隣の席の佐藤さん /森崎緩


隣の席の佐藤さん (一二三文庫)
隣の席の佐藤さん (一二三文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2018年12月刊。
隣の席の地味な女子。とろい彼女にイライラしつつ、彼女のことばかり考えてしまう少年の恋を描いた物語です。
彼の心情の変化がとても丁寧に描かれていて、繊細にゆらめく想いに目を奪われてしまいます。
素直になれない姿はもどかしく、すれ違う気持ちは切なく。
そしてツンデレ化していく姿はもはや愛しい笑
とても素敵な恋愛小説でした。
本編は短めだったけれどラブコメ度アップする短編が非常に美味しかったので大満足です。

☆あらすじ☆
実写PVがYouTubeにて公開中の第6回ネット小説大賞受賞作!コミカライズも決定!!
地味で、とろくて、気が利かなくて。おまけに大して美人でもないクラスメイトの佐藤さん。なのに隣の席になった途端、気になり始めたのはなぜだろう。
ひねくれもの男子が、隣の席の地味な女の子に惹かれていく話。

以下、ネタバレありの感想です。

 

隣の席の佐藤さんは、地味で可愛くないし勉強はできないし運動もできないし、不器用でどんくさくて気が利かないのに世話を焼きたがる面倒な女の子。
そんな風に何度も佐藤さんを心の中でディスっていく主人公の山口くん
序盤は佐藤さんに苛立つ山口くんの姿にハラハラ(とイライラ。何様なんだよ・・・)しました。地の文がトゲまみれで私にまで刺さるかと思った。

 

本作は、そんな山口くんの佐藤さんに対する気持ちが、少しずつ少しずつ変化していく様子を描いた作品です。
佐藤さんに対する辛辣な人物評は、佐藤さんを見つめ続ける山口くんの中で少しずつ優しさと甘さを帯びていきます。

最初は気に障るクラスメイト。それなのになぜか気になって、気づけば目で追うようになって、会えないときも彼女のことを考えるようになる。
そんな自分を訝しく思いながら、山口くんは佐藤さんに惹かれていくのです。

この変化はとても緩やかだけど、流れ行く季節の中でゆっくりと積み重なっていく想いは愛しくて。
ここまで丁寧に「恋」という感情だけを追っていく作品って久しぶりに読んだかも。すごくドキドキしました。素敵すぎ。

 

山口くんの想いが変化するについて、彼の目を通して「佐藤さん」についても掘り下げられていきます。
優しくて世話焼きな佐藤さんは、本当はどんな子なのか。
少しずつ明らかになる彼女の内心はとても切なく、普段は天真爛漫な子だけに影で抱えるコンプレックスのギャップが際立つのです。
山口くんが言わずとも佐藤さん自身がよく理解してるっていうのがね、もう、ほんと辛い。
彼女自身が自分にくだす評価があまりにも厳しくて、疲れ切ってアンニュイになる様子に胸が痛くなりました。

 

徐々に語られる佐藤さんのコンプレックスは辛いのだけど、それを知るほどに山口くんの想いは強まっていき、それが私には胸が温かくなるような救いに感じました。
だって誰よりも佐藤さんを見つめている山口くんが、周囲はおろか佐藤さん本人ですら知らない彼女の魅力を見つけ出してくれるんですよ?
序盤あれだけdisってたのに終盤は立派なモンペ化してる男がいるんですよ?(外崎くん視点の山口くんに「あ、モンペだこいつ」と思ったらもうモンペにしか見えなくなった)(もはや見守り方にパパみがある)
「私なんかが誰かを好きになったらその子に嫌がられる」と自分を蔑む佐藤さんには「隣を見てあげて!!」と叫びたくなるし、同時に、彼女の隣をみて「きっともう大丈夫」と安心するのです。
きみの全部を好きになってる子が隣にいるよ・・・・・・そんな哀しいこと言ったらモンペがムキになって反論するよ!

 

少しずつ積み重なる山口くんの恋心は、途中で意外な展開を経たものの、優しい結末を迎えてくれて本当によかったです。
本編の後に続く短編とか最高でした〜。もう甘いこと甘いこと。
ツンデレのふりしたダダ甘と化した主人公(面倒くさい)がそこにいた。

 

短編と言えばクラスメイト視点の2本がすごく楽しかったです。
読者のツッコミと完全に一致していたのでは。少なくとも私は二人の気持ちと超シンクロしてました。めっちゃ笑った!

 

とても良い恋愛小説でした。森崎さんの次回作も期待しています。

 

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