世界で一番かわいそうな私たち 第一幕 /綾崎隼


世界で一番かわいそうな私たち 第一幕 (講談社タイガ)
世界で一番かわいそうな私たち 第一幕 (講談社タイガ)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2019年1月刊。
序章なのにめちゃくちゃ面白い・・・!
日本犯罪史上最大規模の未解決事件となった「瀬戸内バスジャック事件」。
その被害者となった少女が通うフリースクールを舞台にしたミステリーです。
「瀬戸内バスジャック事件」の謎を追いつつ、フリースクールに通う少年少女が抱える問題に切り込んでいくことになるのでしょうか。
ラストで思わず「上手い!」と叫んでしまうくらい面白かったので、この先にどんな物語が待っているのか楽しみです。

☆あらすじ☆
戦後最大の未解決事件<瀬戸内バスジャック事件>に巻き込まれた十年前のあの夏から、声を失った三好詠葉、十七歳。彼女は舞原杏が教壇に立つフリースクール――静鈴荘で傷を抱える子どもたちと学び、穏やかに暮らしていた。佐伯道成が教師として働きはじめるまでは……。詠葉の揺れる心に気付かぬまま、生徒の不登校を解決しようと奮闘する佐伯。彼が辿り着いた正解とは?

以下、ネタバレありの感想です。ネタバレを見ないで読んで欲しい作品なので要注意でお願いします。

 

1989年8月31日未明に発生し、後に戦後最大の未解決事件と呼称された「瀬戸内バスジャック事件」
当時7歳だった三好詠葉が陥った恐怖と、その先に待っていた理不尽な地獄。
結果として声まで失った詠葉は、同じく事件の被害者である舞原詩季の妻・舞原杏が運営するフリースクール『静鈴荘』で暮らすことになるのです。

そして時は移り1999年。

17歳となった詠葉は行き倒れていた佐伯道成と出会い、行き場のない佐伯は静鈴荘で教師として働くことになり——

 

この作品、掴みからして面白いんですよね。

突如始まる劇場型犯罪。巻き込まれる幼気な少女。車内を包む壮絶な緊張感。
人物像が朧気すぎる幽霊みたいな犯人と、未だ解決されない様々なミステリー。

被害者視点から事件を描きつつ、心に傷を負った少女がフリースクールで再生する物語へと進んでいく。
杏に憧れながら教師になる未来を思い描き、突如現れた男性教師に淡い恋心を抱いてしまう詠葉。
犯罪によって人生を狂わされた少女が、奪われたものを取り戻すかのように少しずつ立ち直っていくんです。この詠葉ちゃん、本当にめっちゃ良い子なんだよな・・・・・・

 

で、そんな良い子の想い人となる佐伯道成。
未熟だけど生徒思いの良い先生。少し突っ走るきらいはあっても、「子どもたちを救いたい」という情熱は疑う余地がない。
学校を追われた島田裕貴の問題を解決するために奔走する姿なんて、あまりにも一生懸命で胸熱でしたもん。
たしかに最後の強硬手段だけはいただけなかったけれど、杏先生がしっかり止めたし、あれは彼の成長の余地を残すエピソードなのでしょう。
探偵ではない教師の出す答えに正解はなくとも、子どもたちのために最善の道を教えてあげることができれば、彼らを救うことだってできるはず。
だから、きっと「静鈴荘」で佐伯も子どもたちと一緒に成長していくのだろう・・・・・・

 

・・・・・・そう思っていたのに!

 

うわーうわーなんですかこのラスト。えっ犯人もう教えちゃうの???

 

杏先生が意味深に「残夏の悲鳴」を旦那から借りていたのはミスリードだったのか。めちゃくちゃ綺麗に引っかかってしまいました。

 

ていうか、それじゃ、詠葉の恋はどうなるの・・・・・・加害者と被害者の恋なんて教師と生徒の恋以上にロマn・・・じゃなかった、真実を知ったら詠葉がまた傷つくことになるじゃないですか!どうするの!

 

この作品、本当に終盤までフリースクールの少年少女が抱える問題に向き合う青春ミステリー的な感じだったのに、エピローグで一気に化けの皮をぺろんと剥いできましたね。
杏先生が滔々と語る推理に私はゾクゾクしっぱなしでした。杏先生、自分で否定してたけど完璧に「探偵」じゃん・・・?

 

ひえー、こんなの面白すぎるでしょ・・・!!!

 

「瀬戸内バスジャック事件」の時効を間近に控えたタイミングで動き出した物語。
ここからどんな展開が待つのか非常に楽しみです。
タイトルの意味も気になるなぁ。
そういえば時代設定が1999年に置かれている理由も何かあるのだろうか。
時事ネタが多いから反応すると世代がバレそうですねっ(完全自殺マニュアル・・・・・・ダンスダンスレボリューション・・・!)


 

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