現代日本と異世界で繰り広げられる貴種流離譚── 『影の王国』シリーズ /榎木洋子


影の王国 ピジョン・ブラッド【電子版限定・書き下ろしつき】 (集英社コバルト文庫)

評価:★★★★★

『影の王国』シリーズは、1997年から2002年までコバルト文庫から刊行されていた現代ファンタジーです。

亡き母の戒めを破り「赤い月」を見てしまった女子高生・瞳。
その日から人ならざるものが見えるようになった彼女は、地味なクラスメイト・渡会月哉が影の中で麗しく変貌することを知り、やがて「月の影の王国」という異世界の存在を知ることになります。

そこは自らの血をひく王子を生贄とし、巨大な力を維持する「月の王」が支配する世界。

父に殺されるか、父を殺すか。
そんな血なまぐさい王位継承争いを繰り返す月の王家に生まれ、生贄に選ばれながらも地上へ逃げのびた月哉。
追っ手から逃げる月哉に関わるうちに秘められた巫女の力を覚醒させ、隠されてきた真実をその目で見通す瞳。

物語は、学園ジュブナイルホラーな第一部、貴種流離譚の本題に突入する第二部、すべての謎が解き明かされる第三部という形で、中だるみすることなく一気に駆け抜けていきます。
複雑な伏線を幾重にも編み込みながら、様々な思惑と想いを抱えた人々のドラマが胸を打つストーリーとなっています。

はじめて私が読んだ頃はすでに完結済みだったこともあり、全14巻をズラっとならべ、夢中になって一気に読破したことを覚えています。
しかし最近は内容をすっかり忘れてしまっていて、面白かったことは感覚として覚えているのに「どんな風に面白かったのか」を全く思い出せない状態でした。
それが無性に悔しく感じられたので初読み気分で「影の王国」を再読。これがもうめちゃくちゃ楽しかった。
こんなに読み応えある壮大な話だったのかぁ。惚れ直してしまいました。

そして再読した今だからこそ自信をもって言えます。

 

『影の王国』は面白いよ!!

 

☆あらすじ☆
学校の帰りに、赤い月を見た翌日から、瞳の生活は一変した。全然目立たなかった同級生月哉が、存在感のある人に思えてきたのだ。それだけではない。道端に生える蔦、向かいの住人の不気味な影など、他の人には見えない変な物が、見えるようになった。最近ペットが次々にいなくなる怪事件と、何か関係があるのだろうか。月哉は何かを知っているらしいが…。ホラー・ファンタジーの登場!
電子版限定書き下ろしSS「赤い鳥」収録!

以下、シリーズ全体のネタバレありで雑に色々と感想を。

 

1)三部構成のストーリー

かつて大好きだった作品の好きだった理由を思い出したくて読んだ「影の王国」。
朧気な記憶にあるのは「たしか、月が舞台だった・・・?」「ヒーローとヒロインがなかなか会えなかったような・・・?」くらい。

なので1巻から4巻まで「昼は学園生活、夜は異形とバトル」という某学園ジュブナイルRPG的なストーリーだったことは全く覚えていませんでした。
そして大好きなんだよなぁ、こういう話・・・!
学ランとセーラー服を着た美男美女が王子の力と巫女の瞳を駆使して異形と戦うという、今では少し時代を感じる設定かもしれないと思いつつ、これはもはや不朽のロマンでしょ、とも思う。楽しい。楽しすぎる。

まぁ、90年代の日本を舞台にしているので、情景描写に古さを感じる部分があるのは仕方ない。
連絡手段が公衆電話だったり固定電話だったりするし・・・・・・
ただ「影の王国」は当時の流行(笑いのネタとか女子高生の言葉とか)を積極的に取り入れる作風ではなく、世代差で通じない用語もあまり出てきません。「テープ」とか「ミレニアム」くらいかな?
おかげで今読んでもスルッと物語に入れました。私はね。今の少年少女が読んでどう思うのかは分からないけれど。

 

さて、序盤は学園ジュブナイルホラーの形で瞳と月哉の戦いを描く物語は、5巻以降で「月の影の王国」に舞台を移します。
月の王に命を狙われているという問題を解決しなければならない以上、これは規定路線。来るべくして来た・・・!という感じです。

 

そして月に舞台を移してからが本作の本領発揮。

 

