宮廷女官ミョンファ 太陽宮の影と運命の王妃/小野はるか


宮廷女官ミョンファ 太陽宮の影と運命の王妃 (角川ビーンズ文庫)
宮廷女官ミョンファ 太陽宮の影と運命の王妃 (角川ビーンズ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2018年9月刊。
面白かった!
少女小説では珍しい韓流(風)ファンタジー。
朝鮮風の小物や用語が飛び交う世界観が、韓流に馴染みのない私には新鮮で楽しかったです。
そしてストーリーはとても読み応えがありました。王道の宮廷政争劇なのだけど、緩急のつけ方が巧みで最後まで飽きることなく一気読み。
キャラも良かったです。特に、自分の生き方を見極めようとする誇り高いヒロインがめちゃくちゃ格好良い。逆境にあればあるほど光り輝くような、毅然とした姿がとても美しい女性でした。
恋愛要素は比較的薄めかもしれないけれど、心理描写が丁寧なので満足。
でも続いてほしいなぁ〜。冒頭のシーンにたどり着くまでの過程が見たい!シリーズ化しますように!

☆あらすじ☆
王とともに歴史を変えた少女ー―出逢いと運命の韓流ファンタジー!
宮廷女官のミョンファは出世を目指すも上官から目の敵にされていた。そんな時、宮中で出逢った美麗な青年武官に、奇妙な取引を持ちかけられると翌朝、王の寵愛を受ける””承恩尚宮””として王の側室候補を命じられ!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

没落両班の娘であり、衣装などの仕立てを行う針房部に所属する女官・李明花
後苑で武官に扮した太伯国王・に目をつけられた明花は、側室候補「承恩尚宮」に取り立てられたことで、3代の王にわたり垂簾聴政を続ける大王大妃との政争に巻き込まれていくー というストーリー。

 

宮廷ものでは割とよく見る「王VS王太后」という構図の権力争いを描いた本作。
大まかなストーリーは王道で、急展開に次ぐ急展開でサクサクと話が進んでいきます。
それでいて各場面で明花が印象に残るセリフや行動を残していることもあり、決して薄味には感じませんでした。駆け足気味でもしっかりと物語を楽しむことができるのは嬉しい。

 

なかでも印象的だったのは、元上司を庇うために明花が大王大妃の前に飛び出してしまうシーン。
罰として指を潰すと言われ「何本ですか?」と返すくだりは、明花の肝の据わりっぷりに戦慄しました。
このシーンが最も象徴的なのだけど、明花は自分を強く持った女性なんですよね。
針仕事のプロとして、かつての貴族(両班)として、そして、偽りであっても承恩尚宮として。
明花は決して周囲の空気に流されず、たとえ自身に不利になろうとも自分のあるべき姿を見失わないのです。
誰が相手であろうとも、言うべきことはハッキリ言うし、やるべきことはやり遂げる。
どんな時でも、明花は自分を弁え、自分に恥じない道をいくし、それを自然体でこなしてしまう。
彼女自身は自分を未熟だと思っているけれど、ここまで完成された女性はいないと私は思います。
背筋をピンと伸ばし、強い瞳で真っ直ぐに前を見つめるようなイメージ。そんな格好いい主人公でした。

 

明花と、彼女に惹かれていく眞とのロマンスも良かった。
あとがきではラブコメに苦手意識を持っているようだったけど、言うほどかな?
確かに糖分という意味では薄めかもしれないけど・・・・・・
塀の中から民を考えることができる王と(未来の)王妃の、同じ方向を見つめて並び立つような雰囲気、私はとても好きです。
ラストは苦境を乗り越えた戦友みたいな雰囲気があって良かったし、「畑作王」呼びの気安さと照れが混じる感じも可愛いかったですし。
甘けりゃいいってものじゃないんだ。無理にラブコメを頑張らなくても良いと思う。今のままで十分に自然な甘さが出ていますよ!少なくとも私はそう思う!!

 

ラブコメといえば部下2人の明花への反応が少し逆ハーっぽいムーブ出してて、そこはまぁ要らなかったかなーとは思ったり。これは完全に趣味の問題ですが。

 

韓流の世界で王道の少女小説を楽しめる作品でした。
大王大妃との直接的な対決がなかったのは少し残念だったけれど、父が託したものを娘が受け取り、それを王へ届けるというクライマックスは胸を熱くさせる感動がありました。
やっぱ王道はいいな。丁寧に作ってあるなら尚のこと良い。

 

とまぁ、最後は大満足で読み終えたわけだけど、如何せん(私が)韓流に馴染みがないため、単語の読み方などで戸惑う場面は多かったです。正直な話。
中華ものと違って漢字だけで読みを推測できないのが割と読んでて引っかかる。まぁフリガナは多めに振ってあったとは思うのですが・・・・・・こればっかりは慣れの問題があるからなー。

 

でも、中華モノと似た雰囲気でありつつ(中華ものに馴染みがあれば宮廷のシステムは理解しやすいので助かった)、朝鮮の世界を感じるのは新鮮で楽しかったんですよね。チマチョゴリ可愛いし、武官の戦笠もかっこいい。
少女小説界隈は平安もの中華もの西洋ものの3択しかないような現状なので(たまに現代ものもあるが)、これを機に韓流ものも増えたらいいのになー、と思いました。そうすれば世界観に最初から馴染めてスラスラ読めるようになるだろうし!

 

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