最近のコバルト文庫の好きな作品と、レーベルに対して現役読者の私が思うこと


◎コバルト文庫が終了しそう(はてな匿名ダイアリー)
https://anond.hatelabo.jp/20190201211020

この記事をきっかけとして「コバルト文庫、終わるのか?」と至る所で話題になっていますが、それについては知りません。
紙書籍の刊行予定が途絶えたのは事実だけど、電子オリジナル作品は今月も出ます。現役読者としては胃をキリキリさせながら成り行きを見守っています。
終わりそうではあっても、コバルト文庫はまだ終わっていません。

ちなみに今日こんな記事が出ました。

 

最近のコバルト文庫の好きな作品

「コバルト文庫が終了しそうだから最近の作品を語ってレーベルを盛り上げてほしい」という増田が話題になった当初、私は憂鬱すぎてやる気が起きませんでした。
今さら知ってもらって、それでどうなるの?って。完全にふてくされてた。
だって本当にここからどうやって立て直すことを期待すればいいのさ・・・・・・昨今の出版業界の苦しい状況を散々見てるのに。

 

でも現役コバルト文庫読者の方々が好きな作品を呟き始めたのを見て、考えを改めました。
レーベルの存続はともかく、好きな作品を知ってもらうことに意味はあるはず。私の好きな作品を読んで!って気持ちはいつだって強い。

 

というわけで好きな作品を紹介するツイートを連打しました。
モーメントにまとめたのでどうぞ(手抜きかな。すみません)

 

ここでは私の分しかまとめてないけど、他にも色んな方が推し作品を紹介しています。是非こちらもどうぞ。私も参考にします。

最近のおすすめコバルト文庫(togetter)

 

Twitterではムキになって色々挙げたのだけど、私が特に好きなのは『伯爵と妖精』、『紫陽花茶房へようこそ』、『英国マザーグース物語』、『シグザール警察特命官』、『後宮シリーズ』あたり。





ぜひ読んでほしい。紙では入手困難だと思うけど全部電子版があるから。

 

コバルト文庫に対する正直な気持ち

ここからはただの愚痴。

 

モーメントにまとめた作品は、どれも私が読書感想ブログを始めた2013年以降のものばかり。
思えば丁度その頃がコバルト文庫の転機だったのかもしれない。
2012年以前のコバルト文庫といえば、「マリア様がみてる」「伯爵と妖精」「ヴィクトリアン・ローズ・テーラー」「嘘つきは姫君のはじまり」などがあり、月に9冊の新刊が出るなどレーベルにまだ元気がある頃だった。


 

しかし、それらの人気長編シリーズが完結すると同時に、コバルト文庫は次代の長編作品を生み出すことができなくなっていた。
読者の流出が止められないのか、月々の刊行点数はみるみるうちに減少。
シリーズを立ち上げても2巻3巻で打ち切るばかりで長編作品は育たず、雑誌コバルトも休刊。新人賞もなくなった。

やれ出版不況だの、読者の高齢化だの(放っとけ)、若者の読書離れだの(知らんわ)、姫嫁巫女ばかりで面白くないなど(姫嫁巫女が多いのは昔からだし面白くないのは面白い本を読んでないからだろ)、色々と言われているのは知っている。
でも何のデータも持ってない私に衰退の原因を分析することはできない。
頭に浮かぶのは根拠のない憶測と、現役読者としての自分の実感だけだ。

 

ちなみに学者の分析が知りたければ研究本を読めばいいと思う。
これ、色んな人が紹介してるけどまだ読んでなかった。こんな時期だしそろそろ読むか・・・・・・

 

そういうわけで、ここから先は私の憶測と実感しか書いてない。そんなものでよければ続きもどうぞ。

 

一読者にすぎない私の雑感ではあるが、もしもコバルト文庫が「小説家になろう」や「エブリスタ」などのWeb小説サイトと手を組んで読者を引っ張ってこれたなら、今と少しは違ったのだろうか、と時折考えてしまう。
丁度コバルトの衰退が始まった頃から、目に見えて強まったWeb小説書籍化ブーム。
コバルト文庫は断固として乗らなかったけれど(たぶん)、あれは新規獲得のチャンスをふいにしただけなんじゃないだろうか。