父王を殺して王座を手に入れた王子が、いずれ自分も子に殺される日まで、自らの子を殺して王の力を維持し続ける。
そんな「父殺し」にして「子殺し」の忌まわしい慣習を繰り返して生きた月の王と王子たち。

血みどろの運命を繰り返す王家の業が語られる一方で、その運命に抗おうとする心の強い人々がいて、それを見守り手を貸す人もいて――

様々な立場の人が、様々な思惑で動くため、進行していく事態が誰の手のひらの上にあるのかも分からないのです。
加えて、その一人ひとりが抱えてきた人生も語られる。
誰にだって譲れないものがあり、守りたいものがある。
残酷な運命を必死で打ち壊そうとあがく人もいれば、自分の望みのために他者の願いを踏み潰そうとする人もいる。

手短に語られるのに心に残るドラマの数々が鮮烈でした。
そしてどんな立場の人にも感情移入してしまう。みんな好きだ・・・!って叫びたい。

 

4巻までは確かに瞳と月哉の物語であり、そこから先も彼らが主人公であることには間違いないのだけど、月に舞台を移してからはどこか群像劇の趣もあるんですよね。
なかでも彼らを愛し、守ろうとした親世代の印象が強く残っています。
熾烈な骨肉の争いから始まる物語なのに、親の愛と庇護の物語でもある。そしてそれを受け取り、未来を切り開く子供たちの物語なのです。

 

また、世界の成り立ちと存亡を描く壮大なファンタジーであったことも私的には大好きすぎて。
少年少女の成長を、家族と世界の呪縛と庇護からの脱却という形で描いた作品と言えるのかもしれない。
家族の問題と世界の問題は切り離せない関係にあり、「月の影の国の王家」という設定を存分に活かしきった伏線回収はお見事の一言でした。

 

2)特に好きなキャラの話。

みんな好きだと叫びたいのだけど、特に好きなキャラに絞って語ってみます。

本作の主人公の一人。
序盤から精神的には割と完成しているため、瞳の物語としては「人見の巫女」としての成長に特化しているように感じました。
嘘を見破ったり、見えない真実を暴いたり、幽体離脱して情報収集したり、過去の遺物から記憶を読み取ったりと、かなりのチート性能。しかしそれが彼女を深い闇に誘うのだった・・・という中二心くすぐる設定までパーフェクトなヒロイン。

瞳自身は前向きで勝ち気な性格がいつだって頼もしく、また、押し付けがましくない優しさが心地よい子でした。
月哉への淡い恋心を育てる1部の情緒も好きだし、月哉を救出しようとするヒーロー的な2部の活躍も好きです。
3部は囚われのお姫様をしていてハラハラしたけれど、それでも「月哉との思い出は私だけのもの!」と言い切ったシーンは痺れた。

そんな瞳に関して一番好きなシーンは、月留救出作戦会議で「好きだから助けるんだ」というシンプルな答えを出したとき。
月哉たちに負けず劣らず瞳自身も複雑な運命の呪縛にいるのだけど、悩み迷いながらも、覚悟を決めたらポジティブに進める強さが格好良い主人公でした。

 

本作の主人公の一人。
瞳が能力を育てる方向で成長する一方、月哉は精神を育てる方向で成長していきます。能力自体は最初から父以外無敵だし。

この成長物語としての違いもそうなのだけど、瞳と月哉って色々な面で対照的に描かれているんですよね。

無謀なくらい勇敢でポジティブで誰にでも優しくできる瞳と、臆病に思うほど慎重で疑い深く誰にでも壁をつくる月哉。
物語が進むにつれて、瞳には心の弱さがでてくるけれど、逆に月哉は強くなっていくのです。
「貴種流離譚」という観点でも、月哉は生まれ育った場所から逃げて成長して戻るタイプだし、瞳は何も知らずに遠い場所で生まれ育ち成長して真実を知るタイプという違いがあるかな。
心の在り方も、成長の種類も、物語のベクトルも、その他多くの要素が対照的な二人だったと思います。
そのおかげで頻繁に二人は衝突するけれど、そこがまた面白かったりもしました。ケンカップル可愛いかった。

瞳との対比はともかく月哉自身はどうだったかというと、この人は本当に面倒くさいやつだったなって・・・笑
私の1番のお気に入りは3人がけベンチで真ん中を陣取る月哉くんです。
これさ、瞳の隣は絶対死守する!じゃなくて瞳の隣には誰も座らせない!っていう意思だよね。
結果は同じなんだけど感情の向きが違うんだ。そこが月哉なんだ。

