【おすすめ紹介】2018年版お気に入りのライト文芸その他16選


後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)

年末年始恒例企画第3弾。
今回はライト文芸や海外YA小説や一般文芸などから年間ベスト作品を選出してみました。

第一弾少年向けラノベ編はこちらから


第二弾少女小説編はこちらから

 

それでは以下をどうぞ!

 

 

後宮に棲みながら夜伽することはなく、皇帝に従うこともない異質な存在『烏妃』。
不思議な術を用いて招魂、祈祷、失せ物さがしなどの依頼を引き受ける烏妃を主人公として、後宮で起こる怪異現象を描いていく中華幻想小説です。
流行りの後宮ものですが、個人的には中華ファンタジーとして推したい作品。
表紙の美しさに心惹かれたら是非読んでほしい。
オリエンタルな中華後宮を舞台としつつ、花や鳥が舞い踊る幻想的な世界観が素晴らしいのです。
夜が似合い、心に傷と秘密があり、幻想的な術を操る孤高の美少女・烏妃。
彼女を中心に寂しさと優しさが交錯する人間ドラマも心に沁みるので是非。

 

デビュー作「螺旋時空のラビリンス」で一目惚れして以来、待ち望んでいた辻村七子さんのSF小説。
最高に面白いから是非読んで欲しい。
ワケあり野良アンドロイドと、ワケあり天才エンジニア。
立場の違いゆえに何度も衝突を繰り返す二人の共同生活を通して、自分が自分であるために必要なことは何かを考えさせられるお話です。
丁寧に造られたSF的世界観を、軽妙な筆致で描きあげた本作。SFですが読みやすさ抜群です。
人形博士と機械少年の関係がとにかくエモいのでどうぞよろしくお願いします。

 

居場所を失った少女と、スランプに苦しむ天才小説家。
彼との出会いによって彼女は確かに救われ、それによって、彼女と彼の世界は緩やかに崩壊へと向かっていきます。
作中を埋め尽くすのは二人が交わす憧憬と失望、愛情と憎悪、そして殺意と祈り。
途方もなく大きく、割り切れないほど複雑で、底が見えないほど深い感情のうねりに目眩がします。
読んでる間はひたすら息苦しく、終盤はもはや意識が朦朧としていたり。
物語の凄味に呆然とする、そんな小説です。
最高に面白いけれど、心につけられた傷が今もひりひりと痛みます・・・

 

愛がねばっこい系イケメン和裁士と、彼の店でアルバイトする女子大生が着物にまつわる謎を解き明かす「仕立て屋・琥珀」シリーズ。
和の文化の教養と奥深さにクラクラする着物ミステリーで、個人的には弾み唄うような文体が大好きなシリーズです。
奥ゆかしく優雅でありながら、底知れぬ情念にゾクッとする和の世界。
古都を舞台にじりじりと交錯する恋模様にも目が離せません。
ストーカー的で粘着質なアプローチも、深い教養に基づけばこんなにも格好いい。
今後も力いっぱい推していきたいシリーズです。年に1冊ペースで刊行されている本作ですが、たぶん今後も続くと思われます。新刊が待ち遠しい!

 

今年アニメ化もした、和風異世界トリップ&異類婚姻譚な飯屋細腕繁盛記。
姉妹作品の「浅草鬼嫁日記」と共に2019年も生きる楽しみになってくれることは間違いないのだけど、「かくりよの宿飯」の方は次で本編が完結してしまいます。
最新刊は「ここまで読んでよかった・・・!」と感慨深くなるものでした。完結までしっかり見届けたいと思います。

 

「伯爵と妖精」「異人館画廊」の谷瑞恵さんによる、オーダーメイドの額縁を手がける額装師の物語。
婚約者を失ったヒロインは、額装という仕事を通して過去に向き合っていきます。
額縁というと絵を飾る枠のことを言いますが、本作で描かれる「額装」は自由な発想と優しい願いによって紡がれる救済の形。
他者のために、祈りを込めて様々な額装を施していく主人公の仕事ぶりはとても厳かで美しいのです。
彼女に仕事を依頼するのは心に傷を抱えた人々であり、主人公自身も癒えない傷を抱えている。
そんな彼らの喪失と再生がとても優しく切なく語られていく作品だと思います。

