スピリット・アームズ・オブリビオン 君と剣聖少女の未完成な現実/本山葵


スピリット・アームズ オブリビオン 君と剣聖少女の未完成な現実 (角川スニーカー文庫)
スピリット・アームズ オブリビオン 君と剣聖少女の未完成な現実 (角川スニーカー文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2018年8月刊。
フルダイブ型VRゲームで出会った、ある問題を抱える少女と彼女に憧れる少年。
少年が無謀なクエスト依頼を受けたことから、二人の関係は動き始めるのです。
仮想現実と現実という2つの世界が存在する意味を、ヒロインの特異性に絡めて描こうとする点が面白い作品でした。これは確かに難しい問題だと思うと同時に、その難題を通して距離を縮める少年少女の姿が素敵。
ただ、惜しむらくは文章がいまいち私と相性良くなかったことかな。視点人物はもう少し固定してくれた方が好みなのです・・・

☆あらすじ☆
あなたの目の前にいる私は、誰ですか?
世界で初めて痛覚を搭載したVRゲーム「スピリットアームズ」。そこに入り浸っている高校生、関場宏介の周りには『末次文音』が2人いた。
1人はゲーム世界で最大ギルドのマスターであり、聖女と讃えられる少女。
そしてもう1人は、入学以来クラスの誰とも話したことがない同級生。
相反する2人はとても同一人物とは思えなかったが……。
ゲーム内では他の追随を許さない剣士である文音と偶然パーティを組むことになった宏介は、たった2人で碧竜を倒すというクエストを通じて彼女の””秘密””を知ってしまう。
その秘密はやがて、スピリットアームズの世界と彼らの現実を揺るがす事件の引き金となっていき――!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

精神転送技術が普及した未来の世界で、VRゲーム〈スピリットアームズ〉をプレイする高校生・関場宏介
宏介が所属するギルドのリーダーであり、彼の憧れであり、現実世界のクラスメイトである少女プレイヤー・末次文音

現実世界の文音とうまくコミュニケーションを取ろうと奮闘する一方で、宏介は仮想世界の文音が出したクエストを受けたことから彼女と交流を持っていくことになるのです。

 

「人の顔が覚えられない」とか「記憶が持続しない」問題って他でも見たことがあるけれど、それをVR技術に絡めて描くところがユニークで面白い作品でした。

家族以外の人間を覚えることができず、孤独を強いられる現実世界。
誰かのことを記憶することができ、孤高であっても孤独ではない仮想現実の世界。

2つの世界で異なる状況にある文音は、同一人物でありながら別人格のようなもの。
最初は仮想現実で仲良くなっても、記憶を現実世界に持ち込めないことをじれったく思ったのだけど、これが終盤にかけて物語に読み応えのあるドラマを生んでいたと思います。

あと、「宏介に好意を持つ仮想世界の文音」と、「そこまでは至らず置いてけぼりな現実世界の文音」の落差が可愛くって(笑)
文音の抱える問題は依然として深刻なのだけど、二重人格ラブコメ的な面白さがあるんですよね。
ラストの手紙とか、自分で自分をからかって遊ぶという倒錯感(?)にニヨニヨしてしまった・・・・・・まぁその後の「忘れたくないよぉ・・・」に心を抉られるんですが。

 

試行錯誤しながら文音に近づき、彼女のために懸命に走った宏介は格好いい主人公でした。
無自覚鈍感系だけど、文音に対してめちゃくちゃ一途なのが良い。
二人の文音の存在を認識してからの、「現実の末次文音を置き去りにできない」という決意は素敵でしたし。
現実世界では顔を覚えてもらうまで(記憶を蓄積させるために)諦めずに話しかけ、仮想世界では実力者の文音に並び立てるように諦めずに鍛える。
序盤は仮想世界の文音ばかりに目が向いていた宏介が、最後には両方の文音のことをちゃんと考えているところに彼の成長を感じて・・・・・・うんうん、こういうの良いな。

 

宏介と文音をサポートする(サポート・・・してたよね・・・?トラブルメイカーな印象も強いw)二人の悪友たちも楽しいキャラクターでした。
親友キャラが「うちの子はー!」って保護者ムーブかますの好きなんですよねぇ。仲良しこよし。
あとバロールとイルってくっつきそうだし、まさかWカップル制になるんです??それはそれで面白いのでもっとやりましょう(趣味)

 

SF的世界観の中で難病青春モノをやるという試みが楽しい作品でした。
ただ視点人物はもう少し固定してほしかったかな。視点を切り替えるならせめて一行空白をあけてほしい・・・・・・誰の心情を書いてるのか、ちょくちょく分かりづらいところがあったので・・・・・・

その点以外は不満なしです。次巻もあるかな?期待してます。

 

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