霊能者のお値段 お祓いコンサルタント高橋健一事務所 /葉山透


霊能者のお値段 お祓いコンサルタント 高橋健一事務所 (幻冬舎文庫)
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評価:★★★☆☆
2018年10月刊。
お金にシビアな霊能者。彼に依頼を持ち込んだ霊が見える少年。テレビで活躍する芸能人霊能者。
この3人が心霊騒動に挑むオカルトミステリーです。
真ん中のメガネスーツの男性、金にがめつい系霊能者かと思ったらマトモすぎる自営業者でした。ド正論すぎてひれ伏したくなる感じ。ただ、正論だけではもどかしくもあったり。
こういうキャラだと「実力が伴わない正義漢」という主人公とは好相性(?)なのかもしれません。彼は彼で無謀すぎてハラハラするんだけども。
まぁでも私は表紙で変なポーズを決めてる芸能人霊能者が一番好きでした!笑

☆あらすじ☆
友人の除霊のため高校生の潤が訪れたお祓いコンサルタント事務所。
高い見積もりに驚く潤にスーツにメガネの所長・高橋は「これはビジネスだ」と言い放つ。依頼を断念し霊能番組に出演した潤だが、イケメン霊能者ハルトのミスで霊に憑かれてしまう。ハルトに連れて行かれたのはまたまた高橋の事務所だった――。
彼の高額な請求は正当か否か。
霊と人の謎を解き明かすエンタメミステリ。

以下、ネタバレありの感想です。

 

年上の幼馴染に取り憑いた動物霊。
それを祓ってもらおうとした高校生・三田村潤が駆け込んだのは「お祓いコンサルタント高橋健一事務所」。
ごく普通のオフィスに、見るからにビジネスマン然としたスーツの霊能者。
しかしその男・高橋健一が提示した報酬は200万とんで80円という高額なものでーー

 

という「高ッッッッ!」となるお金の話から始まるから本作。
霊能者が悪霊を祓いつつ謎を解くという形式のオカルトミステリーではあるものの、かなりシビアに必要経費と報酬について語り尽くす作品でした。
悪霊退治自体は苦労しつつも技術的な難易度に苦しむことはそんなにないんですよね。
むしろ、退治するためのお金はどうするのかって話の方が大切なポイント。
ヒーローになりたい熱血漢な潤は「金なんて関係ない!困っている人がいて、救える力があるのなら、動かない理由はないだろう!」と理想論をぶちまけるのだけど、対する高橋は至極冷静に「それでは商売としていずれ破綻する」と正論を返すわけです。ごもっともとしか言いようがない。

 

合計金額だけ見ればぼったくりに思える料金も、ひとつひとつ内訳を説明されれば「あれ?適正価格では?」となるし、そんな最低限のお金すら用意できない場合に身を切るのは誰になるのか・・・という、ね。
これは霊能者の話だけれど、特殊技能を求められる職業全般に言えることだよなぁ。人の命は大事だけど、お金だって大事なんだよ。あたりまえ。

 

そうは言っても金か命を天秤にかけて「金が用意できないから命を救わない」という選択は倫理的・道徳的に受け入れがたい。
本作ではそこは毎度上手くクリアできていくのだけど、きっとこんな風に上手くいくケースばかりじゃないのでしょう。
そして高橋さんの実感こもった物言いからするに、彼には何か手痛い経験があるのでしょうね。気になるなぁ。

 

さて、そんな風に良くも悪くも大人な判断をする高橋さんと、良くも悪くも大人になりきれない潤は幾度も衝突するわけです。
そんな二人のギスギスした空気を緩和してくれるのが第三の人物・花坂ハルト
霊能者としては頼りないところもあるのだけど、もはや存在がオアシスなのでは?とか思うこともしばしば。子どもたちを笑顔にさせて簡単にお祓いするシーンがめっちゃ好きです。
霊能タレントなんてしてるからてっきり胡散臭い人だと最初は疑っていたのに(表紙でも胡散臭いオーラすごいし)、実はめっちゃ良い人やん・・・!
鋼のポジティブメンタルも素敵なんだけど、あえてそう振る舞ってる雰囲気が素敵なんですよね。
高橋さんは確かにマトモな大人なんだけど、ハルトは理想的な大人って感じ(だいぶ言い過ぎ感あり)
高橋さん、真面目で誠実なんだけど商売下手か???と思う場面も結構ありますし。なんかもう高橋さんとハルトで組んだ方が無敵な気がするまである(すると主人公の立場は)

 

というわけで意外な人物が最推しになってしまったのだけど、登場人物みんなキャラが良かったと思います。
心霊ミステリーとしても悪くなかったし、シリーズ化するなら続きを読みたいです。


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