レッド・クイーン3 王の檻 /ヴィクトリア・エイヴヤード


レッド・クイーン 3 王の檻 (ハーパーBOOKS)
レッド・クイーン 3 王の檻 (ハーパーBOOKS)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2019年1月刊。
奴隷階級「レッド」と支配階級「シルバー」が存在する世界を舞台に、シルバーしか持たないはずの異能に目覚めたレッドの少女が革命の戦乱に身を投じていくファンタジー第3弾。

す、すごくエモかった・・・!

なんでしょうか、これは。私は何を見せられているのでしょうか。
静と動の落差が激しすぎる展開にひぃ〜と叫び、負荷しかかけない展開に死ぬほど胃が痛くなり、意外な人物に好感度を爆上げし、翻弄されるままに読んだ687ページ。
めちゃくちゃ面白かったです。面白かったけど心がヘトヘト。でも本当に面白かった・・・!

流された血に比例して、どこまでも膨れあがる憎悪。
心から殺したいと願うくせに、踏みにじられた愛情を捨てきれない未練。
そんな風に主人公を襲う複雑怪奇にして巨大な感情が凄まじいのです。ポテンシャルは感じていたけれど期待以上だったよ、メイヴン。

次巻で完結するようですが、本当にどうなるのこれ。
ハッピーエンド、もしくはメリーバッドエンドしか認めませんからねっ!

ちなみに映画化企画進行中とのことだけど日本でも公開してくれます?メイヴンは誰がやるの?そこが重要だ。

☆あらすじ☆
奴隷(レッド)の少女の行先は、「処刑台」か「玉座」か――。
全世界シリーズ累計400万部突破!裏切りファンタジー。
仲間の命と引き換えに、新国王に身を差し出したメア。囚われた彼女は国民の前に引きずり出され、忠誠を誓わされる。逃げ場のない檻で執拗に拷問されるなか、国王暗殺を目論むクーデターが勃発。支配階級“シルバー”に潜む反国王派は、かつて追放された正統な王位継承者――メアがともに戦ってきた元王子のカルを味方に引き入れようと企んでいた。交錯する疑惑と陰謀、疾風怒濤の第3幕!

以下、ネタバレありの感想です。

 

ついにきたぜ!メイヴンのターン!!!!

 

2巻が負け犬が傷をなめ合うようなカル×メア回なら、3巻は憎悪と殺意と執着が交錯するメイヴン×メアのお話でした。

 

文字通り、「王の檻」に囚われてしまったメア。
最終的に半年ものあいだメイヴンに捕まっていたわけだけど、この期間のメイヴンとメアのやり取りがまぁエモいことエモいこと。

投降したメアに鎖をかけて衆人環視の見世物とし、能力を封じ込めて監禁するメイヴン。
そのくせ彼女の命は頑なに奪わず、拷問にかけることも良しとせず、メアが傷つけば必死に彼女の容態を見つめ続ける・・・・・・なんだそれ!もう!なんだそれ!!

 

メイヴンってヤンデレっぽいと2巻で書いたけど、ヤンデレでしたわ!紛う事なきヤンデレ!!

 

でもその感情は愛ではない。
愛だったかもしれない感情は母親によって取り上げられ、踏みつぶされ、メイヴンのなかには残骸しか残っていない。
その残骸はひとりぼっちの王様の中で執着として育ち、メアの手首を握りしめ続けるわけですよね・・・・・・
顔をつきあわせれば刺々しい嫌味の応酬しかせず、互いに肉親を殺された憎悪をぶつけ合っているのに。
それでもメイヴンはメアを意識し続け、決して彼女を手離そうとしない。
そしてメアは、そんなメイヴンに「かつて自分が惹かれた少年」の面影を追い続けてしまう。
無駄だとわかっているのに。幻だとわかっているのに。殺したいほど憎んでいるのに。

 

はぁ〜〜〜〜〜エッッッッモッッッッ!

 

特にエモみが爆発したのはバスタブのシーンでした。
お風呂って発火能力者にとって無防備きわまりない場所ですよ。同じ能力を持つカルは水にあれだけ怯えていたし。
そんな場所で、今までになく心を明け透けにするとかさぁ、メイヴンほんともう・・・・・・

「でも、好きな相手を選ぶわけにいかなかったのは、君も知ってるだろ?」から始まるメイヴンの語り、しんどくない??
「そうしないと、君は僕のところになんていてくれないだろう」とか言う?それ今さら言っちゃう????

