キミの忘れかたを教えて2 /あまさきみりと


キミの忘れかたを教えて2 (角川スニーカー文庫)
キミの忘れかたを教えて2 (角川スニーカー文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2019年3月刊。
読書メーター運営事務局様よりご恵投いただきました。
青春に未練を残した大人達の恋愛を描くシリーズ第2弾。
1巻の結末からどう続くのかとハラハラして読んだのだけど、今回のメインは修と鞘音が関わることになる、ある一人の女性の恋のお話。
臆病で、ズルくて、踏み出せない。そうして勝負の土俵に立つことすらできず、密かに拗れてしまった恋心をどうすればいいのか。
彼女が辿り着いた答えはとても不器用だったけれど、その先を見守りたくなる親しみを感じました。むしろ共感が半端なくて突き刺さる・・・・・・

☆あらすじ☆
感動の声多数。WEBで話題となった大人の青春物語、第二弾。
好きな人と永遠に結ばれる。そんな迷信が噂されるスノーランタンフェスに参加することになった修たち。フェスを企画してくれた三雲さんは過去、その迷信に想いを寄せた一人で……。 奏でる音楽が再び奇跡を起こし、様々な気持ちを紡ぐ――。
『かつて、才能を持った幼馴染の女の子から無様に逃げ出した経験を持つ主人公の境遇が、凡人として他人事に思えず惹き込まれました。――星野流人(ほしの)(読書メーター)』『どんな形であっても本当に無意味な時間はなく、未来は分からなくても儚い優しさが詰まった読後感は素敵。――みかこ(読書メーター)』
1巻発売後も多くの感動の声。大人の青春物語、第二巻。
電子版特典として、電子限定書き下ろし短編『エミ姉の部屋にお泊りする男』を特別収録!

あらすじに名前が載った・・・!
以下、ネタバレありの感想です。

 

青春のロスタイムを歩み出した修と鞘音。
そんな二人の前に現れたのは、旅名川観光協会に勤める三雲雛子だった。
三雲から観光PRへの協力を求められたことをきっかけに、2人はスノーランタンフェスに参加することを決めるが—— というストーリー。

 

修の容態は大丈夫なのか、鞘音との関係は安泰なのかと、色々と不安を抱きながら読み始めた第2巻。
蓋を開けてみれば今回のメインは三雲雛子の初恋の物語。この三雲の恋の話は、1巻に負けず劣らず刺さるものでした。

 

兄妹のように仲良しで、初恋を自覚する前から追いかけていた年上の幼なじみ。
その関係を崩したくないから。今のままでも“まだ”大丈夫だから。
そうやって臆病を言い訳しながら、自分の気持ちをこっそりとアピールする。
こんなに頑張ってるのに全然気づいてくれない!と怒りつつ、気づかせるような一歩を踏み出すことはしないまま。

変化を期待しつつ現状維持に甘んじる心って、なんて共感できてしまうのか。刺さるからやめてほしい。
可愛くてキラキラしてて、未来を知ってるからこそ痛々しい過去の三雲。その姿に心臓を掻きむしりたくなりました。

 

恋に煩うヒロインな自分に酔って、いつかは報われるに違いないと根拠のない期待にときめく。
搦め手は使うくせに、自分の恋を伝えるような直接的なアクションは何も起こさない。
それでいて「頑張ったふりだけは上手い」

前巻も思ったけど、頑張ったつもりになっていた過去を掘り返して後悔させる描写が秀逸すぎて泣ける。感情移入しすぎて辛い。

 

そして、自分のダメな部分に自覚があるからこそ三雲雛子の初恋は終わらないのです。

 

後悔と未練ばかり募らせる三雲雛子の初恋。
拗れた想いはかつての輝きを失い曇っていて、今さら消せないほど彼女の中に根付いてしまっている。
想い人は既に幸せを手に入れていて、もはや彼女が入る余地なんてないのに、彼女だけが青春の残骸に取り残されている様子が辛くて辛くて・・・・・・。
もらったジャージを今も寝間着にしている姿とか本当に胸が痛かった。本当にそこから1歩も前に進めてないのだとハッキリわかってしまうので。

 

そんな彼女が必死に作ろうとした、恋を吹っ切るための舞台。
「スノーランタンを作った男女は永遠に結ばれる」という因縁あるジンクスを選んだ彼女の諦めの悪さが、私はなんだか好きでした。
心の大部分は失恋を受け入れていて、あんなものは嘘っぱちだとジンクスを嗤う自分もいるのにね。でも、ほんの少しの「もしかしたら」を捨てられない。
そういう矛盾した心を持て余す不器用さが好きだなって思うんです。

 

拗れてしまった初恋を持て余し、今度こそケジメをつけようという覚悟でのぞんだスノーフェス。
彼女を待っていたのは、幻想的で儚いスノーランタンの光と、年齢バラバラな制服姿の集団。
過去と現在が混ざり合う不思議な光景は、まるで過去に取り残されて今に至る彼女の恋を示すかのようでした。

 

そうして最後に三雲が出した答えは、今までと同じようでいて少し違っていて、とても彼女に似合う考え方だと思います。
ケジメついたぞ!よし終わりだ切り替えろ!って無理だしね。そんな簡単に捨てられる想いだったら拗れないし。
諦めの悪い自分を馬鹿にして嫌っていた彼女が、自分自身を受け入れたことに意味があると思うのです。
自分を嫌い続けるのは辛いから。
誰にも迷惑をかけないのなら、自分一人くらい自分の恋を許してあげてもいいと思う。
開き直って笑う三雲は、「可愛がられる妹分」でも「背伸びした中学生」でもなく、とても強くて綺麗な大人の女性に見えました。
うん。変わりないようでいて、やっぱり前に進んでいると思うんだ。

 

さて。

 

三雲の初恋ストーリーの舞台裏で、必死に奔走していた修と鞘音。
彼らの恋の行方が私にはとても気がかりだったのですが、これは、うーん・・・・・・不穏・・・・・・

とても幸せそうなのに、その幸せを必死に握りしめているんですよね。見えない未来に怯えている。
「いつまでも一緒にいたい」という願いの強さは、それが失われることへの不安の裏返し。
ようやく取り戻した彼らの青春は、どこまで続いていくのでしょうか。
修の体がどんどん崩れていく様子に「余命を延長されただけ」というメッセージを感じとり、本当にすごく怖いのだけど・・・!

 

余談。
前巻の感想で「この先を知るのが怖いから続編を読むか悩む」と書いた通り、実は2巻を読むか悩んでいました。
そんな時に読書メーターアカウントへ届いたレビュー掲載依頼。
軽率にOKしたら裏表紙に名前が載りました。てっきり帯に載ると思っていたのに、まさかの裏表紙・・・!

貴重な経験ができてドキドキしています。
これはもう「怖くてもちゃんと続きを読めよ!」というお告げ的なアレではあるまいか。

というわけで3巻も読みます。
しっかり修たちの青春の結末を見届けます。かかってこいやー!(怯)

キミの忘れかたを教えて2 (角川スニーカー文庫)

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あまさきみりと
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発売日: 2019/03/01
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