Web小説の書籍化が必ずしも読者を呼ぶわけじゃないのは重々承知している。
でも、Web小説の書籍化を当てつつオリジナル作品も刊行し続けている他レーベルのことを思うと、「もしも」を考えずにいられない。
独自路線を貫いたのは老舗のプライドだったのかもしれないけどね。

追記
すみません。訂正をいただきました。
2013年にコバルト文庫はエブリスタで新人賞を開催していたようです。
『ただ呪うように君を愛す』という作品で、確かにあらすじにエブリスタ発と書いてありました。全然気づいていなかった。申し訳ない。
ていうか、試すには試していたのか。むしろ早すぎたし諦めるのも早かったのか・・・・・・

 

でも他に新規獲得のために何をしていたんだろうか。
雑誌廃刊と共にスタートしたWebマガジンコバルトだって、既存の読者以外はそこに連載作品があることすら知らないんじゃないのか。
私には漫然と自サイトに引きこもっているだけに見えた。

 

いや、コバルト文庫が全く何も動かなったわけじゃない。
シンプルで洗練されたカバーデザインを試したり、連作(あるいはオムニバス)形式のシリーズを何本か立ち上げ、それなりに売れる作品も生まれた。



 

ヒットしたシリーズは実際に内容も面白かった(私は特に後宮シリーズが好き)
また、単巻であっても1冊あたりの面白さなら昔の作品に負けていないものだってゴロゴロある。


 

作品がなかなか売れない以上、下手に風呂敷を広げて畳めない長編作品を作るよりは、毎回主人公が変わるためどこから読んでも楽しめる連作形式の利点の方が大きかったのかもしれない。
実際、1冊で話が必ず終わるから中途半端に打ち切られる心配をせず気軽に読めるな、と私も思ったし。

 

一方で、そんな気軽さは正直寂しかった。
私は長編作品が読みたかったからだ。

一人の主人公が様々な苦難を乗りこえ、誰かと恋をし、少しずつ成長する姿を何冊もかけて描くような、長い物語に浸ること。
そういう読書体験ができる少女小説を待ち続けていたし、それを提供してくれないコバルト文庫に対する失望は増していった。

私のように連作ばかりで長編が生まれない状態にがっかりする読者は他にもいたのではないかと思う。レーベル自体への信頼と愛着の問題だ。
個人的には、少女小説やライトノベルは長編があってこそ活性化するジャンルだと思うし、「どうせ続かないんだろ?」という気持ちは購買意欲を酷く削った。

カバーデザインは確かに良くなったけれど、それだけで売れるならどこのレーベルも苦労はしない。
コバルトの取る方針はどれもジリ貧で後ろ向きに見えた。

 

まぁ最近のコバルト文庫も長編作品がゼロだったわけじゃないんだけどさ。


このシリーズ、私はまだ読めてないのだけど、推してる読者が多いから近いうちに読みたい。

 

むしろコバルト文庫、というか集英社は新規獲得・レーベル存続とは正反対のことを頑張っていたように思う。オレンジ文庫のことだ。

最初はコバルト文庫の枠内で実験的に何作か出し、後にコバルト文庫の姉妹レーベルとして創刊したオレンジ文庫。
ライト文芸ブームに上手く乗れたのか、ヒット作を連発。月の刊行点数はそれなりに多いし私が行く本屋ではいつも大きなスペースをとって展開している。傍から見て「あー、好調なんだなー」って分かる感じ。

 

でもオレンジ文庫が上手くいけばいくほど、コバルト文庫はどんどん衰弱していった。
新規獲得に向けて有効な手を打てないまま、コバルト文庫の人気作家の新作をオレンジ文庫から刊行し、レーベル読者をそちらに誘導したからだろうか。
入ってこないのに出て行くばかりじゃ客は減るよね。

 

コバルト文庫の読者はオレンジ文庫も読むだろうけど、オレンジ文庫の読者がコバルト文庫を読むかと言われると疑問だ。
レーベルカラーが違いすぎるし、そもそも少女小説はニッチなジャンル。一般文芸寄りのオレンジ文庫から読者の逆流を見込むのは難しいだろうと思う。
オレンジ文庫創刊当初の思惑は知らないけれど、読者の通るルートはほとんど一方通行だったんじゃないか。

