東京レイヴンズ16 [Re]incarnation /あざの耕平


東京レイヴンズ16 [RE]incarnation (ファンタジア文庫)
東京レイヴンズ16 [RE]incarnation (ファンタジア文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★★
2018年10月刊。
お久しぶりの新刊。
私にしては珍しく前巻を再読してから臨んだのだけど、ちゃんと準備して読んで本当に良かった。
在りし日の夜光と飛車丸を描いた過去編のクライマックス。中盤以降はボロボロ泣きながら読みました。
やはり東京レイヴンズは最高だった。どれだけの乙種をこの物語に込めていたのか。
そしてあざの先生の幼馴染属性はガチだと思いました。ここに至高の幼馴染が誕生した・・・!

☆あらすじ☆
お待ちしています。幾瀬、幾年の彼方で――
土御門夜光と相馬佐月。陰陽の道を歩む二人の運命的な出会いにより、呪術は黄金時代を迎えた。けれど無情にも『その時』は確実に近づいてくる。敗戦の色濃くなる帝都で、夜光が、そして飛車丸が下す決断は……。

以下、ネタバレありの感想です。興奮してます。ご了承ください。

 

15巻が夜光の青春を描いた話ならば、16巻は時代のうねりに呑み込まれていく夜光の葛藤を描いたお話でした。
そしてそれは、夜光を傍で見つめ続ける飛車丸の苦悩と選択、忠義と愛を描いたお話でもあって。

 

戦況が激しく悪化していくなかで、軍属である夜光も戦場に駆り出されている。
序盤の展開からして胸を締め付けるような苦しさがあったのだけど、それ以上に、前巻では賑やかで温かい場所だった陸軍陰陽寮の変化にゾッとしました。

ああ、これが現代編で春虎たちを苦しめた「双角会」の芽吹きだったのかと。
どれだけ夜光本人の意思とはかけ離れた狂熱と暴走だったのか。

 

この過去編で語られる夜光の孤独がとても印象的なんですよね。
夏目の孤独とはまた少し違った感じ。規格外の才能に寄せられる過剰な期待と、それとは裏腹な普通の青年らしい心のズレがとても痛々しくて。

戦争末期の焦燥感と周囲のすがるような信頼。
その空気に呑まれ、流され、躊躇い、苦しみながらも選択をしてしまった夜光。

「大霊災」に至る流れをみていくと、なんかもう仕方ないじゃん!夜光どうしようもなかったんじゃん!と庇いたくなります。
様々な要因が不運に重なった結果の責任をたった一人で背負わされ、一方では神聖視されて。
死してなお夜光の孤独は続いていたのか。ただただ辛い。

 

そんな夜光だけど、飛車丸と接しているときは普段見えない「普通の青年」らしい顔を見せてくれて。
てか飛車丸と二人きりの時に見せる顔が可愛すぎなんですけどぉ・・・・・・
一体何度顔を赤くさせたのか。乙女か。

 

ていうか私、飛車丸と夜光は結局どの程度の踏み込んだ関係だったのか疑問だったんですよね。

うわぁぁああん伝え合ってるよめっちゃ両想いだし愛を交わし合ってるよぉぉぉおおおおお(ゴロゴロ

しかも決死の覚悟で挑む儀式の前とかいう超フラグな状況(フラグも何も結果は既に分かってる)(それが更に辛い)で悶えればいいのか泣けばいいのかって感じで・・・!読みながら感情が大変なことになっていました。

 

てか夜光が本当に望んでいたことなんて現代の誰も汲み取ってくれてなかったんじゃん。それが「普通」になりすぎて。彼が望んだ社会が彼の望まぬ霊災によって結果的に実現していたのは皮肉なんだか。

 

夜光の最期に涙しながらも、転生に至ったストーリーが語れたことでようやく全貌が見えた「東京レイヴンズ」という物語の壮大なスケールに感嘆の想いしかありません。もう本当にすごい。

特に飛車丸ですよ。

狐憑きであっても人間だった彼女が、どのようにして本当の式神となったのか。
幾瀬、幾歳の彼方で待ち続ける。この言葉の意味と重みを私はどこまで理解できていたのか。

全ての読みが甘かった。おかげで土御門の子どもたちを見守り続けた飛車丸の姿が切なすぎてボロボロ泣いてしまいました。
簡単に時間がスキップしたわけじゃないんだよ。そりゃそうだよ。
ずっと、ずっと、時間を積み重ねながら待っていたんだ・・・・・・たった一人で・・・・・・

 

過去に飛んだ物語は、現代編の懐かしいワンシーンを走馬灯のように振り返りながら、やがて現代へと戻っていきます。
すなわち、飛車丸が「コン」として過ごした日々をもう一度振り返るわけです。これがまた刺さること刺さること。

恋い焦がれた「夜光」が、新たな人間関係を築きながら「春虎」として現代を生きている。
そこに昔の自分の居場所はあるのか?ないのなら、自分はどうすればいいのか?