じれったすぎて周囲に生暖かい目で見られてきた月哉だけど、最後は王子様らしくビシッと(?)決めてくれたのが最高でした。
まぁ挿絵はしょんぼりイケメン顔だけど・・・笑

 

美しさの暴力で全てを平伏させた人。
この人が登場するたびに「この美しき王の期待に応えられない自分なんて鬱だ死のう・・・」ってなる人が続出していてちょっと面白かった。みんなほんと簡単に王のために死のうとするから怖い。

最初は狂気の人という空気で語られる百雷だけど(サトゥルヌス的な・・・)、蓋をあけてみれば作中随一のお気に入りキャラになっていた人が多そう。
冷酷で残酷な人であるのは間違いない。でも同時に愛が深い人でもある。

百雷の行動で特に好きなのが、白藍の遺体をわざわざ王家の霊廟まで運んで棺に入れたこと。
彼だけは本当の意味で白藍を「王」として扱ってあげていることが痛いほど伝わり、その不器用な愛の形に心がいっぱいになりました。

シリーズ終盤の百雷の挿絵はもはやアートのようになっていて、彼の神がかり的な美しさの表現にぴったりだなと思ったり。

 

箱入りお坊ちゃん気質の心優しい王子。そして騙されやすい男子ナンバーワンかつナンバーワン迷子。
地上への帰還と瞳への想いを拠り所としていた月哉とは違い、生まれ育って愛着もある月の世界と兄を思い、一番足元がゆらいでいた人でしょうね。
初登場2巻で盛大な勘違いをしていたことは、なぜか2巻を読みはじめてすぐ思い出しました。

月留の成長物語が一番王道的だったんじゃないかなぁ。
月哉と出会い、白藍の裏切りを知り、イヤルドとの旅でどんどん成長していく月留の姿は目を引くものがあったし。
最後まで「優しい王子さま」というキャラを貫いた上で見事な成長を見せてくれたことがすごく嬉しかったです。

 

作中最もハングリー精神にあふれていた人だったのではないでしょうか。
血に狂った王家の因習の只中にあり、何をしてでも生き抜こうとするガッツある人。しかし隠しきれぬドSみのせいで擁護しにくい人(そこもまた魅力だしね)
月留がめっちゃ白藍好きだから「弟にだけは優しいのかな?」と最初こそ思わせるけれど、弟にもドSみを出しているので業が深い。
小さい子に何を教えているのだ、この男は。
でも弟が大事だったのも本当で、決して愛を知らない人というわけではなく・・・・・・

生き抜こうと足掻き続けた白藍が「私が私たるためだ」と言い放つシーンはとても鮮烈でした。
父からも母からも、いずれ命を失うことを望まれる月の王子。その中でも「紫苑の代わり」でしかない王子。
彼の中で渦巻く愛憎はとてもドロドロしているのだけど、どうしようもなく魅入られてしまうのは、彼が彼たる道を頑なに歩もうとする姿に心を打たれるからなのでしょう。

 

3)各巻の感想

一気読みしつつ各巻のメモをとっていたのでブログにも記録しておきます。

再読だけど1ミリも思い出せずに読んだので初読気分ですごく楽しかった!
今や懐かしさも感じる雰囲気の学園ジュブナイルホラー。
日常が怪奇に侵食されるなか、人ならざるものを見る美少女はクラスメイトの影の姿に惹かれていく。
綺麗で気が強くて優しい瞳と、食えない性格に見えて臆病な月哉のコンビの、疑心と信頼に揺れる距離感がとても良い。
こんなにホラーテイストだったっけ…?とゾクゾクする連続猟奇事件の顛末も面白かった。
あまりにも楽しすぎて、昔から趣味がぶれない自分に笑うが、久しぶりにこの世界にどっぷり浸ろうと思う。

 

謎の転校生の登場と遊園地デートと強敵現る…な第二巻。
月の王に対する叛逆の話が出てきて物語が動きつつある。それはそれとして昼間は普通の学生生活を緊張を持って過ごし、夜は異形と戦うという学園ジュブナイル感はやっぱり楽しい。
ホラー色は少し薄れたぶん、アクション要素が多くなったかな。
未だに嘘と疑心を交えつつも、ほんのりと淡い想いを育てる瞳と月哉の姿にニヨニヨする。
澄ました顔で気持ちを隠す月哉がかわいすぎるし、そういう人が瞳のピンチには激昂するというのは様式美とロマンがあって良き。
しかし強いのは瞳。へこたれない。