 

この点、オレンジ文庫はガワを変えただけのコバルト文庫と言う人もいるし、そういう作品もないわけじゃない。
でも私はオレンジ文庫とコバルト文庫はやはり別物だと思う。
コバルト文庫でOLが主人公の話とか出ないでしょ。いや過去にあったかもしれないけど主流ではない。

 

高校生主人公の作品に関しては微妙なところだし、ライト文芸系から出ている少女主人公の現代小説(特にファンタジー)をざっくり少女小説的と言いたくなる気持ちは分からないでもない。

 

でもやっぱりレーベルの全体像をみればオレンジ文庫は少女小説ではないよ。だからコバルト文庫とイコールにもならない。

オレンジ文庫が好調だからといって、私がコバルト文庫の弱体化を憂う気持ちは変わらないのだ。
ライト文芸も好きだけど私は少女小説が読みたい。読めなくなるのは辛い。

 

・・・・・・と、まぁずっとそう思っていたのだけど、これからは少し状況が変わるのかもしれない。

『後宮の烏』という作品がある。最近オレンジ文庫から刊行され、ヒットを飛ばした。
今までも「少女小説っぽいなー」と思うオレンジ文庫作品はあったけれど、この「後宮の烏」は私にとって完全に少女小説と言える内容だった。しかもかなり良質な。

 

確かに今のライト文芸で中華後宮小説は割と人気のあるジャンルだと思う。
でも少女小説でも一大ジャンルだし、集英社にはコバルト文庫があるのに、何でこれをオレンジ文庫から出したの?

疑問の答えは繰り返される重版報告を見て悟った。
今のコバルト文庫じゃここまで売れない。私ですらそう思ったし、実際にオレンジ文庫から出して売れたのだから編集部の判断は正しかったのだろう。
もはやレーベルの価値は完全にオレンジ文庫が上回り、オレンジ文庫なら少女小説的な作品にも読者がつくことを示してみせた。
じゃあコバルト文庫の存在意義って何なんだろう。

 

勝手に、本当に勝手な気持ちなんだけど、私は後宮の烏のヒットにコバルト文庫の限界を感じて寂しくなった。それくらい私には象徴的な出来事だった。
同時に、少女小説的な作品を出してヒットさせるライト文芸レーベルの存在を思い出し、時代の変化を顕著に感じた。

 

ちなみに『後宮の烏』自体は最高に面白い作品だから読んでほしい。それとこれとは話が別だからね。

 

見向きもされなくなった老舗の看板を守るよりは売れてる新レーベルに注力する方針は商売として正しいのだとは思う。
でも私はとても寂しい。本気で守る気があったのか疑問だから余計に辛い。
時代はライト文芸にあり、オレンジ文庫は売れている。だからこの流れは仕方ないのかもしれないけれど。

『後宮の烏』のような作品が売れたといっても、オレンジ文庫が少女小説レーベル化することはないだろうし、そんなことは望んでいない。
棲み分けは慎重にやってほしいが、なくなるのは少女小説レーベルだけなんだろうな、と悲しく思う。

 

「廃刊ではなく休止。紙書籍の刊行は未定だがいつか出すかもしれない」というアナウンスがあったが、これを聞いて私はルルル文庫を思い出した。安心なんかできるわけない。
たまに出すかもと言っても「なんジャパ」復刻版の続きなんじゃないの。

 

最近ナーバスになっていたからお通夜ムードで盛り上がる外野にイラっとしたが、実際その通りだと思う気持ちもある。
それでも私はコバルト文庫に残ってほしい。電子だけでもいいからレーベルを続けてほしい。
私は作者が魂こめて細部まで作り込んだ架空の世界を少女が駆け抜けるファンタジーが好きなんです。
オレンジ文庫じゃそういうのは主流にならないと思うし、好きな系統の作品が探しにくくなるのは困る。

何より、コバルト文庫は私にとって思い入れのある特別なレーベルだから。
看板にしがみついてると言われようとも、失われてしまうのは本当に辛い。
諦めも失望もあるし思うところも山盛りだけど、やっぱり好きなんだよコバルト文庫・・・・・・

 

コバルト文庫廃刊の噂とともに少女小説自体が終わるように言っている人をチラチラ見かける。
いや終わってないから。まだありますよー!今度アニメ化もしますよー!

