八雲京語り 宮廷に雲雀舞いつづる /羽根川牧人


八雲京語り 宮廷に雲雀舞いいづる (富士見L文庫)
八雲京語り 宮廷に雲雀舞いいづる (富士見L文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★★
2019年2月刊。
めちゃめちゃ面白かった!!
武家と公家の和睦のため、幼い東宮の妻となった武家の鬼姫。
仮初めの東宮である夫を本物の帝とするため、慣れない公家社会で奮闘する鬼姫の活躍を描いた和風ファンタジー第2弾。

主人公夫婦とライバル夫婦の戦い、そこで描かれる夫婦の絆が今回もとても熱かったです。
てかもう妻同士の関係が最高すぎて。

強い女と強い女が「彼女には絶対に負けられない!」と闘志を燃やし、互いに刺激し合い、正々堂々と技を競う。
そこに暗い感情はなく、あるのは高潔な対抗心のみ。

これがもう本ッッ当に気持ち良い関係なんですよ・・・!

どこかスポ根少年漫画を彷彿とさせる、夫婦VS夫婦の雅な戦いが前巻にも増して最高でした。
刀を交えるガチバトルもあって、これもまた読み応えあり。
最高だから読んでください!お願いします!

☆あらすじ☆
女らしくなくても、舞が下手でも――「雲雀は僕にとって、理想の妻だよ」
男が箏を奏で女が舞い、出来映えを競い合う宮廷行事「豊寿の舞」。鈴鳴は半ば強引に雲雀との参加を決める。しかし、昨年の勝者である鎬雨が何者かに襲われてしまう。賊として捕らわれたのは雲雀の部下・有宗で――?

以下、ネタバレありの感想です。

 

鈴鳴に引きずられるようにして、「豊寿の舞」に参加することになった雲雀。
それは男女一組で箏と舞を披露し、最も票を集めた組に「豊寿の君」「豊寿の姫」という名誉ある称号を与えられる宮廷行事。
ここでもまた暮明・鎬雨組と対決することになったものの、前回とは違い、舞の経験がない雲雀にはかなり分が悪い。
しかし突如起こった鎬雨襲撃事件によって、事態は一変する。
雲雀の昔なじみ・有宗が犯人として捉えられ、にわかに高まる武家と公家の緊張状態。
そして中宮・藍霞「豊寿の舞の勝敗をもって有宗の裁きを決する」と宣告したことから、雲雀の舞の出来に有宗、ひいては武家と公家の趨勢が握られることになってしまい—— というストーリー。

 

「豊樹の舞」にまつわる神話が、現実の雲雀の戦いにリンクしていく構成が素晴らしく面白かったです。
災厄を逃れるため、全てを魅了するよう美しく舞う姫君たちの戦い。
舞の経験など持たない雲雀は、武家と公家の争いを避けるために必死に舞を練習しながら奔走するのです。
その姿はまさしく神の怒りから逃れようとする神話の母娘のようでした。

母が子を守る逸話を彷彿とさせるように、大切な存在である鈴鳴や有宗を守ろうとする雲雀。
ここで面白いのは、この「母が子を守るように」というのが、夫婦関係にある鈴鳴と雲雀の間では亀裂につながるということ。
神話に似た状況にあっても、雲雀には雲雀の物語があるんですよね。そして鈴鳴はただ守られるだけの存在ではなくて。

夫婦は一方的に守られる関係ではない。
互いに守り合い、助け合い、支え合い、そうして困難に立ち向かっていくものなのです。

今回はそのコンビネーションこそ試されている感じがして、前回とは違った魅力をみせる夫婦の絆に震えました。
あとがきに1巻がシングルスなら2巻はダブルスと書いてあったけれど本当にそれ!
舞う雲雀を鈴鳴の音が導いていく。そして鈴鳴の心を受け止め、雲雀はさらに力強く舞う。
終盤の鬼との戦いは激しくも美しく、雲雀と鈴鳴の息ぴったりな共闘が最高でした。

 

