勇者の娘と猫かぶりの魔王様/柏てん


勇者の娘と猫かぶり魔王様 (一迅社文庫アイリス)
勇者の娘と猫かぶり魔王様 (一迅社文庫アイリス)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2018年7月刊。
勇者の娘に恋した魔王が、なんとか彼女に好きになってもらおうと奮闘するラブファンタジー。
しっかり者で自立心の強いヒロインが、甘えん坊ワンコ系ヒーローのお世話係になるという話です。
規格外な新人に振り回されるヒロインの苦労っぷりは同情するけれど、好きになってもらおうと頑張って空回り→ヒロインに怒られてしゅんとする→諦めずに頑張ってまた空回り、というヒーローはとても可愛くてニヨニヨしました。
終盤が駆け足だったのと、ヒーローの恋の始まりとなるエピソードが物足りなく感じたのが惜しかったかな。

☆あらすじ☆
魔王を倒した勇者の娘であることを隠し、ギルドで鑑定士として働くアデル。ある日、冒険者志望の謎めいた青年ディルの世話係をすることになるのだけど、妙に懐かれてしまい……。実は彼の正体は次代の魔王で、目的はアデルを嫁にすること――なのだけど、アデルはまったく気づいていなくて!?
「そんな、子犬みたいな目で見てもダメなんだから!」
魔王様は勇者の娘を御所望?
静かに暮らしたい勇者の娘と一途な魔物のお仕事×冒険ラブ★

以下、ネタバレありの感想です。

 

フリーのアイテム鑑定士としてギルドで働く勇者の娘アデルは、ギルド長の頼みで冒険者志望の青年ディルの教育係を引き受けることになる。
しかしディルの正体は、アデルの父が倒した先代魔王の後を継いだ当代の魔王。
アデルに恋するディルは、彼女の心を手に入れるために必死にアデルを振り向かせようと奮闘するのだがーー というストーリー。

 

アデルに好きになってほしくて必死に自分をアピールするディル。
ディルが頑張れば頑張るほど、その規格外で常識外れな行動に真っ青になるアデル。

健気なディルの頑張りは空回りし、必死に諭すアデルは怒ることにすら疲れてしまう。
そうしてアデルに怒られたディルはしょんぼりと落ち込んで・・・・・・という堂々巡りな空回りを続けつつ、ズレつつも距離を縮めていく二人の関係がコミカルに(時にシリアスに)描かれていきます。

これが面白かった。

なんといってもディルが可愛いんです。タイトルが「猫かぶり」だから幼気なふりして腹は黒いタイプか!?と身構えていたのだけど、ディルは腹芸ができるタイプではなく裏も表もない甘えんぼワンコでした。
テンション上がりすぎてアデルに抱きつくシーンとか、ぶんぶん振り回されるしっぽが幻視できるレベル(全くそんなことは書いていないのに!)だし、アデルに怒られてしゅんとしてるシーンは耳としっぽがぺしょっとなってるようにしか見えなくて(※ディルには耳も尻尾もない)
アデルの怒りがなかなか持続しないのも分かりますよね。これは絆される。ダメな子ほど可愛いの王道キャラクターだ・・・!

 

アデルの方もディルに振り回されつつ、なんだかんだディルの面倒を放り出すことはできない面倒見の良さが印象的でした。
前半は弟を世話する姉ムーブが強かったのだけど、最初にディルの姿に目を奪われたり、昔ディルの存在を察知していたエピソードがあったりと、姉的な好意が恋愛感情へと移っていく伏線はちゃんとあったと言えるのかも。もう少し心の動きを丁寧に追ってほしかった気もするけれど。特に終盤。
魔王の正体バレを引っ張った割にあまり大きな弊害にならなかったですしね。

 

あと惜しかったのは、ディルがアデルを好きになった経緯の描写があっさりだったことかな。
監視任務で見守るうちに惹かれた、というのは素敵なのだけど、もう少しなにか具体的なエピソードがほしかったです。回想シーンはさらっと流されましたし。その当時のディルの心情描写が物足りない。
なんでそんなにヒロインが好きなの?の説明は恋愛モノで一番頑張ってほしいところなんですよね、個人的に。
ううむ、でもこれはアデルとの直接の接触はなかったことを考えると仕方ないのかもだけど・・・・・・うーん・・・・・・

 

不満な箇所もあったけれど、全体的には綺麗にまとまっていて楽しく読める作品でした。
エピローグ的に読み切りかな。次回作も期待しています。

 

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