後宮の烏2 /白川紺子



後宮の烏 2 (集英社オレンジ文庫)

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2018年12月刊。
後宮に住みながら帝に従わない神秘の存在・烏妃。
第1巻では孤独に幽鬼だけを見て生きてきた烏妃の変化と転換が描かれていました。続く第2巻ではその変化がもたらす運命が動き始めたようです。
単巻読み切り作品としても楽しめた1巻とは違い、2巻は長編シリーズに大きく舵を切った雰囲気。
風呂敷の広げ方、伏線の置き方、気になる新キャラの登場など、今後繰り広げられるであろう物語のスケールに期待が膨らむ内容でした。
ただでさえ中華系ダークファンタジーって好きなのに、神話に絡め取られた烏妃の運命の行方にハラハラドキドキが止まりません。
続きもとても楽しみです!

☆あらすじ☆
後宮で生きながら帝のお渡りがなく、また、けして帝にひざまずくことのない特別な妃・烏妃。
当代の烏妃として生きる寿雪は、先代の言いつけに背き、侍女を傍に置いたことに深く戸惑っていた。
ある夜、後宮で起きた凄惨な事件は、寿雪が知る由もなかった驚愕の真実をもたらす、が--。
烏妃をしばる烏漣娘娘とは何か?
烏漣娘娘がおそれる「梟」とは一体誰なのか?

以下、ネタバレありの感想です。

 

帝の高峻が友として頻繁に訪れ、侍女の九九から熱心に世話を焼かれ、護衛の恩螢には次第に信を置き始め、他の妃は贈り物をしてくる。
誰もそばに置かず、孤独に、息をひそめるように生きることが先代烏妃・麗娘の教えだったのに、今の寿雪の周りには人がいる。

もはや孤独ではない己の姿に「これで良いのか」と戸惑う寿雪を描きつつ、彼女に迫る恐ろしい運命を描いた第2巻。

 

今回もとても面白かったです。
1巻同様、連作短編形式で烏妃が目にする様々な人間ドラマが描かれていくのだけど、閉じられた箱庭で渦を巻く濃厚な感情に圧倒されてしまいました。

虐げられていても他に居場所がない宦官の少年。
手塩にかけて育てた妃嬪の魂を弔いたいという老女。
面に込められた楽師の執念。
そして、死した愛する者を甦らせようとする女。

そんな後宮に現れる幽鬼のことを考え続け、そこに隠された人々の情念を哀しげに見つめる烏妃の姿がとても切ない。
誰よりも幽鬼にも人にも優しい寿雪だからこそ、彼女自身が幽閉され重い運命を背負っていることをもどかしく感じるのでしょう。

 

一方で、寿雪の運命はにわかに動き出した様子。

「烏妃」とは何なのか。
「烏漣娘娘」とは何なのか。

前巻で紐解かれたはずの謎は、未だに何らかの秘密を隠しているようです。
初代である香薔は本当は何をしたのだろう。
歴代烏妃たちが捧げてきた花は何だったのでしょうか。
毒?どういうこと??

 

さらに気になるのは当代の「烏妃」である寿雪の運命です。
ただでさえ麗娘の教えに背く今の自分に引け目を感じていたところだったというのに、その「自分」すら揺らいでいくって、どうして彼女ばかりこんな重い運命を背負うのか。それとも、「寿雪」であることに何か意味があるのでしょうか。
「烏妃」を狙って現れた葬者部の男との対決もつかぬまま、物語は様々な謎を残してひとまずの幕引き。
ここからどんな展開が起こるのかドキドキします。

 

どうか寿雪に悲しみのない幸せな結末が待っていると良いのだけど。
せめて寿雪の傍にいる人が一人も欠けませんように!
今回の恩螢にはめっっちゃハラハラしたので・・・!あんなに自分語りしていたのはフラグかよって動揺したじゃないですか。はー、よかった!

 

神話のしがらみに襲われる寿雪だけでなく、人の世のしがらみを背負う高峻の今後も気になります。
存在そのものが対をなす彼らは、向き合う運命も対を為すのか。
外戚との戦いは皇帝の常ですが、果たして高峻はどうなるのか。
寿雪との進展も期待したいところですが、果たして・・・・・・

いずれにせよ、次巻も楽しみです。

 

余談ですが、装画担当の香魚子さんの応援イラストが最高だったのでペタリ。
烏妃の可愛さを示すためにこのシーンを切り取るところに愛を感じる。

 

 

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