花婿、略奪されました(男に) 性転換でハーレム達成が目標です! /鳴澤うた



花婿、略奪されました(男に)性転換でハーレム達成が目標です! (アイリスNEO)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2018年12月刊。
結婚式当日に花婿が男と逃げてしまったため、「女なんて損ばかり!」と悟って性転換を目論む貴族令嬢の奮闘を描いたラブコメディ。
タイトルと発想のぶっとび具合に惹かれて読んでみました。これはなかなかネジを飛ばしたヒロイン。
彼女が受けた仕打ちは酷いものだし、そこから出てくる主張も分からなくはないのだけど、これに「わかった・・・」と頷いてしまった周囲は落ち着け??と思いました。
いやほんと落ち着こう??
「男になってハーレム作る」なんて宣言を受け入れちゃって良いの??
個人的にはもう少し「女性から男性への変化の中で生まれる混乱」を掘り下げてほしかったものの、騒がしくも陽気で、意外とシリアスも楽しめる作品だったと思います。

☆あらすじ☆
結婚式当日、花婿は王子と逃げて行った――。こんなことってある!? もはや女としての幸せは望めないと思い詰めたステラは、幼馴染の薬術師・レノンに頼んで『男になる薬』を作ってもらうことに。止めないでレノン! いい男になって、女性をまんべんなく愛す! これは私なりの「ざまあ」なんだから! ところがこれがとんでもない事態を引きおこして……?
結婚式当日に捨てられた令嬢が、天才薬術師を巻き込んで大暴れするラブファンタジー☆

以下、ネタバレありの感想です。

 

結婚式当日、花婿が王子と手を取り合って逃げてしまった。
更に後日、当の王子から「男同士では世継ぎができないから、嫁のもらい手がなくなったお前を引き取ろう。側妃となって子を産め」と言われ、プッツンと切れてしまった貴族令嬢ステラ
追い打ちのように「王太子の恋人を奪おうとした悪女」と噂され、両親にも見捨てられ、ステラの人生はお先真っ暗になってしまいます。

 

もう女として生きていけない!ていうか女って損ばかり!
決めた!男になる!!!

 

というわけで、幼なじみの薬術師レノンに頼み込んで性転換の薬を作ってもらうことになったステラは、「自分のような不幸な女性を全部囲って平等に愛するハーレムを作る!」などと妄言を吐きながら男になるための修行を開始するのです。

 

マジで妄言が過ぎる・・・!

 

女は嫌だ男になりたい!までは分かるけど、そこから「ハーレムを作る」の発想が一段も二段も思考をすっ飛ばしている感じで意味不明なんですよね。
全員を平等に愛すって全員を平等に愛さないのとほぼ同義だろ・・・・・・可哀想な女性を増やすだけだろ・・・・・・レノンも言ってたけど。
そしてハーレム作る前からコニーを泣かせてるし。ダメじゃん!ダメダメじゃん!!
性知識がほとんどない所を見るに、ステラはハーレムを女子高の延長くらいなイメージで考えてるのかもしれません。

 

このハーレム発想もそうなんだけど、ステラって本人なりに必死に考えて起死回生の策をひねり出してるんだけど、どうにも行き当たりばったり感が強い。
思いつきだけで行動して、もっともらしい理由で自分(と周囲)を納得させている感じ。
賢い主人公とは言えませんよね。
「男になるってどういうことかちゃんと考えて」とあれだけレノンに念を押されたのに大して深く考えてないしなぁ。

 

そういうトンチキ主人公なのでハラハラ(と若干のイライラ)を抱えるものの、かといって彼女に魅力がないわけではないのです。
ステラの猪突猛進&悩みすぎないアグレッシブさは、そのまま物語の勢いへと繋がり、ストーリーはとてもテンポよく進んでいたと思います。
行動にハラハラするけど、「そこまで言うならどこに辿り着くのか見せて貰おうじゃない!」と思わせる迫力があるんですよ、このヒロイン。
色々と不慣れで悪戦苦闘しつつ、それでもステラが楽しそうだからかもしれない。
元同性の女の子相手に「下半身がドキドキする!」とか言い出したシーンは笑ってしまいました。

でも私が兄だったら、(元)妹から「下半身のドキドキの抑え方を教えて!」と言われたら泣いてしまうな・・・・・・
クリフはそういう意味で強いですよね。最初は混乱していたけどちゃんと協力しているあたり、この妹にしてこの兄ありな遺伝子を感じます。
でも修道院と幽閉以外にもステラが女として生きていける道、ちゃんと考えればあったと思うよ・・・?

 

さて、そういうわけで「男」になるための準備を着々と進めていくステラ。
その一方で、彼女はレノンに徐々に惹かれたり、「自分は本当に男として女性を愛せるのか?」と戸惑ったりするのです。

 

レノンとのラブコメはとても良かったです。
レノンの重い事情を知って胸を貸すシーンとか、母性全開の男前な振る舞いというステラ独自の魅力がとても良く出ていたと思います。
「私のおっぱいがあるうちに堪能しときなさい!」(意訳)とか言えないよ。ステラさん流石だよ。
こういうところが嫌いになれないんだよなぁ。むしろ好き。

 

一方で、個人的にはもう少し「女と男の性の間で揺れ動くステラ」を見たかった気もします。
「しばらく女の性のステラと男の性のステラが同居したりして、パニックが起きるかもしれない」と意味深な前フリがあったから期待していたのに。
そういう場面って女好きになって下半身ドキドキしたくらい? うーん、男性的描写としては一面的すぎるし、ありきたりかな。
折角面白い設定だったので、ステラの中に生まれる「男的な考え方」の表現はもっとバリエーション豊かに描いて欲しかったです。
レノンを前にしたときの性差による反応の違いとかも見てみたかったな〜

 

色々あったけれど、最後は女の子としてハッピーエンド。
でも狼エンドもアリなのでは・・・?と一瞬思ってしまうほどラストをロマンチックに感じました。
狼ステラと暮らしていたシーン、陰気で引っ込み事案なレノンが最大限に輝いていた場面だと思うんですよ。あの終盤の展開で一気にこのカップルが好きになりましたもん。お幸せに!

 

不満点がありつつも楽しく読めるラブコメでした。
特典SSの兄嫁のキャラが最高だったので(「ああ!クリフ様!まるで叱られる前のワンコのようで。なんてお可愛らしいのかしら!」が好きすぎる)スピンオフに期待します笑

 

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