5分後に立場逆転の恋 /恋する実行委員会 編


5分後に立場逆転の恋 (角川ビーンズ文庫)
5分後に立場逆転の恋 (角川ビーンズ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2019年2月刊。
エブリスタ×角川ビーンズ文庫「恋」短編コンテスト第5回「立場逆転」の入賞作を収録したショートアンソロジー。
5分後シリーズって色んなレーベルから出ていて本屋でもよく見かけるのですが、読んだのはこれが初めてでした。
様々な作者による同一テーマの短いお話。パッと読めてサラッと楽しむ感じかな。隙間読書に最適化されているなー(これが意外と便利だった)
正直微妙に思うものも多いのだけど、何本か「おっ」と思えるものもあって予想より楽しめた1冊でした。

☆あらすじ☆
5分で恋する、爽快胸キュンショートストーリーが盛りだくさん!
しっかりしているのが『先輩』、頼りないのが『後輩』。かっこつけるのが『彼氏』、守られるのが『彼女』――それって本当? キミが大切だからこそ、色々考えてしまうけど……本気で“恋”がしたいなら、“立場”なんてひっくり返しちゃえ!5分で読めて、最後に心ときめく――そんな恋の小説ばかり! 恋にまつわるテーマごとに集めた、読み切りの胸キュン・ショートストーリーを14編収録。「5分後に恋」シリーズ、第5弾!

以下、ネタバレありの感想です。

 

収録されているショートストーリーは全部で14本。
どれも「立場逆転の恋」をテーマに描くのだけど、何をもって立場逆転とするのかは作者ごとにとらえ方が違っているんですよね。

まず、2人の人物をどんな「立場」に設定するのか。
先輩後輩の関係だったり、ステレオタイプな「男らしさ」「女らしさ」のことだったり、迫る側と迫られる側だったり。
様々なシチュエーションをバリエーション豊かに楽しめるのはアンソロジーの醍醐味だと思います。

そして、その「立場」をどう「逆転」させるのか。
この「逆転」の描き方も色々でした。
単純に「立場」をひっくり返してギャップ萌えを狙う話もあれば、「逆転」する箇所を二重に仕込んでいるものもあったし、立場の逆転に囚われずに「逆転」そのものテーマにするものもあって。
立場逆転自体はラブコメの定番だけに、既視感が強くて正直微妙に思う作品も多いんですけどね。
でも独自の切り口で逆転を描き出す作品もあって、手垢のつきまくったテーマをいかに上手く仕上げるかという点で作者の腕の見せ所を感じるアンソロジーでした。

 

そんなわけで個人的には玉石混淆だったのだけど、特に面白いなと思った作品をピックアップしておきます。

 

文化祭でたこ焼き屋するよ、っていう話。
マイペースでだらしなくて3秒で寝ちゃうような天然系無気力男子。
そんな彼が祖父の道具を器用に使いこなしてテキパキと動けるという意外な一面を知った優等生女子。
生真面目優等生とぼんやり君の立場逆転を描いているのだけど、この話で個人的に良かったのはラストのオチでした。
ぼや〜〜っとした印象のあった男の子が実はめちゃめちゃ外堀埋める系策士だったっていうの、最高すぎでは??
その印象まで逆転させるのか!上手いな!と手を叩いてしまいました。
逆転によるギャップ萌えの二段構え。話としてはこれが一番好きだったかな。

 

姉弟のように育った、野球が大好きな幼なじみの話。
こちらは立場逆転をストレートに描きつつ、短くも綺麗にまとまった王道の青春小説でした。こういうのは普通に好きです。

小さい頃から惚れた惚れた言われても聞き流していたのに、成長と共に自分の心が変わっていく。
自分よりも背が低かった少年も、どんどん大きくなって遠い存在になっていく。

その寂しさを丁寧に追っていくから、ラストの逆転したセリフに胸がきゅんとするのだと思います。良い話だった。
あとセリフに野球をかけてるのも細かくて好き。

 

輝く北極星と、星が好きな少女と少年のお話。
これは「逆転」の描き方が好きでした。
瞬間的なギャップを狙う作品が多い中で、主人公の価値観や思いが逆さまになっていくこと自体を描いているから目を引くんです。

一度は星を嫌いになった少女は、どうしてもう一度星を好きになれたのか。
彼女を導いたポラリスは何だったのか。

彼女にとってあの子は北極星で、あの子にとっても彼女は北極星だった。そのロマンチックな関係性がとても好きだと思いました。

 

今まで短編集とかアンソロジーってあまり興味を持てなかったのだけど、意外と悪くないなぁと思ったり。
5分後シリーズ、ちょっとした時間を埋めるのにめちゃめちゃ便利でした。色々なテーマでたくさん出てるみたいだし、気が向いたらまた読もう。


スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。