世界を愛するランダム・ウォーカー /西条陽


世界を愛するランダム・ウォーカー (電撃文庫)
世界を愛するランダム・ウォーカー (電撃文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★☆☆
2018年10月刊。
天空国家から派遣された二人組の調査官が、広大な世界を旅しながら未知を解き明かす『世界の果てのランダム・ウォーカー』の続編。第2巻です。
今回も様々な文化や文明や不思議を抱えた場所が登場し、作風の多彩さにワクワクする1冊でした。
短編形式も面白いのだけど、この作家さんの長編作品も読んでみたいなぁ。

☆あらすじ☆
凸凹調査官コンビが遭遇する、新たな世界の謎とは。
深く、広い世界。その全てを知ろうと、天空国家セントラルは各地に調査官を派遣していた。
調査官であるヨキとシュカが今回向かった先は、水上都市グランナーレ。音楽に愛されたこの街で、今宵世にも奇妙な音楽会が開かれるという。曰く、音楽会に参加すると、己の求める死者と邂逅する事ができるというのだが――。
ほか、春が来ない里、物理法則が乱れた学術都市など、五つの謎を巡る。

以下、ネタバレありの感想です。

 

「お?ホラーか?」と始まり、切なく良い話だ・・・としんみりさせ、「おっ、ホラーだな・・・!」とドキッとさせて終わる水上都市の話。
音楽至上主義ゆえの格差とかの話、寓話的に語ろうと思えばいくらでも書けそうなんだけど、こういうところあまり踏み込まないですよね。
傍観者あるいは観察者としてのヨキとシュカの立場と、全てをまずは受け入れるという彼らのポリシーがそうさせるのだろうけれど。
あまり説教くさくないので読みやすいところが好きです。ヨキとシュカの懐の広さは読者的にも心地よい。

 

アイヌっぽい雪国の人々を調査するヨキとシュカ。
冬が終わらないかもしれない。文明としても取り残されつつある。
そんな閉塞感が辛いエピソードでした。
文明に正しい在り方も何もないのだろうけれど、弱いものが淘汰されるのもまた自然の理なんだよなぁ・・・・・・
でもこういう話で希望を残すような結末にするのが上手いですね。神々との共生というロマンが好き。

 

こちらはロマンとロマンスが大爆発。
物理法則が乱れた街、「世界の終わりの方程式」を解く少年、世界を修復する少女。
うーん、この設定で1本の長編を作ってほしかった!笑
だって世界の終わりで始まるボーイ・ミーツ・ガールとか最高にロマンチックで私が好きなやつ・・・!

ちなみに、この話で無性に寂しく感じたのはヨキたちが書き残した数式をあっさり消しちゃうシーン。
ああ、こうも無情に痕跡は失われるのかと思って。
だからこそ最後に残った数式に胸がきゅんとなるのだけど。

 

突然どうした???と面食らった短編。
序盤で「へ〜ロックな文章書くじゃん!」と思ったんだけどヒップホップだったそうです。すまぬ。音楽のジャンルはさっぱり分からんのだ。

それはそうと。

この1本は他と毛色が違いすぎて、作者の引き出しの多さにドキドキしました。
こういうのも書けるんですね。私、こういう文体すごく好きなんですよ。視点人物の内心が垂れ流しな感じ。内面描写と情景描写が混ざりあってゴチャゴチャしていて、それでいてスラスラ読めて楽しめるのがすごく良い。

しかし、おいおい、夢オチとはどういうことかね。きらいじゃないけど!
なるほど最後のダンスでカーニバルな感じはそういうことか!(ヨキ、らしくないじゃん?とか思ってた)

 

パニックホラーでゾンビホラー的な1本。
ヨキの初めての友達(「初」かどうか知らんけど)との友情が切ない回だったりします。
展開は派手で敵のビジュアル的な衝撃も大きいのだけど、なんかこれはあんまり乗れなかったな・・・・・・

 

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