 

3人掛けベンチで絶対に真ん中を陣取る月哉のしれっと嫉妬深いとこ、ほんと好き。秘密主義の過保護がこじれて瞳を怒らせるのも不器用すぎて可愛いなぁと思ってしまう。
月留のトラウマや月哉のケガ、瞳に接触する謎の白い男など物語がどんどん転がっていくのがとても楽しい。
ホラー色は消えたかな。あ、でも冷蔵庫の生首はなかなか・・・・・・
伏線もどんどん出ているけど、悲しむべきか喜ぶべきか、さっぱり結末が思い出せないので期待しつつ次も読もう

 

ばあちゃんがカッコ良い・・・!と思ったら皆カッコイイ・・・!な渡会家の昔ばなし。
両親の馴初め話、短めだけどすごく良いし、同時に哀しい。二人の死を自分の責任だと背負いこむ月哉も悲しい。でも残された家族は温かいなぁ。
一方では自分のために血の繋がった子を殺す父がいて、一方では血の繋がらない子のために命を擲つ父がいた。
骨肉の争いに振り回される月哉にとって、地球で得た家族が何よりも大切で守るべき居場所なのだとよく分かる。そりゃ戦いを避けようと慎重にも用心深くもなるよ。
他にも伏線がドカドカと回収され、イヤルドも本格的に合流。
月哉を助けようと決意する瞳はとてもヒーローだったが果たしてどうなるのか。
ところで、あえて曖昧にして深く考えないようにしていたのに何気ない一瞬で不可逆的に「心に決定的な感情が刻み込まれた」シーンがすごい好き。月哉にしても瞳にしても繊細に揺れる心情描写がとても良いなぁ

 

ついに舞台が月の影の王国へ。
眠れる王子様を救いに敵地へ乗り込んだわけだけど初っ端からピンチの連続でめちゃめちゃハラハラした。
誰を信用していいのか、誰の掌の上にいるのか。
各人の思惑が錯綜して誰の思い通りにもなってない雰囲気がとても楽しい。
しかし精霊はこのタイミングか。いつかやると思ってた。
あと王様の底知れなさがすごくいい。冷酷で残忍で慈愛に満ちた王。彼は何を思うのか。

 

瞳は巫女の神殿へ。一方の月留はイヤルドから13年前の話を聞かされる。更に月主の過去も明かされて―― という過去エピソードてんこもり回。
伏線が回収される代わりにまだ明かされていない謎が気になって仕方ない。そこが楽しい。
しかし月哉は今回ほとんど眠り姫状態だったなぁ。瞳との再会はいつになるのか。
頼りにしていいのか不安になる死神の動向も気になるけれど、果たしてどこまで王は知っているのやら。
今回のハイライトは胃痛でホットミルク与えられる月留。

 

月の親世代の正体や事情が色々と判明する第7弾。第2部クライマックス。
過去エピソードをこれでもかと語る一方で月哉や瞳たちの物語もテンポよく進んでいく。
それぞれバラバラに動いているのに、このボリュームで上手くまとめるものだなぁ。
そして怒涛の脱出劇と切ない別れと急転直下な引きで締めるあたり、一応の区切りがついてるのに面白すぎて一気読みが止められない。
今回のハイライトは月哉覚醒からの猛ダッシュと抱きしめる直前での急ブレーキ。

 

たった二人で戻ってきた地上。ただ逃げるために必死で走ってきた月哉と瞳が、安全圏で体を癒しながらも運命と向き合うための覚悟を決めるインターバル。
二人一緒にいる姿がとても自然でしっくりくるのに、想いを交わし合う余裕がないのが切ないなぁ。そしてありえないifを語る2人がとても哀しい。
一方、引き続き親世代の話も語られていく。印象的なのはカヤティーザと百雷の関係。そして人見の巫女という存在の不穏さ。
さて、いよいよ最終章突入。一気に読んでしまおうと思う

 