自分はむしろ、早く消えてしまった方が、春虎のためなのではないか。

もおおおおおおおおお!!ほんと何でそんなこと言うのぉ!?(号泣)
あれだけ恋い焦がれて、一途に待ち続けた姿を見た直後だけに悲しくて苦しくて。こんなのってないよ!報われない!

・・・・・・と、普通なら思うところなのだけど。
良かった〜。最初から答えを知っていて。ただでさえ読んでて苦しいのに危うく心が死ぬところだった。

 

物語はようやく長い追憶の旅から還ってきました。

時を超えた夏目は飛車丸として夜光の隣で育ち、夜光を待ち続けるために肉体を捨て、春虎と再会して夏目に戻る。

輪廻する運命が強すぎませんか?
てかホント起点はどうなってるんだよとも思うけど神は偏在するから起点はないのか(混乱)
この幼馴染みを結ぶ赤い糸、神様保証の鋼鉄製だったんですね。
これで夏目が全方位敵なしの最強幼馴染みヒロインとして再臨を果たしたわけですが、こうやって茶化さないと荒ぶる感情が抑えられないくらい再会シーンは胸熱でした・・・!

 

さて、現代編に戻ったことで物語はいよいよ最終局面へ向かうのでしょう。
でもあとがき的にすぐに終わる感じでもなさそう?終わらなくて全然いいんですけど。

夜光が再び命懸けで将門公を封じるための転生と言ったことがめちゃ気になるのだけど、えっ、大丈夫ですよね?
もうどっちかが置いていかれる展開とか嫌なんですけど??
夏目が死んだときの春虎と夜光が死んだときの飛車丸で悲劇はお腹いっぱいなので最後はしっかりハッピーエンドでお願いします!

 

余談。
この記事を書いている途中でコミカライズを全巻再読しました(あのコミカライズ本当に素晴らしい。是非2部までやってほしかった)
今読むとコンと夏目が春虎を挟んでギスギスしてる姿に笑いが止まらなくなりますね。この二人のキャラクターそっくりやん。なんで同一人物だって気づかなかったんだろう。これもまた乙種か。
あと冬児が言った「出来レース」の言葉にしみじみ頷いてしまうww

飛車丸が「式神」であることを理由に夜光の心に踏み込めかったことを考えれば、夏目が「春虎の主」であることを必死に振りかざして春虎に干渉していたことが微笑ましく感じてしまいます。
臆病な彼女はいつだって「理由」を求めるんだよなぁ。そこが夏目の面倒くさいところであり、可愛いところであり。
どうか最後には理由なんて必要ない幸せを掴んでほしいな・・・・・・

 

余談2。
うっかり感想本文に書き忘れたのだけど、夜光と佐月の友情が予想以上に重いものだったことも印象に残ってて。
飛車丸への内緒話のシーンとか、こんな風に笑い合える友情を育めていたのになぁ・・・と、彼らを悲劇へと導いた佐月の暴走を思って悲しくなりました。
時代が違えばとかも思うけれど、現代の多軌子を見るに、結局は「相馬の血」が全てを台無しにする話なのかもしれない・・・・・・

 

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「東京レイヴンズ16 [Re]incarnation /あざの耕平」への1件のフィードバック

  1. 久住さん、拍手コメントありがとうございます。

    感想に共感いただけてすごく嬉しいです・・・!
    佐月との内緒話のシーン、あのタイミングで挿入されたのがまた切ない良さみを感じるんですよね。

    夜光覚醒後の春虎はずっと遠い存在に感じていたのですけど、春虎は春虎なんだって分かったあとに夜光も春虎なんだって理解できる過去編でしたね。「同じ根っこの別の花」とはまさにまさに(全力で頷く)

    前世と現世の人格がどの程度うまく融合できるのかという心配はあったのですけど、ほんとうに杞憂でした。これで安心して二人の幸せを願うことができます・・・!

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