この恋を捧ぐ 鉄仮面令嬢はラスボス様の幸福を夢見る /秋空夕子



この恋を捧ぐ 鉄仮面令嬢はラスボス様の幸福を夢見る (アイリスNEO)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2019年7月刊。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した主人公。
そんな彼女が初めて恋した相手は、ゲームの攻略対象であるラスボス先輩だった。
他の攻略対象のルートでは必ず破滅する彼を救うため、主人公は先輩とゲームヒロインの恋を実らせようと決意するのです。

一途で内気な主人公と打算まみれの腹黒先輩の恋を描いた本作。
タイトルがいいですね。これは確かに恋に身も心も捧げた少女の物語だと思います。
コメディ色はほぼなく、シリアス強めのお話。
私の嗜好的には惜しい箇所もあったのだけど、一途なヒロインの健闘が良かったです。

☆あらすじ☆
表情が乏しくて鉄仮面令嬢と揶揄されるヘレーネは、コミュ障のせいで入学早々学園で迷子に。そのとき、素敵な先輩・ラインハルトに助けられ、一目ぼれをしたのだけれど……。その瞬間、ここが乙女ゲームの世界で、彼がとあるルート以外だと死んでしまうということに気づいてしまった!?
小物感漂う、噛ませ犬的な悪役令嬢の自分が途中退場する前に、絶対にラインハルト様が死なないルートに乗せないと!
そのためだったら、ヒロインとラインハルト様の恋が成就するように、陰に日向に応援します!!
恋に一途な転生少女の空回りラブファンタジー短編つきで書籍化!

以下、ネタバレありの感想です。

 

入学式直後に迷子になり、困っていたところを先輩のラインハルトに助けられたヘレーネ
一瞬で恋に落ちた彼女は、次の瞬間、彼が前世でプレイした乙女ゲームのラスボスであり、ルート次第では死んでしまうことを思い出す。
どうにかしてラインハルトを救いたい。
そのためにヘレーネが考えたのは、ラインハルトとゲームヒロインの両方と親しくなり、自分が二人の架け橋となることだった。

というわけで、嫉妬と悲しみを覚えつつも、初恋の相手を救うため、彼の恋のキューピッドになろうと奮闘する少女の物語です。

 

ヘレーネ、自分もゲーム的には不運な結末が待っているのに、それには全く頓着しないところがいじらしい。
彼女にとって自分の退場は、ラインハルトのために動けるタイムリミットでしかないのです。

毒親から虐げられ、毒親のせいで学校でも浮いていて、内向的な性格ゆえに友達もいない。
そんな身の上であるのに、彼女の頭は「ラインハルトのために何をできるのか」でいっぱい。
しかも他の女性と彼が結ばれることを目指すという・・・・・・無償の愛というか、まさに身を捧げているというか。
ラインハルトが豹変してからも彼女の恋のあり方は変わらず、その純粋なまでに一途な想いが少し怖かったりもして。

 

面白かったのは、途中で彼女自身が自分の恋心の歪みを認めていたところ。
些細なきっかけで好きになった相手にこれだけ尽くす自分は異常なんだろう、とヘレーネが述懐するシーンがとても好きです。
彼女の奥で渦巻いてきた想いが、一気に吹き出した感じ。
しかもこれ監禁されてる場面ですよ。やべーなこの子、とゾクゾクしました笑

その狂気の原点も良い。第四章の修道女の話、面白かったです。
乙女ゲーム転生なんだけど、前世は2つあったということなのかな。それともループ?
考察ならぬ妄想が捗りますね。どちらにせよヘレーネの必死な献身の裏付けになっていたと思います。

 

ヘレーネに関して惜しかったのは「鉄仮面令嬢」という設定があまり活きていなかったところ。
物語開始から秒で鉄仮面が剥がれ、後はワタワタと奮闘していたし、文面からは無表情感があまり伝わらないんですよね。もう少し周囲の視点から「無表情・無感情なヘレーネ」を描写してほしかった。
周囲の悪口を裏付ける具体的なエピソードがほしかったかな、と思います。

 

さて、一方のラインハルト先輩。
これがまた、、、とても打算に満ちて腹黒な人でした・・・・・・
正直、中盤まで彼に対して好感を持てませんでした。
「打算のなかで好意が生まれる」っていうのは好きなシチュエーションなんだけど、好意をもった理由がなんか腹立つ感じなんですよね。従順なのが良い、みたいな。
いや、そうやって言い聞かせて自分の想いから(無意識に)目を背けていたわけなんだけど、それはそれとしてイラッとするなって。

 

そんなラインハルトは終盤でヤンデレ化するわけだけど、あそこは少し唐突に感じました。
確かにゲーム的にはそういうキャラですよーと説明はあった。
でもどうせなら普段からそういう狂気をチラ見せしといてほしかったかなぁ、と。前置きが足りないというか。
いやでもそれじゃ「豹変」にならないか?うーん。私にはむしろ「キャラ変」に見えちゃった・・・・・・

 

でも番外編のラインハルト先輩は良かったです。いや良かった?良かったのかな???(困惑)
手当たり次第に贈り物して、要らんなら捨てろと言い、それで怒られたら「プレゼントを売れば金になるだろ?」とか言うアレ。
日常会話の中に滲み出る、話が通じない感。それが愛だと思い込んでるところはヤンデレみある(ちょっとモラハラ男の気もあるが・・・そこが何か苦手なんだよね・・・)
あの流れで「退学しよ」とかナチュラルに言うのもやばみ。


スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。