白翼のポラリス2/阿部藍樹


白翼のポラリス2 (講談社ラノベ文庫)
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前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2018年10月刊。
空と海とボーイ・ミーツ・ガールの物語第2弾。
1年以上間があいたので少し諦め気味だったのですが、続刊が出てくれて良かった。
更に世界観を掘り下げるストーリーと、緊迫した空戦の駆け引きがとても面白かったです。
この引きは続刊前提かな?刊行ペース遅めでも、続きが読めるならずっと待ってます。

☆あらすじ☆
遠く遠く北の果てから、強力な海流を引き裂いて、戦船がやってくる。この星の真実と、災厄を載せて。ヴェセル・バトー会戦終結の立役者となったスワローのシエルとヴェセル王女のステラは、会戦時に垣間見た自走する船と伝説の大陸国家ボレアスの情報を集めるべく奔走していた。ある日二人の元に依頼が舞い込む。依頼人はボレアス軍人と名乗るシエルの父・アカーシャだった。蒼い空が汚される時、少年は何を想い、何を掴み取る?

以下、ネタバレありの感想です。

 

死んだはずの父親に呼び出されたシエルと、そのパートナー・ステラ。
彼らを待っていたのは、神話の国ボレアスの皇女シュリと、彼女の身柄を巡るボレアス内部抗争だった。
シェルが開戦派の手に落ちればシエルたちの船国もただでは済まない。
こうして、シエルとステラと、幼馴染みの整備士ジニーはシュリを守って正規軍から逃げることになるが―― というのが2巻のストーリー。

 

いよいよボレアスの内部事情が明らかになる第二巻。
ボレアスという国を掘り下げていくにあたり、割と意外だったのがボレアスと船国の文化水準に絶望的なほどの差はないということでした。
もちろんボレアスの方が高性能な飛行機を飛ばせるし、デカい戦艦だって持っているのだけど、戦い方を工夫して味方がガッチリと協力すればどうにかなりそうな程度であるように描かれているんですよね。
それでもシエルも船国も大苦戦して一時は緊張に満ちた窮地を迎えるのだけど、結局は文明国と後進国の差くらいでしかなく、「神話の国」という触れ込みから想像するような感じではないんです。
むしろ、シェルやチアキを見ていると少し(だいぶ)変わっていても普通の人間なんだなって。
厳しい寒さに耐える北の大地の人間が南下を目指すという理由なんてその最たるもの。
彼らには彼らの戦う理由があり、また同様に戦いを避ける理由もある。ある意味とても「人」らしい観点からボレアスが描れていて、そこが意外でもあり、面白くもあり。

 

一方で、私が想像していたような「神」的な何かは他にいて。
大地を海に沈め、オーバーテクノロジーを人々に残し、そしてどこかへ消えた「星の民」。
そんな宇宙人的な何かについて語られるくだりはとてもワクワクしました。こういう文明の起源に迫る話ってときめきが止まらなくなる。
もしもシリーズが続けば「星の民」の正体に迫ったりもするのでしょうか。
そこまではいかなくても「星の民はもっとすごい技術があったのにわざとそれを残さなかったのか?」の謎が解き明かされるといいな。単なる意地悪なのか、それとも人類に強力な武器を持たせたくなかったのか。後者ならどうして永久機関エンジンは与えたんでしょう・・・?うーん気になる。楽しみです。

 

そういうわけで世界観をどんどん掘り下げていく第2巻。
同時に、今回はボレアスの内部抗争の火種を船国に持ち込んでしまったことで責任を感じたシエルが「スワロー」としての覚悟を示すストーリーでもありました。
なんというか、幾度も「父の後継者です」と自身を説明してきたシエルが、父の威光から巣立つ話でもあったのかなって。今回の件で彼はようやく「白翼」という名を父から引き継げたのかもしれません。
特に「スワローを辞めたお前が、現役の『白翼』に敵うと思っているのか?」という傲慢なまでの啖呵は最高でした。息子が父を超える瞬間を見た。胸熱です。

 

スワローとしてのシエルの成長に心を熱くさせる一方で、残念だったのはスワローの相方であるステラの影が薄かったこと。
新ヒロインとして登場したSSS能力持ちのシュリとメカニック担当のジニーが、それぞれ「シエルの相棒」としてステラよりも優れた能力を持っていることが「メインヒロイン」の哀しみを深めているんですよね。ステラ、物語的にあんまり要らない子になってる・・・・・・
ナーヴェに残りシュリと戦況を見届ける役回りだったから仕方ないのだけど、私としてはシエルとステラが再び背中を預けあって空を翔けるところが見たかったわけで・・・・・・ううう・・・・・・

 

まぁそういう不満はあったのですが、全体としては面白かったので満足しています。
続きが出そうな引きですし、この不満はきっと次巻で解消してくれるはず!(あとがきの書き方はやや不穏だが)
ステラ本人も「パートナーの座を譲ったつもりはない」と言ってましたしね。頑張れステラ!

 

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