あまりにも素直で、あまりにも無防備。
あれだけメイヴンは暴君だ悪鬼だ怪物だって描いてきたのに、そんな寂しげで儚げな少年の顔を見せられると揺れるだろうがぁ・・・(推し変的な意味で)

 

てかあの場面のメア、カルへの愛を唐突に語り始めたりメイヴンの言葉の意味よりも水音に集中したり、殺したい殺したいって殺意を滾らせていたけれど「そうしてないと流されてしまいそうだからでしょ?」と思ってしまった。大丈夫か稲妻娘。

 

なんというか、本当にメアとメイヴンって似た者同士だと思うんですよね。
怪物にされてしまった少女と、怪物にされてしまった少年。
似ているから、理解できてしまうのだろうか。
メアはメイヴンのことが分からないって言うけれど、今この世界で誰よりもメイヴンを理解できてるのはメアなんじゃないかな。
そしてメアのことを誰よりも理解できてるのもメイヴンな気がします。

カルは、ほら、歪みなく模範的なプリンスだから。
狂った怪物でも奴隷のレッドでもないカルには、弟のことも恋人のことも完璧に理解することは難しいと思うんです。

 

カルといえば、今回はひたすら陰口のフルボッコに遭っていたのが印象的でした。
皆めちゃくちゃ言うじゃん?
メア不在の〈スカーレット・ガード〉の動向についてはキャメロン視点で話が進んでいたわけだけど、このキャメロンやファーレイのカル評がね・・・・・・どんまい、王子様。でも分かる。
こんなクソみたいな裏切りと謀略の世界で、カルの「理想の王子様」ムーブは悪目立ちするんですよ。
良い人だからこそ鼻につく。だって彼はシルバーの王子だから。そういう存在に彼女たちが苛立つのも、まぁ仕方ないかなって。カルは優柔不断だしなぁ。

 

そして基本的に良い人でも、カルは根本的にシルバーなんですよね。
それを突きつけた終盤の展開が酷すぎて、「あ〜〜〜『レッド・クイーン』そういうことするよねぇぇ」と泣きました。
メイヴンから逃げて、ようやく再会できたカルといちゃいちゃしてると思ったらコレだよ。
優柔不断王子のくせに、そこだけ決断早いのかよ!
しかも玉座と政略結婚を受け入れておいて「君がいなかったら、僕はひとりきりだ。何もかも失ってしまう。僕をひとりにしないでほしい」とか言っちゃう?
既視感すごいね。うふふっ、兄弟だなぁ〜〜〜〜!!

 

「王の檻」に苦しめられたメアが、また「王の檻」に入るわけないじゃん。彼女が何よりも渇望しているのは自由なのに。
なんでそれが分からないんだろう。
メアにしがみつく前に「王様なんて必要あるの?」っていう彼女の質問に答えてよ!

 

結局、シルバーであるカルと、レッドであるメアの恋は実らないのだろうか。
レッドとシルバーが理解し合い、対等に共存できる社会になれば違うのかもしれないけれど。
カルとメアの恋の行方が、シルバーとレッドの戦いの結末を示唆しているようにも見えます。
根本的に違う人種が歩み寄れるのかどうか、それとも、どちらかを焼き尽くすまで止まれないのか——

 

メア、カル、メイヴンの三角関係もどうなるんだろう。
今回で俄然メイヴンの結末が気になってきたのだけど、彼に幸せな未来があるようにも思えないんですよね。
もうさ、殺し愛的にメアとメイヴンが刺し違えるエンドでも良いのでは(錯乱)相手はカルでもいいけど。うん。

互いに流した血は多く、もはや引き返すことも憎悪を捨てることもできない。
シルバーの王様と、レッドの反乱分子が結ばれることも難しい。

共に歩むことができないのなら、もう共に死ぬしかないじゃない・・・?

 

なーんて思ったけど一応ハッピーエンド希望です!
次で完結らしいので、最後まで楽しみたいと思います。

 

余談。
今回で株が急上昇したエヴァンジェリン。
彼女が愛する相手は「そっちかー!」と驚きました。百合やんけ。兄の嫁が恋人って、なんか、すごいね・・・?
メア視点では何考えてるか分からない恐ろしい女だったのに、エヴァンジェリン視点では割と親しみやすいキャラだったのも意外。

「王の檻」にとらわれているのはメアとメイヴンだけじゃなかったんですね。
誰だって自分の意思とは異なる何かに縛られ、とらわれている。
自由になりたいと願いながら、今いる場所から逃げられないでいる。

メアの嵐が全て吹き飛ばしてくれたらいいのに・・・、というエヴァンジェリンにうっかり共感してしまいました。
荒れ狂う嵐が鬱憤を全て消し去り、爽快なラストを運んできてくれると良いなぁ・・・・・・


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