月とライカと吸血姫4/牧野圭祐


月とライカと吸血姫 (4) (ガガガ文庫)
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前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2018年9月刊。
いよいよ新旧主人公コンビが揃い踏み。
宇宙開発に切り離せない問題を物憂げに描きつつも、それでも尽きぬ宇宙への憧れに心が打たれます。
でもラストが不穏〜〜〜!

☆あらすじ☆
そして、宙を夢見る彼らは出会う。
『フライ・ユー・トゥ・ザ・ムーン』の合い言葉が宇宙ブームを盛り上げ、UFO騒ぎにまで発展する一方、月面着陸計画は行き詰まりを見せていた。そんななか連合王国では、『宇宙時代の人類』がテーマの万国博覧会が開幕。『アーナック・ワン』の広報を務めるバートとカイエは『宇宙の平和利用に関するカンファレンス』への参加を要請される。ロケット開発主任のクラウス博士や、若き女王サンダンシアなど、錚々たる面々の参加が決まるなか、あの共和国の英雄二人も急遽登壇することに。
例の行進以来、すっかり仲を深めたバートとカイエ。二十一世紀の未来や宇宙旅行の疑似体験など、仕事を忘れ万博を楽しむ。そして、待ちに待った英雄との対面。二人は未来に思いを馳せ、同じ夢を見る。
―――しかし。
「もはや核戦争は避けられません……ならば、先にしかけるべきです」
東西超大国のいがみ合いが、世界に未曾有の危機をもたらす。夢が消えかけるなか、二大国の若者たちは何を想い語るのか。
いまだ宇宙に行くことが奇跡だと思われていた時代……これは、宙に焦がれた人と吸血鬼が目指す、三十八万キロという途方もない旅への序章。宙と青春の物語、待望の第四幕!

以下、ネタバレありの感想です。

 

1・2巻の主人公であるレフ&イリナと、3巻の主人公であるバート&カイエがついに邂逅を果たす第4巻。
物語は、連合王国で開催される万国博覧会に浮かれる空気と、その影でひりつくような緊張感を漂わせる二国間の対立を描いていきます。

 

連合王国の女王サンダルシアが登場したことにより、更にフィクションの味わいが強くなっているものの(まぁそもそも吸血鬼が存在するような架空世界ではあるのだけど)、相変わらず史実をベースにした世界観は強度を感じ、そこで描かれる人々のドラマには魅入られてしまいます。

核という脅威が目の前にぶら下がる世情で、否応なく抱かされるのは「明日には世界が滅ぶかもしれない」という思い。

宇宙開発という未来へ向かうプロジェクトに携わりながらも、一方で、世界の終わりを憂うバートの心の陰影が印象的でした。
人を月に飛ばすことは人類を先へと進めるのか、それとも、その過程で生まれるロケットが人類を終わらせてしまうのか。
宇宙と軍事の切り離せない問題を丁寧に掘り下げストーリーは読み応えあり。そうして暴かれるシビアな現実には胸が重くなるようでした。

 

そうした現実に押しつぶされそうになりながらも、「人はなぜ月を目指すのか」という問いかけに対して青くさいほどロマンのある答えを出してくれたのが本当に素敵。
現実の厳しさとか百も承知。そうであっても宇宙を目指す人達には、現実を変えるくらいのロマンチストであってほしいのです。だって宇宙自体がロマンのかたまりなんだから!
情熱だけで劣勢を動かしたクライマックシーン、なかなか強引ではあるのだけど、それでも感動してしまうカタルシスがありました。

 

さて、今回はレフ&イリナが本格的に再登場ということで、それも楽しみにしていました。
語り手がバート側だったためか、レフたちは少し余所行き顔。それでも時折こぼれる素顔になんだか懐かしさを感じました。
第三楽章でレフたちの方に話が移っていたのは5巻で主人公が戻るということでしょうか? それなら嬉しいんだけどなぁ。期待しましょう(「史上初の悲劇」という文字から必死に目を逸らす)

 

レフたちを接待するバート達の方は、なんだか前巻以上にラブコメしていたような気が。
なんかもう「それで付き合ってないとか・・・」とため息がでるような距離の近さですね。小指のくだりはニヨニヨが止まりませんでした。カイエはほんとむっつりさんだなぁ笑
技術者としても精神的な支えとしても良いパートナーになっている雰囲気が良いです。軌道ランデブーごっこ可愛すぎたけども!(好き)

 

そして新キャラ・女王サンダルシア。
18歳という若き君主が抱える未熟さゆえのもどかしさや、君主たろうとする真面目さに好感の持てるヒロインでした。
最後のシーンの成長とか胸熱・・・・・・彼女主人公の物語をスピンオフで読んでみたいなぁ。ライカがバカ売れすればワンチャン・・・!

 

万博を成功させ、世界的危機も乗り越えた第4巻。
宇宙開発の未来は明るいように思える幕引きでしたが、さて5巻はどうなるのか。
続きもとても楽しみです(「史上初の悲劇」という文字から必死に目を逸らす)(見ない!私は何も見てないぞ!)(怖い!)

 

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