 

植物の声を聞くことのできる花屋の女主人。
人の心を癒そうとする花に呼ばれ、彼女の花屋には心を病んだ人々が次々と訪れます。
これは、そんな花屋の優しくて少し怖い日常と謎を描いた連作短編集です。
宮野美嘉さんと言えば「幽霊伯爵の花嫁」シリーズ(ルルル文庫)などのヒット作を出した作家さん。
たとえコメディタッチに描かれていても、どこか仄暗さの滲む作風だと個人的には思っています。いつも誰かしら病んでいる。
本作もそんな作風が如実にあらわれていて、花を愛し花に愛されるヒロインも、彼女の夫である気難しい樹木医も、夫婦のところに居候する少年も、そして花屋を訪れる客人たちも、心を病んだ人ばかり登場します。
そこが恐ろしくもあり、哀しくもあり、愛おしくもあり。
特に主人公夫妻の歪みを感じる関係には要注目です。

 

呪いにかかった許嫁を助けるため、妖怪たちを相手に奮闘する女子高生の物語。
許嫁に対する一途な恋心をフルパワーにして頑張る大和撫子系ヒロインがめちゃくちゃ魅力的な作品です。
そして、呪いのせいで年齢の割に免疫がない純情ヒーローは可愛いにゃんこ。
ムラムラすると猫に変わる呪いという「えっ、それって色々モロバレでは・・・!」な設定にピンときたら是非読んでみましょう。
周囲の妖怪たちは賑やかで楽しいし、物語はテンポよく進んで構成もばっちり。
2巻も楽しくて切なくてキュンとしたので、3巻以降を読むのが楽しみです。

 

武家出身の姫が、年の離れた少年東宮に嫁入りすることから始まる和風ファンタジー。
公家と武家の争いに利用された即席東宮夫妻が、自分たちを蔑ろにする周囲へのリベンジを決意する物語です。
慣れない公家文化に悪戦苦闘しつつも、自分なりの戦いを見つけていく武家の最強鬼姫。
そんな彼女に鍛えられながら、劣等感を乗り越えて目覚ましい成長をみせてくれる少年東宮。
絶対的に不利な状況のなか、二人は地道な努力を重ねて強者に立ち向かっていくのです。
そこから生まれるカタルシスが素晴らしい作品でした。
年の差カップルならではの微妙な距離感も美味しく、ただの協力関係から夫婦の絆が生まれていく姿も最高にエモいので、夫婦モノとしても推したい作品です。

 

イレーナ、失われた力 (ハーパーBOOKS)
マリア・V・スナイダー
ハーパーコリンズ・ジャパン

元死刑囚の少女が、大切なものを守るために戦い続ける壮絶なファンタジー。
最初の3部作が完結し、2018年は新章がスタートしました。
新章は主人公イレーナと恋人ヴァレクのW主人公制で物語が進行しており、ヴァレクファンには垂涎の構成。
このヴァレク、前3部作では「無敵にして頼もしすぎるヒーロー」という感じだったのに、新3部作では人間的な弱さや脆さが浮き彫りになっているんですよ。そこが良いんだ。
新3部作は残すところ最終巻のみ。今一番推している海外ファンタジーなので最後まで楽しみたいと思います。

 

美貌の宝石商と迂闊な正義漢のコンビが宝石にまつわる謎を解き明かすジュエルミステリー。
2018年は第一部が完結すると共に、舞台を国内から世界へと一気に広げる新章がスタートしました。
メイン2人の危うくも強い絆が見所でもある本作。
美しすぎる顔と深すぎる教養、そして鋭すぎる舌鋒をみせるリチャード氏が、正義の前でだけ見せるお茶目で可愛い顔を是非ご覧あれ!

