ロード・エルメロイⅡ世の事件簿9 case.冠位決議(中) /三田誠



ロード・エルメロイII世の事件簿 9 「case.冠位決議(中)」 (TYPE-MOON BOOKS)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2018年12月刊。
面白かったー!
完結かと思いきや三部構成になったらしい事件簿最終章。
クライマックスへの盛り上げ方が最高です。もー!こういうの好き!!
そして年末にアニメ化が発表されましたね。こちらもすごく楽しみです。

☆あらすじ☆
『……魔術師とは、裏切るものです』最後の物語は、いよいよその深奥へ――。
ついに明らかにされた、ドクター・ハートレスの目的。
その内容に苦悩するエルメロイII世。一方、学術都市スラーがハートレスたちによって急襲される。しかし、迎撃に出たライネスたちが遭遇したものは、驚くべき人物と想像だにしない事実であった。
冠位決議を前に、連鎖して引き起こされる破局。
連続失踪事件に秘せられていた真実。時計塔の地下、霊墓アルビオンに仕掛けられた君主たちの陰謀もまた、傷ついたエルメロイII世に牙を剥く。

以下、ネタバレありの感想です。

 

英霊イスカンダルの召喚を目論むハートレス。
彼の狙いを知って茫然自失とするエルメロイⅡ世だったが、その一方、ハートレスによってスラーが襲撃され—— という第9巻。

 

元々このシリーズのエルメロイⅡ世は憂鬱に陰鬱を重ねて暗鬱でデコったような人物だったのだけど(言い過ぎ)、最終章ということで今まで以上に暗く暗く沈むように落ち込んでいます。
それくらいハートレスのやり口がえげつない。
ウェイバー・ベルベットたるエルメロイⅡ世にダメージを与えるのに、これ以上の方法ってあるのだろうか。

 

会いたくて会いたくて震えていたイスカンダルとの再会を目の前にぶら下げ、更には血統至上主義をぶち壊す?????

 

そんな・・・・・・

 

どれだけⅡ世がそれを求めてきたのかを、どれだけ才能と血筋の壁を嫉妬と憧憬の目で見上げてきたのかを、これでもかと丁寧に描いてきたシリーズの最終章がこれか・・・!

 

なんという完璧な構成。残酷なまでに完璧です。
神(三田先生)がエルメロイⅡ世に容赦なさすぎて怖い。

 

おかげで今回も弟子の目から見る師匠の圧倒的「悲劇のヒロイン」感が最高でした。

その声音の儚さに、つい口を挟んでしまった。まるでそれは、今にも散ってしまいそうな花に思えて。

この人は、硝子でできているのではないかと、妙なことを思ってしまった。だって今にも砕け散ってしまいそうだったから。

ライネスとスヴィンを探し求めている間は、かろうじて振り絞っていた気力が、完全に尽きてしまったかと思えた。燃え尽きた蝋燭にも似ている。蝋燭は取り替えればいいが、人間の場合どうすればいいのだろう。

華奢で儚いモノに例えるとしっくりくるエルメロイⅡ世、あまりにも哀れを誘うのだけど、私はそのしょぼくれた感じがとても好きです・・・好きなんです・・・・・・

 

しかしこのシーンはグレイの心配と動揺も痛々しく伝わってくるんですよね。
それだけに、彼女が一歩踏み込み、泣きながら活を入れたシーンが今巻の一番のお気に入りだったりします。
王の背中を追い続ける二世だけど、彼の背中を見守ってくれる優しい人だっているんだよと、胸がぽかぽかするシーンでした(あと挿絵のⅡ世があまりにもウェイバーみ強くて興奮した

 

さて、ハートレスの狙いが明らかになり(まだピースが揃ってない感じはあるけれど)、冠位決議に向けて時計塔の妖怪たちもにわかに動き出してきました。
ここからエルメロイⅡ世には何ができるんだろう。
彼の悲願ともつながる野望を成し遂げようとするハートレスとの対決によって、エルメロイⅡ世は今度こそ何かを得たりするのでしょうか。

 

クライマックスに向けて物語が盛り上がって参りました。
数少ない味方の助けを借り、魔眼蒐集列車に乗り込み、最初の事件の関係者たちと手を結ぶ展開が最高。胸熱すぎて今すぐにでも最終巻が読みたいです。
「もしも自分が、事件簿というべき記録をつくるなら、」というグレイの言葉もメタの利かせ方が素敵でした。

 

終わるのが寂しいような、待ち遠しいような、フワフワとした心地です。
次巻を楽しみに待ちたいと思います。

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