鏡のむこうの最果て図書館 光の勇者と偽りの魔王 /冬月いろり


鏡のむこうの最果て図書館 光の勇者と偽りの魔王 (電撃文庫)
鏡のむこうの最果て図書館 光の勇者と偽りの魔王 (電撃文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2019年2月刊。
世界を脅かす魔王と、その打倒を目指す勇者。
彼らが紡ぎ出す御伽噺のような物語のなかで、傍観者であるはずの少年は何を思うのか。
これは最果ての地にある図書館を舞台に、館長の少年が自らの役割を知る物語です。
王道RPGを思い出させる小ネタが満載で、思わずニヤりとしてしまいました。
話も1冊で綺麗にまとまっています。
ただ個人的に時系列や設定が分かりにくいかなぁ。私の読解力の問題だろうか・・・

☆あらすじ☆
第25回電撃小説大賞《銀賞》受賞作!
空間が意思と魔力を持ち、様々な魔物が息づく世界・パライナの北端に、誰も訪れない《最果て図書館》はあった。
記憶のない館長ウォレスは、鏡越しに《はじまりの町》の少女ルチアと出会い「勇者様の魔王討伐を手伝いたい」という彼女に知恵を貸すことに。
中立を貫く図書館にあって魔王討伐はどこか他人事のウォレスだったが、自らの記憶がその鍵になると知り……
臆病で優しすぎる少女。感情が欠落したメイド。意図せず世界を託された勇者。
彼らとの絆を信じたウォレスもまた、決戦の地へと赴く――
これは、人知れず世界を守った人々のどこか寂しく、どこまでも優しい【語り継がれることのないお伽噺】

以下、ネタバレありの感想です。

 

最果て図書館。
そこは、世界の果てにあり、世界中の本が収められた場所で有あり、誰ひとり来館者のいない御伽噺のなかの世界。
そんな最果て図書館の館長ウォレスは、自分がいつから図書館にいるのか分からないまま孤独を持て余していた。
しかし、ある日見つけた不思議な鏡を通して、「はじまりの町」に住む少女ルチアに出会ったことから、ウォレスは勇者と魔王の物語に関わっていくようになるのです。

 

この作品、ドラクエとかFFのような王道RPGを思い出させる小ネタが多くて、そこがなかなか楽しかった。
「はじまりの町」の設定もそうだけど、どこにでも現れる旅の商人とか(ゲームでも「なんでこんな辺鄙で危険な場所まで来て商売してんだ?」っていうNPC商人いるよね)、もはや泥棒に近い勇者パーティの蛮行とか(なるほど被害者側からすると「腹は立つが勇者だから仕方ない・・・被害もそんなに高額ではないし・・・」という気持ちで泣き寝入りするのか)
王道RPGの世界観をNPCの視点から改めて眺めるような、不思議な距離感があって新鮮でした。
「最果て図書館」という世界から俗世から隔絶した舞台設定もいいんだろうなぁ。傍観者というウォレスの立場が物語に面白い変化を付けていたように感じました。

 

とはいえ、ウォレスが傍観者でいたのは中盤まで。
「なぜ自分は館長として図書館にいるのか」という彼の疑問は、ルチアと交流を深めながら勇者たちの冒険を見守るうちに、一つの真実へと辿り着くことになります。

この展開自体は悪くなかったのだけど(私もウォレスと同じミスリードに引っかかったw)、時系列が分かりにくい気がします。
私は最初、プロローグのおとぎ話の実態はウォレス=魔王、姫=リィリ、自称勇者=光の勇者という配役だったのかと思ってしまったんだけど、これって違いますよね?
こう考えると魔女がウォレスのことを「自我を取り戻すまでに何年も掛かった青二才」と言っていたり、光の勇者は世界を愛する男だったとか言ってることがおかしくなる。

つまり、

光の勇者の物語(光の勇者が魔王を倒す。図書館で魔女と会う。「むかしむかしのお話です」)

ウォレスとリィリの物語(魔王はいなくなったが自然災害が頻発していたのでウォレスに魔王役を押しつける。数年前の話。「少しだけむかしのお話です」)

ウォレスが最果て図書館の館長になる

自称勇者が魔王化

本編スタート

という時系列だと思うんですけど、これ、分かりにくくないです?
要するに作中のおとぎ話は2つあって、魔王役は3人いたわけなんだけど、うーん、最後の魔女による情報整理がうまくいってない気がする。
いや、ちゃんと一読で理解できた方も多いんでしょうけど・・・・・・私は読友のよっちさん(@yocchi_reading)に検討を手伝ってもらってようやく理解できた・・・・・・

 

まぁいいや。

 

真実を知ったウォレスが引きこもりをやめて世界と向き合うことになるストーリー自体は面白かったです。
ルチアとのほのぼのして賑やかな距離感も可愛かったけれど、でもこれメインヒロインはリィリの方がエモかったのでは・・・?

 

綺麗に終わっているから単巻完結かな。続きがあるなら読みたいです。


 

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「鏡のむこうの最果て図書館 光の勇者と偽りの魔王 /冬月いろり」への4件のフィードバック

  1. 電撃新人賞の感想待ってました!

    僕も最初読んだときは時系列とか設定がよくわからなくて焦りました……。けど、その分何度も読み直してやっとわかったときの嬉しさがスゴい大きくて、とても楽しみながら読むことができました。
    ただ1巻で満足しすぎて2巻が出ても買わないか、買っても積んじゃうかも……。次回作に期待したいところです。

    1. スズナリンゴさん、コメントありがとうございます。

      お待たせしました!(待っていてくださるなんて嬉しいです・・・!)

      時系列は分かりづらいですよね。
      スズナリンゴさんのコメントを読んで、自分が何度も読み返して物語を味わうことを忘れていたことに気づいてしまいました。一回めで分からないと、すぐ「分かりづらい」とか言っちゃう・・・ダメですね。ちゃんと物語と向き合わねば!

      確かに1巻で綺麗に終わっているので、この先を続けても蛇足になりかねないし、私も積んでしまいそうです。
      次回作ほしいですね。期待しましょう!!

      1. 調べてみたんですが、第2巻は「湖底ゆらめく最果て図書館(仮)」とタイトルを変えて初夏に発売するとのことです!(最果て図書館特設サイトより)
        青ブタみたいに巻ごとにタイトルを変えて刊行していくんですねー。
        コミカライズも決定していますし、長く続けていきたいのかもしれませんね。

        1. 確認しました!
          https://dengekibunko.jp/title/saihate/
          ウォレスが主人公のまま続編が出るようですね。他のキャラにどれだけ出番があるのか気になるところです・・・。
          でも次も魅力ありそうな舞台設定っぽいので(地底湖!)、なんだか楽しみになってきました(*^_^*)

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