 

古今東西の妖怪たちが集う魔女学校を舞台にした和製魔法学園ファンタジー。
のびのびと学校生活を送る妖怪(妖魅)たちが生み出す、ユーモアあふれる世界観がとてもワクワクさせるシリーズです。
思春期真っ只中の妖怪たちは、人じゃないのに人間くさく、でも仕草は人のものではなくて。その全てがとても可愛くて。
1巻を盛り上げた少女と大蛇の純愛要素は、2巻でもしっかり継続しています。
この二人、面白い方向にこじらせてきたなぁ〜とニヤニヤすること間違いなし。
ちなみに、帯には「妖怪×ハリー・ポッター」とあるけれど、ほんとに和製ハリポタとか妖怪学校版RDGって感じの作品です。
そういう学園FTが好きな人にもっと広まりますように。

 

「薬屋のひとりごと」の日向夏さんの最新作。
浮世離れした美しい箱庭であり、常に憂いが漂う妓女たちの世界・妓楼。
そんな妓楼を統べる美しい女と、顔の半分を隠した隻眼の下働き。そして冴えない人買いの男。
妓楼に住み続ける彼らは、様々な妓女たちを美しく育てあげ、やがて彼女たちを見送っていきます。
見送る彼らの胸に宿るのは、果たしてどのような思いなのか。
秘密を抱えた最低で優しい男の物語に、そして、傷を抱えながらも凛とした聡明な女の物語に、最後まで心を奪われることでしょう。
とても面白いですよ!

 

この表紙と「農村ガール!」というタイトルから田舎で農作業に奮闘する話なのかな?と予想する方が多いかも知れません。
しかし本作はそれだけだと少し説明不足。いやかなり。
初っ端からどう猛な熊とエンカウントし、軽自動車で熊を吹き飛ばし、ようやくたどり着いた配属先で「それじゃ猟師になってね!」と話が転んでいく物語です。掴みが強いのだ。
田舎で猟師を目指すことになった体育会系新米社会人。ハンター試験に挑むガッツあふれるヒロインの奮闘が、とてもワクワクできて楽しいのです。

 

鬼に追われる夢にうなされる4人の少年少女。
心に深い傷を持ち、相反した感情にさいなまれる彼女たちの感情を、鏡写しの「鬼」を通して繊細に描きだす青春ファンタジーです。
どんなに大人びていても、誰かの庇護のもとに狭い世界を生きていかなければいけない中学生の彼ら。
その窮屈さのなかで、繊細で敏感な感性が彼女たち自身を切り刻んでいき、暗い憎悪と自己嫌悪で心を濁らせていきます。
しかし同時にそれは彼らがとても純粋で綺麗な存在であることの証左のようにも思えて・・・・・・
「鬼」という形で浮き上がった醜い自分。それを受け入れる成長の物語と言えるかも知れません。

 

隣の席の地味な女子。とろい彼女にイライラしつつ、なぜか彼女のことばかり考えてしまう少年の揺れ動く心を描いた青春小説。
彼の心情の変化がとても丁寧に描かれていて、想いはとても繊細にゆらめいていきます。
素直になれない姿はもどかしく、すれ違う気持ちは切なくて。
そしてツンデレのふりをしたダダ甘と化していく姿はもはや愛しくなります。
とても素敵な恋愛小説だと思います。
ラブコメ度がアップする巻末の短編も非常に美味しいですよ。

 

以上です。

本年のブログ更新はこの記事で最後となります。
当ブログをご覧いただきありがとうございました。
2019年もどうぞよろしくお願い致します。それでは皆様、よいお年を!

 

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「【おすすめ紹介】2018年版お気に入りのライト文芸その他16選」への2件のフィードバック

  1. 今年もお疲れさまでした。来年もよろしくお願いします!

    青ブタ、グリムがるの先が(もう)気になります(笑)
    あとはまたどんな新作が出で来るかですね。ファミ通文庫とか楽しみです!

    1. 茶一こりんさん、コメントありがとうございます。

      今年も色んなコメントをいただき、とても嬉しかったです。ブログを続けるモチベでした。本当にありがとうございます!
      青ブタやグリムガルの続き、楽しみですね!どちらも先が読めないせいでそわそわします笑
      ファミ通文庫は最近ご無沙汰気味なので来年はもう少し読めたらいいな〜と思ってます。どんな新作が出るのか楽しみですよね!

      こちらこそ、来年もどうぞよろしくお願いします(*^^)/

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