月留救出作戦スタート。
作戦会議での瞳の演説がとても良かった。複雑に絡み合った血の呪縛に翻弄されてきた彼女たちだからこそ、それがどうした好きだから以外に理由がいるのかとシンプルに断言できることを尊く思う。
その瞳が大変なことになってるわけで月哉しっかりしろ!と怒りの声をあげそうになった。
それにしても反乱起こした王子の話は完全に忘れてたから衝撃。伏線ほんと細かい。
今回のハイライトはチウリー覚醒シーンの挿絵の月留と月哉の顔。ガン見やんけ。

 

王国に潜む「影」について語られ、彼女達の泥沼のような悪意が広がっていく。
元は純粋な感情だったはずなのに長い年月が本来あるべき姿を歪めてしまったのか。
こんな簡単に手のひら返されるといくら白藍でも不憫に思えてくるレベル。そもそも彼は生存闘争に必死だっただけだしなぁ。
また、この巻で特に印象的だったのは白妃。彼女も王家の血に狂わされた人なんだね。
幼い頃に慕った浅葱への純粋な想い、圧倒的美に平伏す形であっても貫いた百雷への愛。
王家に身も心も捧げ尽くした最期は悲しいけれど見事だと思った。
まぁその愛情が少しでも白藍に向けられていれば・・・とも思うけれど、それをさせないのが月の王家でもあるわけで。
さて月哉と瞳は血の呪縛から逃れられるのか。エピローグ怖すぎでは。

 

短編集第一弾。
思った以上に月の住人は地上にやってくるし、人間は結構犠牲になってるんだよ、とサラッとエグい事情がみえる。
最初の話を悲恋で終わらせないところがすごく好き。
二話めは揺れながらも拒否したカヤティーザたちの覚悟にもどかしくなりつつ尊敬。例外を認めてしまうと際限なくなるもんね。
カヤティーザと有宏の雰囲気ほんと好きなんだけど、この幸せな空気があと少しで失われるのだと思うと切なさ半端ない。

 

王に祭り上げられた月哉。潜伏して機を見計らう白藍。息子達の衝突を遠く見つめる百雷。
王宮に潜む化け物たちの手によって運命は弄ばれていく。
瞳と月哉のほっこり甘いシーンですら見えぬ出歯亀の多さにゾッとした。
その一方で儚くも美しい愛が描かれたりして・・・・・・
そしてクライマックスに向けた前哨戦。
「私が私たるためだ」というセリフはこのシリーズの本質的なテーマのひとつでもあるんじゃないだろうか。
誰もが運命や他者の思惑に翻弄されるなかで、揺るがない自己を持とうと抗うのは同じ。
この巻ではベニシアや白藍が象徴的だが月哉や瞳にしてもそうだろうと思う。
白藍の結末は誇り高い悲劇だったが・・・・・・さて・・・・・・

余談。
月哉、アルマに対してもヤキモチ妬くあたり、こいつほんと瞳が絡むと心ちっちゃいなと思わずにいられない。
このへんの月哉のジメっとした性格めっちゃ好き

 

本編最終巻。
面白かった記憶は確かにあったけど、ここまで面白かったのかぁ。
謎とドラマが複雑に絡み合う物語だったが、中弛みすることなく過不足もなく本編全12巻で見事にまとめている。
終盤は翻弄される側でやや蚊帳の外の雰囲気もある月哉たちだけど、親世代の愛と庇護を受け止め、ようやく運命に縛られない自分たちの未来を手に入れたのだと思う。
哀しいことはたくさんあったけれどハッピーエンドと言えるだろう。
しかしほんと百雷が最後までいい所をさらっていったよなぁ。

 

本編後日談を収録した短編集第二弾。
本編終盤では兄と父の気迫に押されて存在感が薄れがちだった月留の成長と選択が描かれている。
優しい彼らしさが損なわれることなく良い男になったなぁと感慨深くなってしまった。
ホム=ソーンの話も良かった。こういう尊敬と親愛の中に交じる嫉妬の話って大好き。
そして本編ではたどり着けなかった瞳と月哉の恋の結末。
やっとラブコメの空気が・・・!とワクワクが止まらず、そして満を持してのラストシーンに感無量である。
そういや初期は喧嘩のすれ違いが多かったんだよなぁと、ばかばか連呼してそっぽ向く瞳の姿にニヤニヤした。甘いなぁもう!
巻末収録のおまけマンガはなぜか完全に覚えてた。むしろこの漫画以外の記憶がなかったまである。楽しかったです。

 

4)最後に。

 

影の王国はいいぞ!!!

 

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