七つの魔剣が支配する/宇野朴人


七つの魔剣が支配する (電撃文庫)
七つの魔剣が支配する (電撃文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2018年9月刊。
面白かったー!
「天鏡のアルデラミン」の宇野朴人さんの最新作は魔法学園ファンタジー。
底知れない闇が広がる魔法学校を舞台に、新入生たちは緊張感に満ちた学園生活をスタートさせるのです。
剣と魔法を駆使した派手なアクションも見どころ。
少女と少年が斬り結ぶ表紙のインパクトがすごいけれど、仲間たちの友情と共闘にも胸が熱くなる作品でした。
もはや期待しかない新シリーズ。次巻もとても楽しみです。

☆あらすじ☆
春――。名門キンバリー魔法学校に、今年も新入生がやってくる。
黒いローブを身に纏い、腰に白杖と杖剣を一振りずつ。胸には誇りと使命を秘めて。
魔法使いの卵たちを迎えるのは、満開の桜と魔法生物のパレード。
喧噪の中、周囲の新入生たちと交誼を結ぶオリバーは、一人の少女に目を留める。
腰に日本刀を提げたサムライ少女、ナナオ。
二人の魔剣を巡る物語が、今始まる──。

以下、ネタバレありの感想です。

 

キンバリー魔法学校に入学した少年オリバー=ホーン
入学の日に知り合った5人の同級生と友誼を深めつつ、オリバーは彼らと共に油断ならない学園生活を送ることになります。

 

いかにも「魔法学校」らしく、摩訶不思議な空間と異様な価値観に包まれたキンバリー魔法学校。

新入生の出迎えはお喋りな妖花と百鬼夜行的なパレード。
入学式では天地が逆転し、放課後の迷宮では怪物のような先輩が遅いかかってくる。
学生同士の戯れは時に流血沙汰となり、授業中の実験は大怪我と隣合わせ。そして2割の生徒は卒業までに命を落とす――

「好きなようにやって好きなように死ね」という校長の脅しとも激励ともつかない言葉が、そのままキンバリーの校風を表しているのです。
オリバーたち新入生は日々の生活の中で身をもってそれを実感していくわけだけど、その恐ろしいはずの日常に私はワクワクが止まりません。
絶対に自分は行きたくないけれど、この学園で起こる冒険の数々から目をそらすこともできないのです。

 

魔法学校ものであると同時に、学校の外に広がる魔法社会を描いているところも面白い。
箱庭であり社会の縮図でもあるキンバリーの日常を通して、魔法社会が抱える問題に正面から向き合うオリバーたち。
亜人種の権利を巡る人権派と保守派の対立は根深いし、他にも恐らく様々な問題を抱えていそうな様子。
そして、そこから浮かび上がる「魔法使い」たちの価値観の衝突も実に興味深いものでした。
いやぁ人権派の見本的なキャラクターとしてカティを出しといて、あんな結末を用意するとかねぇ・・・・・・そういう意地悪な作風、とても好きですよ!
普通人の良識とか常識を基準に物事をはかってはいけないのです。だってここは魔法使いの世界だから。

 

学園生活で様々なトラブルに巻き込まれ、時に傷つき、慰めあい、称え合いながら絆を深めていくオリバーと仲間たち。
彼らの友情の物語としてもすごく面白かったです。
前作もそうだったけれど「仲間」の描き方が本当に理想的で素敵。
特に死にたがりのナナオを案じ、「仲間」として叱咤するシーンが大好きです。
厳しいことを言うけれど、ナナオを否定せずに彼女に他の道を示す優しさが良いんですよねぇ。
とりわけ包容力の権化みたいなシェラが最高にタイプ。悪役令嬢みたいな髪型してるくせに(偏見)、バブみが半端ないなこの子。

 

この仲間たちはきっと今後も長い時間を共にし、多くの困難を一緒に乗り越えていくのでしょう。
カティやナナオ以外のメンバーの掘り下げも今から楽しみです。
今回は冷やかし要員気味だったガイとピートはこれから化けるに違いない。

 

さて、掘り下げといえば主人公のオリバー。
器用貧乏で、コメディが上手ではなく(笑いを分析されて解説されることほど無粋なものはない・・・ドンマイ)、世話焼きで、頼りがいのある少年。
そのソツのなさには最初から裏があるように感じていたけれど、ラストを読んで納得しました。
これは彼の復讐の物語なんですね。
彼がその道を突き進むのならば、いつか仲間とも衝突するときが来るのでしょうか。
ナナオとオリバーが初めて剣を切り結んだシーンみたいな「殺し愛」の話になるのかな。
ナナオはまた「仕合わせ」を求めることになるの? そのとき他の仲間はどう動くのだろう。

 

ううむ、そのへんとても恐ろしいです。めちゃくちゃドラマチックに悲劇を描きそうだもの、宇野さん・・・・・・
ああでも読まずにいられません。続きもとても楽しみです。

 

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