 

言うてWeb小説ばかりでしょ?とか、最近のやつは少女小説じゃなくてラノベでしょ?(正直わけわからん区別だと思う)という声が稀に聞こえてくるけど、昔ながらの少女小説が読みたいなら『茉莉花官吏伝』を是非読んでほしい。
姫嫁巫女ではないよ。元女官の新米官吏が「手柄とってこーい!」と無茶ぶりしてくる皇帝の期待に応えて難題をクリアしていく立身出世もの。

今もこういう正統派少女小説は生まれているし、書籍化したWeb小説の良作を無視するのは勿体ないと思う。

女性向けライトノベル、あるいは少女小説のジャンルは今も頑張ってます!読んで!!

 

とは言え、コバルト文庫だけでなく、女性向けライトノベルというジャンル自体も厳しい状況にあるように見える。
まぁそれは出版業界全体がそうかもしれないけれど。

 

コバルト文庫が辿っている道はかつてルルル文庫が通った道だし、これから他のレーベルも通る道かもしれない。
上でダラダラと書いたような、新規読者獲得の難しさ、長編シリーズの不作、少女小説からライト文芸への流入などはコバルト文庫に限った話ではないように思うからだ。
今後も似たようなケースが増えるのか、いくつかのヒット作が新たな風を呼ぶのか、今まさにハラハラしながら見守っている最中だったりする。

 

でも、まぁ、あれこれ不安がっていても仕方ないか。
ジャンルそのものが失われないように、今も頑張っている推しレーベルを買い支えることしか私には出来ないんだし。
もちろんコバルト文庫作品も買います。電子版上等だ!
ついでに旧作もどんどん電子化してください。

 


・・・・・・ほんとですか?いや読みますけど。

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「最近のコバルト文庫の好きな作品と、レーベルに対して現役読者の私が思うこと」への2件のフィードバック

  1. コメント失礼します。
    コバルト話題になってましたね。最近の作品あげられてる方々見て、私も!と思ったんですが、辻村先生はオレンジ文庫でしたね…童話シリーズは一冊買って読んだ気がします。語れるほどハマれなかったのが悲しいんですが。
    ちょーシリーズの新作は1巻読んで、今2巻を読んでます。(電子しか出てないんですが…)
    離れてしまっていた人間なので、みかこさんのこの記事を見ながら、最近も良作はいっぱいあるんだなと感じました。犬恋花伝は気になってたので、読んでみようと思います!
    私はなんでコバルト文庫があるのにオレンジ文庫が出来たんだろうと思ってたんですが、なるほど…。コバルトサイト内でもオレンジ文庫がチラチラしてて、レーベルの名前が変わってしまったのかなと最初は思っていました。(ノベル大賞もコバルトのサイト内で募集してますし)
    また乱文で申し訳ないです。
    私も過去作を思い返し懐かしんでしまったので、みかこさんのブログ読んでハッとしました。レーベルは動いてますし、読んでいきたいと思います!

    1. コメントありがとうございます。

      そうです・・・・・・辻村先生はオレンジ文庫なのです・・・・・・
      童話シリーズは1作めより2作めの方が私は好きだったりします。
      そして途中で積みっぱなしというアレなので、ちょっと自分がシリーズ単位にオススメできる側なのか微妙なんですよね。

      ちょーシリーズはとても好きです〜!
      私も最近3冊ほど電子版で再読したんですが、シリーズ一気読みしたいなぁと思っています。

      犬恋花伝は児童文学よりのファンタジーです。面白かったですよ!
      他の作品も好きなものばかりなので、どれか1冊でも気に入っていただけたら嬉しいです。

      オレンジ文庫は、、もはやコバルト文庫を内側から食い破った感じがありますからね。
      ロマン大賞がなくなり、ノベル大賞はオレンジに移り、なんかもうコバルト→オレンジの流れは止められないんだろうなぁ、という雑感。寂しいです・・・・・・

      コバルト文庫の過去作は名作揃いですよね!
      そちらも楽しみつつ、今のシリーズにも光が当たると良いなぁと祈るばかりです。
      よろしくお願いします!私ももっと読みます!

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