カサンドラ 炎をまとう女 /ミア・マーロウ


カサンドラ 炎をまとう女 (マグノリアロマンス)
カサンドラ 炎をまとう女 (マグノリアロマンス)

評価:★★★☆☆
2019年1月刊。
英国王室を脅威から守らんとする異能者の集団MUSE。
炎の魔法使いとして覚醒した準男爵令嬢は、自身の能力を制御しようと訓練するかたわら、スリルあるMUSEの任務に挑んでいく—— というヒストリカルファンタジーです。

様々な異能を持った人物が登場するファンタジーなのだけど、だいぶラブロマンス寄り。
性描写がっつりあるので苦手な方はご注意を。

物語の舞台は、ジョージ3世が狂気に落ちた後、摂政王太子時代となった1819年の英国・ロンドン。
マナーにうるさい上流階級のしきたりに抑圧されながらも、能力解放と同時に一人の女としても解放され、誰の庇護も必要としない強い女として成長していく主人公の奮闘が描かれていきます。

ストーリーは消化不良気味だし、終盤は駆け足すぎるかな。そこが惜しかったです。ラブロマンス自体は激甘で良かったけれど。
続編があるらしいので、不満点は次巻に期待ということで。

☆あらすじ☆
MUSE―それは、あまたある敵国の脅威から英国王室を守ることを目的に創設された特殊能力者集団だ。伯爵の後継者であるスターリングには、人心操作能力がある。そんな彼に課せられたのは、ここ最近、ロンドンで頻発する出火騒ぎの犯人を見つけることだ。おそらく火を操るその能力者は、力を得て間もない。そして、己の能力に戸惑っているはずだ。これ以上の被害を出さないためにも、すぐに見つけ出す必要がある。一方、社交界にデビューしたばかりカサンドラは、自分のまわりで出火騒ぎがたびたび起こるのを疑問に感じていて…。

以下、ネタバレありの感想です。

 

幼なじみに処女を捧げたことで、炎を操る能力に目覚めた準男爵令嬢カサンドラ
「もしや周囲で不審火が多発するのは私のせいなの?」と謎の発火能力に怯えるカサンドラは、純潔を失くした過ちのせいで上流階級での結婚に希望が持てず、しかもそれを奪った幼なじみは別の女と婚約し(愛人のお誘い付き)—— という、かなりの踏んだり蹴ったり状態から物語は始まります。

 

意気消沈するカサンドラの前に颯爽と現れたのは精神操作系の能力を持つ男・ギャレット
彼が所属するのは、異能者たちを保護するカムデン公爵が創設した敵国の脅威から英国王室を守るため暗躍する組織MUSE
ギャレットによってMUSEに拉致されたカサンドラは、そこで能力をコントロールするべく訓練を始めることになります。

 

ここ、特訓と聞いてワクワクしてたのに、火を操る訓練自体はざっくりと終わってしまうんですよね。
むしろ、火の魔法使い特有の強い性的欲求を解放させることでうっかり発火することを防ぐことが訓練のメイン??
エロいなーと思いつつ、そっちかーと少しがっかり・・・・・・特訓いうけど頑張ってるのギャレットやん、みたいな。

 

いやいや、この物語において能力の強弱や制御の可否は心の強さにかかっているわけで、そういう意味では欲求不満をコントロールする訓練が大事ってのは分かるんです。
カサンドラ自身も体内に渦巻く炎をコントロールしようと必死になってましたし。ただ、なんか地味だなって思っただけ・・・・・・

 

さて、様々な能力者が在籍するMUSEは、異能を生かしながら英国王室を守るためのミッションに挑みます。
中でも一番能力の使い方が面白かったのはギャレット。
センディングって要するにテレパシー+催眠(暗示)みたいな能力ですよね。
カサンドラを社交界の華にするために小細工しかけつつ、実態は盛大に惚気てるだけっていうのは笑った(でもそこお仕事は関係ないな?)
ギャレットの能力はめちゃんこ便利な上に小回りがきくので、基本的に彼さえいれば任務はクリアできるんですよね。なんて有能な男なんだ・・・!

