ことのはロジック /皆藤黒助


ことのはロジック (講談社タイガ)
ことのはロジック (講談社タイガ)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2019年2月刊。
おもしろかった!
言葉を集め尽くして筆を折った元天才書道少年と、興味を惹く日本語を集めるのが趣味だという外国からきた少女。
少女に一目惚れした少年は、彼女の好奇心に付き合って様々な言葉の謎に挑みます。

知り尽くしたつもりでも、まだまだ奥が深い日本語の世界。
ひとつの漢字に幾通りもの意味と読み方が与えられ、また、誰かの想いを込めた新しい意味と読み方も生まれる日本語。
その美しさに胸がどきどきするミステリーでした。

青春小説としても素晴らしく、特にラストシーンが最高です。

果たして主人公は「月が綺麗ですね」を超えるI love youを伝えられるのか。
自分たちに相応しい言葉を見つけることができるのか。

最後までワクワクしながら楽しめました。シリーズ化してほしいけれど、かなり綺麗に終わっているんだよなぁ。
著者の他の作品も読んでみようと思います。

☆あらすじ☆
書くべき言葉を見失った元天才書道少年の墨森肇は、金髪碧眼の転校生アキに一目惚れ。しかし、アキの憧れがI love youの名訳といわれる「月が綺麗ですね」を超えた告白をされることだと知り、頭を抱える。回し手紙の伝言ゲーム、存在しない幽霊文字“彁”、同人誌の不可解な改変など言葉にまつわる事件を解決し、肇は日本語史上最大級の無茶ぶりに応えて無事告白できるのか!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

かつて天才ともてはやされたものの、もはや言葉に感銘を受けることも人を感動させる言葉を書くこともできないと諦め、書道に向き合えなくなった少年・墨森肇
そんな彼の心を一目で奪ったのは、アメリカからきた転校生・アキ・ホワイトだった。
知らない日本語を集めるのが趣味で、心臓をドキドキさせるような言葉を心に刻みつけたいというアキ。
日常にまぎれこむ様々な「言葉の謎」に興奮するアキに引っ張られるようにして、肇もまた改めて日本語の世界に向き合うようになるのです。
彼女が望む、「月が綺麗ですね」に負けない告白の言葉を探しながら——

 

肇とアキが挑んだ最初の事件。
指定された時間になっても集合場所に集まらないバレー部員の謎に挑むエピソードなのだけど、これは、うーん、これはチュートリアルだったのかな。
謎をつくることが優先でストーリーがいまいちなんですよね。
そんな間違いあるか?しかも続くか!?っていう不自然さ。
特に「ぎなた読み」はどれだけ平坦なイントネーションで言ったんだろう。何度か試したけどこれで誤解させるの難しくないだろうか。
あと「I体操部」についても、画面見ずに打ってそのまま送信したのかな?って感じで・・・・・・
謎の前でキラキラするアキは可愛かったんですけどね。

 

幽霊文字の読み方探しのエピソード。
1話で少し落ちたテンションが一気に上がる面白さでした。そして二話め以降は最後まできっちり面白かった・・・!

幽霊文字という不思議な存在を読み解くうえで、漢字本来のものとは異なる読み方をあてる名付けの慣習が綺麗に絡めてあるんです。
「彁」の読み方自体知らなかった私ですが、パーツから文字に込められた意味や意図を探っていく手法が面白くてワクワクしました。

同じ読み方を通して違う言葉を連想させる言葉遊びも楽しい。
これはラストのエピソードにも繋がっていたし、また、意味を取り戻した言葉を記憶に刻みたいという願いもラストで更に重みを増すわけです。

「俺たちはきっと、あの子の名前を一生忘れない。それだけで、きっとこれからも言葉を楽しんでいい理由になると思う」という肇のセリフ、二話時点でも感動的だったけれど全て読み終わった後だと更に深く心に響くな・・・・・・

 

耳が聞こえない少年と目が見えない少女の話。
若干忘れかけていた「月が綺麗ですね」超えの告白というお題、先に答えを出されちゃった?と動揺するくらい、二人の交わした暗号は素敵なものでした。
彼と彼女にしかできない告白だからこそ、特別感が強くて良い。
「俺がヒカリを感じ取っているほど、ヒカリは俺を感じ取ることができていない」という切ないセリフがまさかこんなときめきに繋がるとは・・・・・・

凝りすぎてヒカリちゃんが一人で解けない問題になっていたのは、ああ〜〜中学生〜〜〜(笑)(泣)という感じでほっこりしましたけどね。
でも「読めるようにするために、まず読ませないといけない」という矛盾って確かに不自由ない人間からすると見落としてしまうことなのかも。ユニバーサルデザインの難しさを感じます。

そもそも暗号ではなく言葉で伝えればよかったのでは?とかも思ったのだけど、機械音声を介するのではなく直に触れて「感じ取って」ほしかったんだろうな。ロマンチックだ。

 

最初から何やら怪しげな挙動をみせていたアキ。
そんな彼女の謎に、ついに肇が踏み込んでいくエピソードです。

これがもう切なくて・・・・・・
二話の記憶喪失のくだりで見せた反応から、彼女が何を抱えているのか察するものはあったけれど。

「特別扱いしてほしくない」という気丈なアキが、自分を偽っていたことは、本当にどれだけ悔しかったことだろう。
ぶしつけなまでに言葉の謎に首を突っ込むのは言葉に対する極度の飢餓感のあらわれだったわけですよね。
ドキドキを求めているのはそこに希望があると信じたかったから・・・・・・ううう切ない。

 

アキの事情を知り、今まで彼女と解き明かした様々な謎を振り返り、そうして肇がみつけた彼渾身の「I love you」の言葉。

これがもう素晴らしかった・・・!

書道少年という触れ込みながら一度も筆をとらなかった肇。
知り尽くしたはずの言葉の魅力を再発見した彼が、自分の言葉よ届けとばかりに必死で書いたひとつの言葉。

胸が震えるとはこういうことでしょう。
アキの心臓もきっと今までで一番強く高鳴ったに違いない。

漢字とはひとつの形にいくつもの「読み」と、いくつもの「願い」を与えることができるもの。
そして、同じ読み方を通して、異なる言葉に転じることができるもの。

今までの謎やロジックを彷彿とさせる、肇なりのラブレター。
最初は羽流が勝手に出したそれを、今度こそ肇は自分の意思でアキに届けたのです。

アキとの出会いから今に至るまでの、全ての軌跡を辿るかのようなラストシーンが最高でした。
肇とアキが、ヒカリちゃん達みたいな補い合う関係になってるのも素敵。
アキに言葉を届けるために、肇はこれからも言葉に向き合っていくのでしょう。それならきっと未来は明るい!

 

ん〜〜〜良い話だった!とホクホクしてたら最後の最後で章題が回収されて悶えました。アキ可愛いなぁ、もう!


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「ことのはロジック /皆藤黒助」への2件のフィードバック

  1. 外国人の女の子!?
    多田くんは恋をしないを思い浮かべました。買います(笑)

    1. 茶一こりんさん、コメントありがとうございます!

      金髪の可愛い女の子ですよ!!

      多田くんは恋をしないってアニメですよね??見たことないですー。今度レンタルしてみます(^^)/

      「ことのはロジック」とても面白いので是非ぜひよろしくお願いします〜!

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