雲雀・鈴鳴組に負けず劣らずエモい絆を見せてくれたのが鎬雨・暮明組。
前回の戦いを経て、こちらの夫婦にも良い変化が生まれている様子。
鎬雨に遠慮がなくなり(「いざとなれば暮明は私だけで殺します」のセリフ好きすぎる)、暮明は持ち前の大らかさで彼女に応えている。元から成熟したカップルだったけれど、変化を恐れることなく更なる高みを目指しているのが素敵です。
しょっちゅう衝突する発展途上な雲雀たちとは対照的ですよね。それがまた良い。
あと暮明はチャラい天才って感じでいけ好かなかったんだけど、今回は「鎬雨の夫」としての立ち振る舞いが満点すぎました。
こいつほんと憎めないんだよなぁ・・・!女の敵みたいな男なのに!笑

 

夫婦の絆や夫婦VS夫婦の構造も相変わらず良かったのだけど、今回特に最高だったのは妻同士のライバル関係。

最高の宮廷人としての振る舞いで自分を魅了する鎬雨に刺激される雲雀。
宮廷の常識に囚われず新しい考え方を自分に示す雲雀に刺激される鎬雨。

それぞれが互いに刺激され、「彼女こそ自分が倒すに相応しい敵である」と認め、だからこそ卑怯な手を使ったなどと欠片も信じないし、陰謀に負けて挫けることも許さない。
自分が勝つべきは最高の状態にある敵。自分を更なる高みへと導いてくれる彼女。
そういう風に競い合えるライバル関係って最高すぎません?
落ち込む雲雀に鎬雨が発破かけるシーンなんて、どこのスポ根少年漫画かな?って思いました。胸が熱くなりすぎて興奮した・・・!

 

雲雀も鎬雨もベクトルが違う「強い女」であり、そんな「強い女」と「強い女」が正々堂々と真っ向勝負に挑む話なんですよこれ。女の戦いっていうとすぐドロドロする傾向にあるけど、そういうのは一切ないんです。彼女たちの戦いに泥をつける陰謀はあっても、それに負けない高潔さを二人とも持っている。負けそうなときは片方が片方を叱咤して引っ張りあげる。私以外に負けることなんて許さない!って感じにね。特に鎬雨。負けず嫌いだからこそ中途半端な勝利は認めない。満足すべき勝利に必要なのは完璧で完全な状態の好敵手。彼女はそういう存在で、だからこそ自分は更なる高みへと手が届くと確信しているんです。は〜〜〜エモエモのエモ(ここまで早口)

 

あまりにも雲雀×鎬雨の関係が尊すぎて推さずにいられません。
そうやって女同士で白熱しつつも、闘争心の根幹にあるのは「私の夫こそ次代の帝になるべき男である」という強い意気込みなんですよね。
夫婦同士の戦いであることを決して忘れないところも最高なんだよ・・・!

 

本当に面白いです、この作品。
1巻に続き2巻も綺麗に終わっているけれど、あとがきを見るに3巻刊行の可能性もあるとか?
是非読みたいです!続きを楽しみに待ってます!!


 

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「八雲京語り 宮廷に雲雀舞いつづる /羽根川牧人」への2件のフィードバック

  1. こんにちは!二度目まして、みっちーです。
    祝☆続編!面白かったです!!
    2巻って面白くなくなる作品も多いのですが、これは前作と同じテンションで良かったです
    じつは、しばらくラノベから離れてましたが、みかこさんのおかげで続編が出たことをしりました。感謝m(_ _)m
    引き続きブログ頑張ってくださーい(≧∇≦)b

    1. みっちーさん、コメントありがとうございます(二度めまして!!)

      続編嬉しいですよね!
      2巻で勢いやクオリティが落ちる作品って確かに多いですもんね。ちゃんと期待に応えてくれる続編で本当に良かったです。
      みっちーさんに続編を気づいてもらえたならブログを書いた甲斐がありました!
      こちらこそありがとうございます!
      モチベに火を付けていただけたので、今後もブログ更新に励みます(^^)/

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