紅霞後宮物語 第九幕 /雪村花菜


紅霞後宮物語 第九幕 (富士見L文庫)
紅霞後宮物語 第九幕 (富士見L文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2019年2月刊。
新章スタート。
「皇后」としての小玉の本当の意味での始まりを感じさせる展開でした。
これはまた面白くなってきたなぁ・・・!

☆あらすじ☆
鴻の立太子に揺れる後宮――。後宮は小玉の敵となるのか、味方となるのか
敵対する司馬氏は消えたが、梅花がいなくなったことで後宮の規律は乱れ、小玉の負担は増大していた。真桂と紅燕が小玉を支えるが、反小玉の動きを見せる妃嬪も出てきている。そんな中、鳳に関するある噂が届き――?

以下、ネタバレありの感想です。

 

梅花を失い、鴻が立太子したことで、急速に統率が失われていく小玉の後宮。
梅花の存在の大きさを感じつつ、「皇后」としての小玉の未熟さを感じる内容でした。

 

小玉、8巻に至るまで大活躍していたし後宮内でも妃嬪からあつい支持を受けていたのに、状況が変わればここまで崩れるのか。
結局彼女の人気は武将としてのものであり、「ヒーロー」に夢をみる少女達の「お祭り」でしかなかったんですね。
まぁ後宮政治を梅花と文林に丸投げしていたわけだから(二人がそう仕向けていたのだけど)、「皇后」として君臨する力が身につかなかったのは仕方ないことなのかも。

 

でもそれではダメなのです。
だって小玉には望みができてしまったから。
文林を自分だけのものにしたい、という小玉の直球すぎる想いにドキッとしてしまいました。
自分だけのものにならないからと距離をとっていた小玉がなぁ・・・・・・やるからには徹底的に、というのは彼女らしい。

 

皇帝を独占する罪を背負う一方で、未来の後宮のことも考えねばならない小玉。
その意識こそ「皇后」としての小玉の第一歩なのかもしれません。

実質的な後宮のトップに立つことは、政治駆け引きを求められるということ。
今までとは少し違う物語を楽しめる予感にワクワクします。

それはまるで武官のときのようだった。そう思うと、なぜか心が勇みたつのを感じる。十代、そして二十代に感じていた昂ぶりだ。
この状況を乗りきりたいと思っている今の自分に、悲壮感はあまりないのだ。
——この男を、あたしのものでいさせ続けるために。

8巻までの物語って、小玉の老いを描いていく一面もあったと思うのです。
でも新たな戦場、新たな目的をみつけ、闘志を燃やす小玉には若々しさを感じる。不思議だ。時間は確実に過ぎているのに。
ここからどうなるのでしょうか。
更年期だ何だという話は割と辛いものがあったので、エネルギッシュな小玉の活躍に期待したいものです。

 

また、新章は小玉と文林の関係も大きく変わっているように感じました。
小玉と文林、それに鴻も加えて「家族」という形が様になりつつあるというか。文林、まさかこういう形で父親ヅラできるようになるとは思わなかった。
「小玉のために」という思考からスタートするあたりはブレないけれど、鴻のことも人として認識できるようになったんだなぁと感慨深くなりました。人でなしがちょっとマシな人でなしになった感。

 

もしかしたら「家族」の在り方もテーマになっていくのかな?
今回は「なさぬ仲」に対する部外者からの憐憫に苛立つシーンが多かったので。
外野の物言いに惑わされず、小玉自身が「家族」の在り方、「国母たる皇后」としての在り方を見つけていく物語になるのかなって。

 

しかし「かわいそう」って私も軽率に使っちゃうけど自分を上段に置いた物言いなんだよな・・・・・・本当に気をつけよう・・・・・・
悪意がなくとも相手を傷つけることは世の中に沢山あるし自衛も難しいのだけど、せめて価値観の押し売りになってないか否かだけは考え続けないとなぁ。今回の話は耳に痛く、心に響きました。
馴染んだ価値観であればあるほど、それが他者にも共有されていると信じがちなんですよね。むむむ。言うは易し。

 

新たなる物語が描かれるなかで、既存のキャラクターの掘り下げもされていたのが印象に残る第9巻。
特に真桂は大幅に好感度をあげてきましたね!
小玉の信奉者というキャラは変えないまま、盲信ではなく友情を築いていく。
敵だらけとなった後宮において、彼女の今後の活躍がますます楽しみになりました。

 

あと、今回の騒動の顛末が、ね。
悪役がちょっと善性をみせると株をあげるやつ、そういうあざといの嫌いじゃないし、エピローグは不覚にもウルッときてしまったよ・・・・・・帳尻合わせであろうとなんだろうと、愛情のために身を捨てた人を悪く思い続けることは難しい。

紅霞後宮物語 第九幕 (富士見L文庫)

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雪村花菜
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