異世界拷問姫7.5 /綾里けいし


異世界拷問姫7.5 (MF文庫J)
異世界拷問姫7.5 (MF文庫J)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2019年2月刊。
美しく残酷なダークFTシリーズ初の短編集。
懐かしき日々を描きつつ、次なる戦いへと繋がる1冊となっていました。
もうね、可笑しくて愛しい日常を見ると涙腺がやばくなってしょんぼりしてしまうんですけど・・・!

☆あらすじ☆
当代最高峰のダークファンタジー、待望の短編集。
これは櫂人やエリザベート、ヒナ達が過ごした日常、夢のように幸福な記憶――遠い日々。
櫂人は悪夢に悩まされ、エリザベートは狂信者に押しかけられ、ヒナは行方不明になっていた?
また、終焉回避後の『ある日のこと』、櫂人とヒナの提案で、エリザベートの治安維持部隊隊長就任三周年目を祝う宴が開催されることになり……?
天然たらしっぷりを発揮するイザベラ? のろけるジャンヌ? ヴラドにウザ絡みする『肉屋』?
会場はカオスな様相を呈するが……?
Web連載短編に書き下ろし小説&イラストを加えた豪華短編集。
これは幸福の断片、そして先へ繋がる物語。

以下、ネタバレありの感想です。

 

今回の表紙をかざる1枚絵、めちゃくちゃ美しいんですが・・・!眼福すぎて興奮します。
鵜飼沙樹さん、幻想的で妖艶な色使いが本当に素敵ですよね。異世界拷問姫の世界観を見事に再現していて最高。

 

今回は1つのエピソードを2つの視点から更生する短編が3組収録されています。

まずは櫂人がみていた悪夢の話。
櫂人視点だとなんか嫌な夢を見るな〜ってくらいのテンションなのに、エリザベート視点の櫂人の苦悶顔がやばすぎてゾッとしました。
たぶん櫂人は自分がこういう顔してうなされていることを知っても「そういうものかー」くらいで済ませそう。
痛みを恐れつつ、慣れきっている。
そんな彼の歪で哀しい性を感じつつ、エリザベートのぶっきらぼうな優しさにキュンとするお話でした。

そして「ここから先は、全て余談だ」を読み、哀しいのは従者だけじゃないんだよな・・・と思ったり。
眠るのを恐れないエリザベート。その気高さが本当に格好良くて、哀しい。

 

こんな血生臭い話が『日常』かよ!!!

いや、そうだね・・・・・・そうなんだよね・・・・・・

おぞましい世界で醜悪な感情をぶつけられ、その通りだと笑うエリザベートが、もうね、ほんとに・・・!
もう少し自分に優しくしてもいいのに!と切なくなっていたら『裏』のヒナ&肉屋に完璧に癒やされました。このコンビ、意外性あるけど可愛い。
「怪物などと、この私が絶対に呼ばせはしない」というヒナのセリフがまた最高なんです。
エリザベートの悲しみも矜恃も全て分かった上で、彼女に寄り添う姿が尊すぎて。
きっと、あの瞬間のエリザベートにはヒナの助けが必要だったから。彼女は運命を受け入れすぎる・・・・・・

 

他の2人の話と比べて明るいコメディ分満載なエピソード。
ヒナの人徳ですね〜。そして改めてエリザベート・櫂人・ヒナの3人の関係がすごく良いと思いました。
いつまでもいつまでも、三人で幸せに暮らしてほしかった。

 

断片的に紡いできた『誰か』の述懐。
その正体に分かると、彼女の困惑と疑問と憎悪に入り交じった語り口にゾクゾクとしてしまいます。
そして、この「伝言」がどうやって、どこから語られているのかが分かると更にゾクり。

これは慈悲なのだろうか。

慈悲と呼ぶにはあまりにも哀しくありませんか。
IFとしてもあり得ない夢。
だからこそ、賑やかで幸せなみんなの姿に胸が締め付けられそうになります。ほんともう切なすぎるんだって!つらい!!

全てなくしたエリザベートに、全てを手に入れた夢を与えるってなんて残酷なんだろう。
彼女が夢に耽溺するような人ではないと分かっているからこそ、いずれ目覚めるとわかりきっているからこそ、この幸福感が悲しすぎて。

 

「聖女」と「拷問姫」の束の間の邂逅。
誰かが語る「自分」を自分ではないと否定し混乱し動揺する聖女と、誰かが語る「自分」もまた自分だと受け入れる拷問姫の在り方がとても対照的で、それだけに強く印象に残りました。
あまりにも正反対な二人の存在は、この先の戦いに何をもたらすのでしょうか。聖女は何をするのだろう。

 

せめて戦いの結末に、この夢と同じくらい幸せな未来が待っていればいいのにな・・・・・・

異世界拷問姫7.5 (MF文庫J)

異世界拷問姫7.5 (MF文庫J)

綾里 けいし
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発売日: 2019/02/25
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