかったです。
グラハム=ベルやバベッジなど実在の人物が存在する一方で、携帯通信機器や人造人間などのオーバーテクノロジーが存在する世界。
魔法も異能もあり、ロボ的なものもあり、ついでにベイカー街の名探偵もいる。
何でもありの闇鍋のようでいて、不思議と調和がとれているからワクワクするんです。
スチパンの醍醐味だよなぁ。こういうロマンがあるところがとても好き。

 

そんな魅力的な世界で怪物退治に挑む幎とヴィンセント。
イケメンとイケオジのバディもの、になるのかな?イラストが眼福すぎてドキドキしてしまう笑
飄々として掴みどころのないヴィンセントと、同じく飄々としながら怪物を屠る幎。
請負屋という職業と彼らの事情も相まって、なんだかとても浮世離れした二人組でした。
そこがまたスチパン世界の中にあっても、ひときわ目を引く存在感を放っていたと思います。

 

序盤で幎たちに仲間入りする少女・リズィも可愛くてよかった。
語尾に特徴づけるんじゃなくて、面倒くさくて最後まで言わない結果、気怠げな女子高生みたいになってるのが面白かったです。
1巻段階ではいまいちリズィのポジションが定まらない感じだったので、彼女ならではの活躍があることに期待したいところ。

 

さて、世界観とキャラは良かったものの、1巻はそのお披露目で終わった印象があります。

大企業の慈善事業の裏を暴こうとする、アカデミアの少女。
真実を追う先で待っていた、幎の因縁の相手である「心臓喰い」の女。
数々の謎の鍵を握るのは、ヴィンセントの古い知己である錬金術師。

様々な因縁をほのめかしつつ、何も明らかにならないまま次巻に続く。
ああ、これ完全に続き物だったかぁ・・・!と思いつつ、今後の展開にワクワクできる予感もあって。
敗走に近い幕引きでしたが、ここからどう反撃するのか楽しみです。

英国幻想蒸気譚I ‐レヴェナント・フォークロア‐

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ここからは完全に余談ですが、個人的にスチパンといえば「英国パラソル奇譚」シリーズが超絶オススメです。めっちゃ格好いい世界観と格好いい女傑の冒険譚です。
あとがきにあった桜井光先生のスチームパンクシリーズでは、「灰燼のカルシェール What a beautiful sanctuary」を読んだことがあります。あれも面白かった記憶。

アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う (英国パラソル奇譚)

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