女皇陛下の見た夢は 李唐帝国秘話 /貴嶋啓



女皇陛下の見た夢は 李唐帝国秘話 電子書籍特典付き (講談社X文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2019年7月刊。
武則天時代末期の唐を舞台にした歴史ファンタジー。
壺中術を使う宮奴の女がある皇族の男に出会ったことから、女皇をめぐる騒動に巻き込まれていく物語です。
割と短い話ながら、最後まで息つく間もない怒涛の展開。
でもこれ後味最悪じゃないか(笑)びっくりしたよ!

☆あらすじ☆
女皇陛下に仕える宮女・詠月は筋金入りの壺オタク。壺の中を通って遠くへ行く〈壺中術〉で、女皇の孫・李隆基のもとに現れるが……。

以下、ネタバレありの感想です。

 

水をはった壺を介し、宮中のあらゆる場所をのぞくことができる「壺中術」。
その壺中術を扱える宮奴・詠月が、不意のトラブルにより出会ったのは臨淄郡王・李隆基だった。
折しも宮廷は女皇が臥せっているのを良いことに、男寵の張兄弟が幅をきかせ、混乱のさなかにあった。
女皇の具合を確かめようとする隆基は詠月の壺中術に目をつけ、彼女と共に行動を開始するのだがーー というストーリー。

歴史上の人物と史実をベースに、壺中術や妖魔などのファンタジーを盛り込み、読み応えのある中華ファンタジーとなっていたと思います。

 

特にテーマである「壺中の天」の描き方が良かった。
壺を通してあらゆる場所をのぞいたり移動したり、あるいは壺の中にある幻想の世界へと飛び込んだり。
詠月の正体にも関わる壺中術のロマンが最高でした。なんて幻想的な技なんだろうか。
お守りに瓢箪って何??と思っていたので、瓢箪の使い方にはびっくりしたけれど(笑)

 

また、歴史ものとしても、(駆け足な展開ではあるものの)なかなかのドラマを楽しませてくれる作品だと思います。
中国史に疎くても知ってる「武則天」。
苛烈な運命を生きた女傑の生涯を描く物語としても面白かったです。
そしてそれは、主人公である詠月との関係を通してみれば、欠けたものを躍起になって埋めようとした女の苦しさが強く印象に残るものなんですよね・・・・・・
「女皇陛下の見た夢は」。最後に見た夢は彼女に安息をもたらしたのだろうか。そこに幸せはあったのだろうか。

 

さて、そんな武則天の晩年の政変を描いた本作ですが、特に面白くなるのは(意外にも)女皇を退位に追いやった後の流れ。
まさに怒涛のどんでん返し。
詠月が上陽宮に移ったところで主題は終わったと思い込んでいたので、なぜこんなにページ数が余っているのかと不思議だったんですよね。
いやしかしこれぞ歴史「ファンタジー」の醍醐味でしょう。まさかの黒幕の正体に背筋がゾクゾクしました。
「武則天の猫嫌い」という逸話の使い方が素晴らしいし、主人公である詠月との絡ませ方も上手い。
母の妄執の恐ろしさよ。そして、その愛の悲しさよ。

 

で。このお話の中で最も恐ろしい部分は、一番最後のページにあると思うんです。

 

いやぁ、、、李隆基とか、、、名前を知らなかった自分の無知を恥じ入るばかり・・・・・・
でも、たとえ彼が玄宗皇帝であることを知っていたとしても、私はこのオチを読めなかったと思う。

 

思い返せば隆基は最初から最後まで詠月を利用していたんですよね。
しれっとした彼の態度で軽く流していたんだけれど。
いやもう絶句ですよ絶句。びっくりしすぎてちょっと楽しくなった。

 

しかしまさか本当に殺したんだろうか。ここまで共に戦った女を?
そもそも、この世界ではなぜ二人が対立したんだ??
背景とキャラ的に理由がなくない????
解せぬ・・・・・・もう少し説明をください・・・・・・

 

事情は謎だけど、どうか今度こそ青竹を身代わりにできていますように。
壺中の世界に逃げてくれ。

 

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