眠れる聖女の望まざる婚約 目覚めたら、冷酷皇帝の花嫁でした/秋月かなで


眠れる聖女の望まざる婚約 目覚めたら、冷酷皇帝の花嫁でした (角川ビーンズ文庫)
眠れる聖女の望まざる婚約 目覚めたら、冷酷皇帝の花嫁でした (角川ビーンズ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2018年9月刊。
世界を救った聖女と、彼女が眠っているうちに政略結婚を決めた簒奪皇帝のロマンスを描いたファンタジー。
負けず嫌いな素顔を「聖女」の仮面で隠した主人公が魅力的な作品でした。
しかも祓魔のエキスパートでめちゃめちゃ強いので荒事シーンでも主人公大活躍なのがとても楽しかったです。
ヒーローとの関係は悪くなかったのだけど、先の展開が読めてしまうところは少し勿体なく感じました。

☆あらすじ☆
役目を終えた聖女の価値なんて…… どんとこい、政略結婚!!
『冬薔薇の聖女』シルヴィアは、封印の儀で世界に光を取り戻し、永遠の眠りについた――はずだった。15年後、なぜか目覚めたシルヴィアの前には、隣国の皇帝・アシュナードの姿が。「近すぎます不敬です!!」「政略結婚だ。諦めろ」聖女から一転、軟禁まがいの新婚生活!? 前途多難な帝国暮らしに鬱憤の溜まるシルヴィアだが、ある日不穏な“穢れ”をアシュナードの側で感じて……? 最強猫かぶり聖女のラブファンタジー!

以下、ネタバレありの感想です。

 

人々に対する脅威・瘴魔が増えすぎたことで、異常気象が続き狂い始めた世界。
そんな世界を救うため、「聖女」シルヴィアは封印の儀を執り行った。
世界を救う代償として覚めない眠りにつくはずだったシルヴィアだったが、それから15年後なぜか目を覚ましてしまう。
混乱する彼女の前に現れたのは帝国の皇帝・アシュナード
シルヴィアは衰退する母国のためにアシュナードと政略結婚することになるが、帝国では封印したはずの瘴魔の気配があり―― というのが本作のストーリー。

 

なぜシルヴィアは眠りから覚めたのか。
なぜ滅ぼしたはずの瘴魔がいるのか。

その2つの謎を追いつつ、物語は瘴魔退治に挑むシルヴィアの奮闘と、アシュナードとのロマンスを描いていきます。

 

この主人公・シルヴィアがとても魅力的なキャラクターでした。
楚々とした聖女の顔をして、その素顔は負けず嫌いで勝ち気な女の子。
でも根っこにあるのは「人々の役に立ちたい」という自己犠牲的な優しさで。
本人はそれを承認欲求だと卑下していたけれど、私にはいかにも聖女的な自己犠牲の精神に思えました。
ていうかほんと承認欲求って言うかこれ??献身の見返りに求めるのが「頭をなでてほしい」くらいなんですよ。どういうことなの無欲すぎでしょ。

 

そんなシルヴィアを強引に花嫁としたのがヒーローであるアシュナード。
彼の正体(?)については、まぁ少女小説を読み慣れた読者ならすぐにピンときたことでしょう。
だってめちゃくちゃわかりやすかったですもんね。あ!あのパターンね!って。ベタだけど好きだ!

 

それはさておき。

 

シルヴィアとアシュナードの関係は、出会い頭の舌戦から始まるマウント合戦がすごく楽しかったです。
両者共に相手を値踏みし、腹に一物も二物も抱えた応酬を繰り広げ、どうにか主導権を取ろうと動く。
そういうピリピリした距離感が面白い二人でした。
それだけに途中からアシュナードの勢いが落ちたのは残念だったかなぁ。
なんだか度々存在感が迷子になっていたような気もしますし。セリフがなくなると一気に画面から消えるかのよう。シルヴィアが喋りすぎなのか・・・?

 

とはいえ仄かに甘いロマンスは素敵でした。決定的なところまではいかなかったけどね。
シルヴィアが無自覚なまま終わったのは続きを作るためだって信じたいなぁ。
アシュナードが本気で攻めてシルヴィアの自覚を促すところをじっくり読みたいです。

 

それに、瘴魔についても全部解決したわけじゃないですし。このへんでも続きが出せそうな予感。

 

ところで陰謀の黒幕の正体は特に驚かったなかったのだけど、「覚めない眠り」の真相にはびっくりしました。
命と引き換えに世界を救った聖女への仕打ちなのか、これが。代償、実はめちゃくちゃ軽いんじゃん・・・!なんとも後味の悪い酷い話でした。

 

余談ですが、電子版SSがアシュナード視点から本編をざっくり振り返る話だったのだけど、これって電子版の特典で良かったの?と少し思ったり。
いや、読めた私は満足してるから良いのだけど・・・・・・これがあるのとないのとではアシュナードの魅力が全然違うような気がするんですよね。

 

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