狼領主のお嬢様3 /守野伊音


狼領主のお嬢様3 (カドカワBOOKS)
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前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2019年4月刊。
悪徳領主の令嬢として殺された女と、彼女を殺して領主の座についた男。
悲恋で終わったはずの恋が再び動き出す転生ラブロマンス第3弾。
なぜか2巻完結だと思っていたので3巻が出てビックリしました。でも続編として面白かった〜!
過去を乗り越えた先に掴んだ幸せは消せない後悔と表裏一体で、今にも壊れそうなほど脆く感じる。
一方で、複雑な事情を背負いながら「絶対に手放せない・・・!」と必死になる姿がまたエモい。
悲恋のようでいて悲恋じゃない。儚くみえるけれど、その実とても逞しい。そういうところが好きだなぁ、と改めて思う第3巻でした。

☆あらすじ☆
「狼領主を私にちょうだい」--王女の言葉にシャーリーは!?
前世を乗り越え、婚約した狼領主・カイドと“お嬢様”シャーリー。挨拶に上がった王城で、王女・アジェーレアと出会う。模範的な王女である彼女にシャーリーは違和感を覚えて!? 転生しても続く恋物語、王都編!

以下、ネタバレありの感想です。

 

国王に結婚の許しをもらうため王城を訪れたシャーリーたち。
そこでシャーリーは、人前にあまり顔を出さないという美しき王女アジェーレアに気に入られるが—— というストーリー。

中盤まで「お嬢様」の側面が強くなったシャーリーと、そんな彼女に振り回されるカイド(とイザドル)にニヨニヨしていたのに、一瞬で全てが壊れていました。

 

えっ・・・・・・?

 

徐々に不穏な空気が盛り上がるとかじゃなく(いや、そういう空気もあるにはあったが)、本当にオセロみたいに一手でひっくり返った。
何が起こったの?????って混乱ですよ大パニック。

 

さっきまで生きてた人があっさり死んでるし、可憐で可愛い王女さまはどこにもいないし、妹想いの王子様は夜逃げするし、シャーリーは幽閉されてカイドと引き離されてるし。

状況の激変に動揺しつつ、アジェーレア王女の豹変にゾッとしました。

 

こういう「孤独な王様に閉じ込められたヒロインが狂気に引きずり回される話」って女性向け作品では割と見かける話なんだけど、その王様に当たるひとが女性っていうのがなかなか新鮮で、そこが面白かった。
狂気をふりまく美しい王女に「わたしくのこと愛してる?」と毎日聞かれて真顔で「はい」と答えるシャーリー、という構図、大変に耽美じゃないですか?
お揃いのドレスを着ている片割れには首輪っていうのもちょっと美しいとか思っちゃった。

 

アジェーレア王女がただのサイコパスじゃないのも良い。
政務完璧なのはちょっと都合が良いんだけど、それはそれとして、彼女の狂気の発端にある哀しみは切なくて。「この人なんか邪魔〜」くらいな感覚で部下に殺せとか言うから父親もそのノリでやったのかと思いきや、そこは本当に事故だったとかね。
王族という孤独のなかで家族だけが拠り所だっただけに、家族を失うことに耐えられなかったのか。唯一残った兄に対する反応が滅茶苦茶なのは既に壊れてしまった後だからなのかな。

とは言え同情はできないんですけど。
でも王女の混乱と狂気に乗じてコトを為そうとしたダニラスが最大の悪だと思う。彼自身の正義と忠義に従った行動とはいえ。

 

結局、純粋に王家への忠義を尽くしたのってシャーリーだけだったのでは?
でもその忠義の在り方は少し自罰的すぎないかな・・・とも思ったのだけど、その認識を覆すシャーリーのセリフがとても好きです。

「血が終わったからこそ、果たされなかった責務を投げ出してはならないわ。それを果たさなければ、シャーリー・ヒンスですらいられないもの。
(中略)
そうでないと、この名を名乗る際、責任を放棄する手段としての理由が混ざり込んでしまう。そうなったら、私はこの名を名乗る権利を失うわ。」

生き返ったから全てリセットされるわけではない。過去に囚われているわけでもない。
過去をなかったことにできないからこそ、今の人生を生きるために過去を背負う覚悟を見せなければならない。
それを実践するシャーリーはとても格好いいな、と思います。自分に厳しいのだけど、それは彼女が「シャーリー」であるために必要な気持ちなんだなって。

 

シャーリーの覚悟で張り詰めた姿はとても儚げで見ていてハラハラするのだけど、でも実はとても強い人ですよね。たおやかな仕草の中に垣間見える必死な執着にこそ心惹かれるヒロインです。

「だから私は、この生であなたを愛し抜きたいの。だからこそ、奪っていいなどと言っては駄目よ。私は欲深く醜悪な女なのだから。そんなことを言えば、全て根こそぎ奪い取ってしまうわ」

「カイド、私、あなたの果てになりたい」

一緒にお墓に入ろうね的な約束をこんな共依存的にエモく狂おしい愛の誓いに変換されると素敵すぎてドキドキする・・・・・・

 

4巻もあるのかなー?
「シャーリー」と「カイド」の恋はまだ始まったばかりなので、続きもぜひ読みたいです。

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守野 伊音
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発売日: 2019/04/10
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