ナイトメアはもう見ない 夢視捜査官と顔のない男 /水守糸子


ナイトメアはもう見ない 夢視捜査官と顔のない男: 夢視捜査官と顔のない男 (集英社オレンジ文庫)
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評価:★★★☆☆
2019年1月刊。
2018年ノベル大賞佳作受賞作。
モノや人から記憶を読み取り、それを夢に見ることで犯罪捜査を行う夢視捜査官。
夢視捜査官である友人の失踪から始まる事件は、思わぬ再会と予期せぬ真相へと繋がっていくのです。
夢視というファンタジー要素が面白いサスペンス。
悲壮なストーリーの中で、懸命に前を向こうとする気丈なヒロインが素敵でした。

☆あらすじ☆
夢で他人の記憶を見る異能を持つ“夢視者”の笹川硝子は、特殊捜査官として京都府警に勤めていた。
遺体に触れるとその者の死の瞬間を追体験できる能力を活かし、事件を解決に導いている。
そんな中、同じ特殊捜査官で先輩でもあった川上未和が、硝子に「ナイトメアはもう見ない」という謎のメッセージを残して行方不明になってしまう。
さらに未和の汚職疑惑が発覚し…?
2018年ノベル大賞佳作受賞!

以下、ネタバレありの感想です。

 

睡眠時異視症候群という疾患を抱えた罹患者のうち数パーセントしかいない夢視者で構成され、特殊な犯罪捜査を行う夢視捜査官
この春から夢視捜査官として京都府警刑事部捜査一課に配属された笹川硝子は、日々職務に邁進していた。
そんなある日、同じく夢視捜査官でもある友人・未和が行方不明となる。
失踪直前に未和から「ナイトメアはもう見ない」という不思議なメッセージを受け取っていた硝子は、何かがおかしいと独自に調査を開始するが—— というサスペンス。

 

物や人から記憶を読み取り、それを夢という形で追体験する夢視。
そんな特殊能力を持つ捜査官が、制度として運用されている警察組織のユニークさにワクワクしました。
夢視にあたって様々なルールが決まっていて、そこが世界観のリアリティを担保しつつ伏線にもなっていたのが良い。
しかし薬剤を利用しないといけないなんて、なんかちょっと怖いな・・・と思っていたら・・・・・・

 

友人失踪から始まり、思いがけない再会(?)を経て、硝子が辿り着く真相。
「そんなことで・・・!?」とびっくりするような動機ではあったのだけど、これもまた「夢視捜査官」の特殊性を背景にしたものであることを考えると、どこか納得してしまう気持ちもありました。
いやだって夢視とか言われても怖いじゃないですか。
そんな胡乱なもの(夢の内容は夢視本人しか分からないし、しかも外れるケースもあるんでしょ?)を根拠にして罪に問われるとか勘弁してくれって私は思ってしまう。実際、作中でも反発はあったわけで。
だからこそ、全てを捧げて築き上げた信用を失うわけにはいかないと凶行に走る気持ちも、まぁ、分からんでもないかな・・・・・・理不尽なのは間違いないですけど。

 

その理不尽さを硝子ひとりが背負うことになるのがまた切ない。
友人も家族も好きな人も全てなくしてしまった・・・・・・必死に捜査を続ける一方で心を軋ませていく硝子の苦しみが辛かったです。

まぁでも、取り返せるものもあったか・・・?

硝子とあきの関係は切ないのだけど、裏切られた女と裏切った男の微妙な距離感はエモみがあるんですよね。
硝子の気持ちを受けいれないくせに、誰よりも硝子のために必死になっていたあきはズルいと思う。ズルいのに素敵だから余計にズルい!笑
ただ、心配していた硝子の恋の結末は明るい未来を期待させる感じで良かったです。ラストのあれは鋼のメンタル(自称)の硝子らしくて良い。泣いて怒って訣別するよりも、笑って元気よく振り向かせるほうが彼女らしいと思いました。

 

良い刑事サスペンスだと思いました。
ただ、タイトルや作中で意味深に使われた「ナイトメアはもう見ない」という言葉が、事件の真相そのものとはあまり絡んでなかったことが個人的に惜しかったかな。
ナイトメア、耐性ができることとも未承認薬の副作用とも関係なさそうでしたし(読み飛ばしてなければ・・・)(耐性できて夢視ができなくなることを指していたのか?でも「ナイトメア」自体が専門用語だよね?)

綺麗に終わっているけれどシリーズ化するだろうか。
期待してます。

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