スキルが強すぎてヒロインになれません /奏中カナ



スキルが強すぎてヒロインになれません(アイリスNEO)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★★(Web版掲載分含め全編通しての評価です。好き!)
2019年6月刊。
片思い相手が異世界召喚される現場を目撃し、慌てて滑り込み&神頼みで後を追った女子高生アリア。
与えられたスキルが強すぎてヒロインムーブはできないけれど、大好きな人のためにゴリラ顔負けの頼もしさで冒険に挑むアリアの活躍を描いたラブコメファンタジーです。

能天気で恋愛脳全開なアリアの語り口が楽しく、ヒーローとの夫婦漫才も面白すぎて3行に1回くらい吹きだしていた気がします。めちゃめちゃ笑って超元気でた。
あまりにも楽しかったから書籍版を読み終わってすぐにWeb版も読破。本編も後日談も最高でした・・・・・・もぉ〜〜好きっ!

本作は異世界での冒険を通して「普通の高校生たち」の青春恋愛劇を描くところに特徴があるのだけど、そこに何とも言えない懐かしさを感じたりもして。
『ふしぎ遊戯』とかあのへんの少女漫画ファンタジーっぽいなーと。この感覚を上手く説明できないのだけど。

異世界召喚ものとしては古典的な設定・展開だと思います。魔王討伐を目指して街やダンジョンを一つずつクリア、出会いと別れを繰り返しながら旅を進めるという、昔ながらの王道RPGのようなお話。
かなりサクサク進むものの、小さくまとまらない世界観とアリアたちの活躍にワクワクできて楽しかったです。その旅のなかで変化していくアリアと高遠くんの距離感がまた良いんだよな〜

こんなに元気をもらえる作品は久しぶり。パワフルなアリアの恋が最高でした!

☆あらすじ☆
クラスメイトの高遠くんに片思いをしている女子高生のアリアは、今日もいつも通り部活で活躍する彼を遠くから見守るはずだった。
ところが、彼女は目撃してしまった―― 彼が勇者として異世界に召喚されそうになっているところを!?
とっさに追いかけたアリアは、神様の恩情で勇者のおまけとしてついていけることになったけれど……。
神様がくれた「人類にできることは何でもできる力」が強すぎて、可愛さもモテる要素もないんですけど!?
恋する乙女なのにヒロイン感0な少女のスキル無双異世界召喚ラブファンタジー!

前置きが長くなりました。
以下、ネタバレありの感想です。WEB版掲載分の話にも触れているので要注意。

 

片思いの相手・高遠深也が勇者として異世界に召喚される現場に居合わせ、「このままだと二度と会えなくなる気がする!」と慌てて後を追いかけた女子高生・雨宮アリア
その行動力と熱意にドン引き心を打たれた神様にオマケで召喚してもらえたアリアは、ついでに「愛読書」をもとにした「スキル」も与えられる。

 

このアリアの「愛読書」こそ「人類の限界値の記録集」。要するにギネ○ブック。

つまりアリアは「ありとあらゆる人類の世界記録を再現できる能力」を得たのです。

 

このスキルの位置づけが面白いんですよね。
他の召喚者たちは「アーサー王物語」や「不思議の国のアリス」といった如何にも〜な創作物から得たスキルで人外の力を発揮するのに対し、アリアができることは「人間にできること」。あくまで人知の範囲にある能力なんです。

しかし侮るなかれ。人類はすごいのだ。

「え、人類ちょっと頑張りすぎじゃない・・・?」とほんのり引くほど何にでも挑戦して何にでも記録を作ってきた人類。
そんな人類の好奇心と努力の結晶たるスキルが活躍しないはずはなく、むしろ無限の汎用性をもってアリアの冒険を助けてくれるのです。

 

というわけで屈強方向に何でもできるせいでアリアの頼もしさは限界突破。
えーん私ゴリラ〜〜(T_T)と嘆きながらも、彼女は大好きな高遠くんのために一生懸命がんばります。

 

「た・・・・・・戦う!?高遠くんが?ダメだよそんなの危ないよっ、そういうのは全部あたしがやるから気にしないで!」「いや気にするよ!?」っていう冒頭の掛け合いが好きなのだけど、ここにアリアと高遠くんの関係性が集約されていると思うんですよね。
大好きな高遠くんのために張り切るアリアと、いやいや僕がやるから!って慌ててアリアを引き止める高遠くんっていう感じ。
すぐに飛び出すわんこと必死にリードを引っ張る飼い主というイメージ映像もしっくりくる。

 

あまりにも高遠くんが好きすぎて、屈強で過保護でマウンテンなゴリラ化するアリア。もう、本当に可愛くて面白くて楽しかったです。
頭はちょっと・・・いや、かなり?残念な子なのだけど、どこまでも真っ直ぐで献身的な想いは見ていて気持ちが良い。
高遠くんのためなら自分の限界だって超えられる。そんなパワフルな恋心がすごく素敵でした。恋する乙女は強いのだ。
彼女が恋に落ちたきっかけのエピソードがまた良いんですよね〜。
あぁ、それは惚れるわ惚れ込むわってなる。高遠くん、それはちょっとイケメンが過ぎる・・・!

 

そんなアリアの恋の相手であり、異世界旅の相棒でもある高遠くん。
異世界では金髪碧眼のアーサー王仕様に変わっているけれど、もとの黒髪バージョンもぜひ見たかった・・・・・・というのは置いといて。
高遠くん、キラキラ爽やか系イケメン属サッカー科のヒーローだと思っていたら、どんどん地金が出てきて、漲る殺意!迸る冷気!煌めくドス!!みたいな狂犬キャラになっていくのが最高でした。
書籍版の範囲だと匂わせる程度だけど(いやでも絶滅とか頭突きとかしてたな?)この後の高遠くんこそ本領発揮って感じ。
最初はアリアのペースに振り回されていた高遠くんが、次第にツッコミ&通訳スキルを身につけ、最終的に夫婦漫才の相方としての才能を開花していくーーという彼の成長(?)も見ものでした。アリアの手綱を握れるのはキミしかいない。

 

しかし全編を通してみると、高遠くんが一番初期からキャラが変わってるんですよね。
最初から最後まで「高遠くんのために!」を貫き、全くブレなかったアリアとは対象的。
あと高遠くん、根っこが割と暗いんです。根っこから明るいアリアとはここでも対照的なのだけど、それが二人の関係を様々なカタチで刺激することにもなって。
衝突もするし反発もするけど、違うからこそ惹かれ合う二人の距離感がすごくすごく良いんだ・・・・・・
このあたりは書籍版の続きの話でどんどん膨らんでいくところなんで、頼む、頼むから全部書籍化してくれーー!後日談の高遠くんとか最高なんだーー!!

 

王道RGGなストーリーも、古典的展開ながら存分に楽しめました。

始まりの街で資金集めから始まり、コツコツと敵を倒しつつ次の街へ。
行く先々で知己を増やしながらも、基本的にはふたり旅。
のほほんとした二人がボケたりツッコんだりボケたりしながら打倒魔王を目指して先へと進むのです。

その旅路は割とサクサクと進むのだけど、アリアの語り口が楽しくてニマニマしながらの一気読みでした。
この後の話こそ面白いし、ぜひ続きも刊行してほしいなぁ。「彼氏気取り軟禁野郎」と呼ばれるまでになる高遠くんを書籍版でも見せてくれ。

 

まぁでも私は本作に出会えただけでも感謝なんですけどね。め
ちゃめちゃ好みなカップルを発見できました。書籍化ありがとうございます!


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