華仙公主夜話 その麗人、後宮の闇を討つ/喜咲冬子


華仙公主夜話 その麗人、後宮の闇を討つ (富士見L文庫)
華仙公主夜話 その麗人、後宮の闇を討つ (富士見L文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2018年7月刊。
謎めいた美貌の公主と、吝嗇家の若き宰相が協力し、次期皇帝を狙う呪詛騒動に立ち向かう物語。
酒楼の女主が商都の夜に悪党を討つ、という武侠要素あり。
愛憎と権力への欲が入り交じる中華後宮要素あり。
そして仙人の加護が間もなく途切れてしまう斜陽の国が舞台という中華ファンタジー要素ありな作品です。
腕っぷしが強く火力高めなヒロインは格好いいし、だんだん化けの皮がはがれてくる(?)宰相閣下は楽しいひとでした。
綺麗に終わっているけれど、もし続くなら壮大な国家再建物語になりそうな予感。期待したいと思います。

☆あらすじ☆
初代皇帝が仙人の力を借りて建国したという伝説を持つ基照国。
絶世の美女ともてはやされる酒楼の女主・祥明花のもとにある日、若き宰相の李伯慶が訪ねてくる。
実は明花の正体は、先帝の落とし胤と噂の姫・華仙公主。伯慶は滅亡寸前の国と幼い次期皇帝・紫旗を守るため、明花に協力するよう取引を持ちかけてきたのだ。
国はどうでもいいが可愛い紫旗は助けたい。その一心で、きな臭い伯慶の誘いに乗ることを決めた明花だったが……?
腕力系公主と腹黒宰相の凸凹コンビ、果たして傾国を回避できるか!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

史上最年少の若き宰相・李伯慶は、次期皇帝である紫旗に危険が迫っていることを知ってしまう。
そこで彼は、公式記録に残っておらず、行方も定かでない謎めいた美女・華仙公主に頼ることを決意する。
その華仙公主とは、商都である桂門で酒楼を営みつつ、夜は仲間とともに悪党を討つ麗人・祥明花のこと。
最初は粘着質な伯慶の来訪にうんざりしていた祥花。しかし、何よりも大切な弟である紫旗のため、伯慶と協力することになるのです。

 

仙人絡みの建国神話や、仙人との契約が満期を迎える問題、仙人や道士による呪詛など、中華風ファンタジー要素満載な本作。
なんといっても主人公からして半仙です。
こうなると、不思議な術が飛び交う神秘的な物語を予想してしまうものなのだけど・・・・・・違いましたね。物理こそパワー!

 

半仙とはいえ霊力はなく、問題は人並み外れた腕っぷしで解決する明花。
後始末は「とりあえず燃やそう」という発想なので物騒なこと半端ないです。
この世のものとは思えない美貌の持ち主なのだけど、とにかく武闘派なので色気的なモノはなく・・・・・・姐さん!と呼びたくなる女傑でした笑

 

そんな明花と協力体制を敷くことになる伯慶。
この人もまた最初のイメージとは違うキャラだったかなー
途中までは腹黒く、クールで、理知的なエリートって感じだったのに。
霊力持ちであることがバレ、素性がバレ、ついでに「犬」呼びが定着したあたりでクールのイメージは完全にお亡くなりに・・・・・・
下町の少年っぽい喋り方のせいで年齢まで行方不明になってしまったような。これは「若造」「青二才」呼ばわりも致し方ないでしょう(しかし対する明花はいくつなんだ?)

 

とはいえ、伯慶の腹黒さだけは如何なる時も失われず、時に明花すら引いてしまう狡猾さを見せるところは良かった。
最年少宰相の面目躍如といったところでしょうか。敵に回すと面倒臭そうな感じがありありと。
それでいて、彼の滅私奉公な思想はいっそ清々しく、終盤で夢を語る姿はとても素敵でした。

次期皇帝である弟のため世直しに励む明花は国の未来を諦めていて、出自を偽る腹黒いエリートの伯慶は国家再建の理想に燃えているという、凸凹な関係性も面白いんですよね。伯慶、効率厨みたいなところあるのに、語る夢が壮大で青臭いところホント良い。
吝嗇家なキャラも可愛かったので、なんだかとても応援したいヒーローでした。

 

さて、紫旗が巻き込まれた騒動は無事に解決したけれど、仙人との100年の契約は期限切れ間近。
根本的な問題は未だ解決していないので、どのようにでも続けられる作品だと思います。
色々と意味深に語れた明花の素性も更なる掘り下げがほしいところ。もちろん凸凹コンビの再結成も楽しみです。
というわけで、シリーズ化を待ちたいと思います。

 

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