 

一方のカサンドラも発火能力を使いこなしてからは悪戯に火を付けたり、ラストバトルでは盛大に炎のリングを作ったりと、終盤になるにつれて異能者らしい活躍を見せてくれるようになりました。
ただ、カサンドラに関しては任務(潜入が多い)と能力の相性が悪いのか、“能力者として”任務をこなしていたイメージが薄いのは残念。
そりゃギャレットも「この任務、カサンドラじゃなくても良くない?」とか言うよ。ギャレットは過保護だけど、公爵の采配も適材適所的に疑問がある。

ハニトラ仕掛ける任務も顔が割れてるカサンドラよりヴェスタの方が合ってたのでは・・・・・・どうせ身元はギャレットがセンディングでごまかせるんだし。
あとモノを探す任務で千里眼を連れて行かないのも、未熟とはいえ能力の持ち腐れだと思うんですよね。表に出さずとも裏に潜ませておけばいいじゃん。

このあたり、読みながら細々とした違和感に引っかかってしまうのは残念でした。

 

というか折角の異能者チームなのにカサンドラとギャレットしかつるんで行動しないのはもったいないでしょ。私は各種異能者の連携プレーが見たかった!そして公爵やっぱ采配下手なのでは疑惑。

 

まぁそれは置いといて。

 

結局、本作は異能者版MI6として楽しむよりも、そういう秘密組織に所属する男女が恋に燃え上がるロマンスとして楽しむべき作品なのだと思います。
個人的に、ギャレットみたいな精神系能力者が唯一自分の力が通じない女に惹かれるっていうの、異能ロマンスの王道って感じで大好きです。
ギャレットさん、孤高を決め込んでいたくせにずぶずぶと沼に沈むようにカサンドラに落ちていくんだもの・・・・・・あれだけ溺愛ムーブしてるくせに本人は必死に抵抗しているつもりなのが楽しいですね(ギャレットの抵抗の理由は可哀想なんだけど)
カサンドラはギャレットに開発されてどんどん奔放になっていくので、こんな状態の淑女を放り出しちゃダメでしょ!手を出したからには責任を持て!じゃないとクズ幼なじみと同じになっちゃうよ!と激励しながらギャッレットの恋を応援してました。

 

ギャレットとカサンドラの対照的な恋も素敵でした。
最初は飄々としていたギャレットは、カサンドラに恋をしてどんどん弱さを露呈していく。
それに対し、最初は不安に苛まれる弱い少女だったカサンドラは、ギャレットとの恋によってどんどん強くなっていくんです。

「大丈夫よ、愛しい人。わたしは恐れていないわ」カサンドラは彼の唇に指を一本押し当てた。「小さな頃、竜にとらわれた乙女ごっこをよくしたものよ。だけど、もはやその役割はわたしには似合わないみたい。私を守ろうとしてくれているあなたを心から愛おしいと思うけれど、わたしは救出される必要がないの。」

このセリフ好きだなぁ。
徐々にヘタレ感が目立ってくるギャレットも、最後には愛の強さをみせてくれて満足。
僕も一緒に年を取ればOK!っていう発想、錯乱気味に突き抜けててホント良いな。

 

そんな感じでカサンドラとギャレットのラブロマンスは堪能できたのだけど、MUSEの物語としてはかなりの消化不良です。
ASPを差し向けた黒幕の正体も曖昧に誤魔化されてるし、クズ幼なじみは途中で放置だし、公爵の妻子の事件についても真相は謎のまま。
ASPと対決する終盤の展開も早足でしたし、うーん、異能ファンタジーとしてワクワクできたのは中盤までだったなぁ。終盤の構成が残念・・・・・・

 

ただ、本作はシリーズ化している作品らしく、続編で色々と謎が明かされるのかもしれません。日本でも続編が読めるといいのだけど。
続編では主人公が変わるということなので、そちらはそちらで楽しみにしたいと思います。
メグとウェストフォールは結構気になる二人ですし。特にメグの話は面白そうな気がする。

 

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