華耀後宮の花嫁 時を越えたら、溺愛陛下!?/山崎里佳


華耀後宮の花嫁 時を越えたら、溺愛陛下!? (角川ビーンズ文庫)
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評価:★★★☆☆
2018年7月刊。
年下の王子の妃に選ばれた庶民育ちの公主が、火事に巻き込まれて逃げた先は10年後の未来。
そこで皇帝になった元少年と再会した彼女は「なぜ自分が10年の時を超えたのか」という謎に隠された真実を知ることになるのです。

前半は文章が合わなくて難儀したのだけど(前作は良かったのに)、後半で明らかになる様々な真相が面白い作品でした。
色々思うところはあるものの、あとがきに書いてある挑戦は買いたい。続編が出るなら読みたいです。

☆あらすじ☆
一晩で十年経ち、年の上下が逆転!?目指すは脱・花嫁の中華ファンタジー!
隣国の第三皇子、朔耀(10歳!)に輿入れした公主・翡翠。逃亡するはずが怪しい廟に閉じ込められ、一晩かけて脱出すると、十年が経っていた! しかも朔耀は年上で皇帝になっていて、翡翠を妃にすると言い出し!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

おねショタカップルがタイムトリップを挟んで年齢逆転。
お姉さん気質が抜けないお子様ヒロインと、子どもっぽい執着を見せつつ大人になったヒーローの転倒した関係を楽しむラブコメだと思います。とりあえず前半は。

 

この設定自体は楽しいのだけど、個人的にはおねショタ時代の描写がもう少し欲しかったなぁ、と。
少年朔耀が翡翠に惹かれる描写が冒頭の一目惚れだけなので、自分を見捨てて逃げる気満々の女に対して、必死に引き止める姿をみて不憫でたまらない気持ちになるんですよね。誰も味方がいないから、こんな薄情な女にしか縋れないのでは?と思ってしまう。
だって翡翠ってほぼ自分のことしか考えてないし、正直、序盤はヒロインとしての魅力皆無じゃないですか。
なぜ朔耀は翡翠じゃないとダメなのかという描写をもっと頑張ってほしかったんです。

 

とは言え、火事場の窮地で二人に絆が芽生えるシーンはとても良かった。
あの約束を交わした瞬間は、翡翠を強く求める朔耀とそれに応えようとする翡翠の心が初めて繋がったように感じられたので。
うんうん。とてもロマンチックで素敵な場面だったと思います。

 

が、このシーンで盛り上がった気持ちは次のシーンで急速落下。
朔耀は「他に嫁をとらない」という約束を(体感で)即座に破ってるし、対する翡翠は「約束破られたからノーカンで」っていう冷めた態度とか・・・・・・え、待ってあの約束なんだったの??
いや、仕方なかったという朔耀の事情は理解できるのだけど、こう、ね、モヤモヤっとするんですよ。私はね。
しかも翡翠に似た容姿で同じ名前の妃を5人も揃えたの?
亡き翡翠の面影を求めたということなんでしょうけど、なんだかんだ言ってめっちゃハーレムライフを満喫してたんじゃん。と私が思ってしまうのは仕方ないと思うんだ!正直ちょっと引いた。

 

微妙な感想になってきましたが、これは全部序盤の話。
なんだか合わない前半を乗り越え、「なぜ翡翠は10年の時を超えたのか」という本題に入っていく後半のストーリーはとても面白かったです。途中で投げなくてよかった!

 

神仙の加護を与えられた国が抱える歪みが、翡翠に与えられた謎かけに繋がっていく、というのが良いんですよね。

皇帝よりも信仰を優先する道士たちは危うい存在であり、それを警戒する武官の現状認識は正しいけれど間違っている。
そして、皇帝は加護を得るための存在でしかなく、挿げ替えるためなら命すらも軽んじられる。

一見すると全く素敵な国には見えないのだけど、ラストで翡翠が出した答えはとても納得できるものでした。
このへんは伏線が絶妙だったな〜
朔耀を助けることに血眼になりつつ、最終的には広い視野を感じる答えだったのも良い感じ。

 

翡翠と朔耀の身に起こった現象も面白い。
おねショタ逆転だけでなく、皇帝と妃という立場も逆転した二人。
一見パワーバランスが崩れたように見えるけれど、翡翠は庶民感覚しか持てない自分を弁えているし、朔耀はそもそも帝位に執着してないから上手くバランスをとれているのでしょう。
どちらかが負い目を感じるわけでもなく、二人三脚の対等な関係になっているのが夫婦ものらしくて楽しくなりました。

 

モヤモヤしてた約束の件も最後にちゃんと回収してくれたから良かった。
破られても仕方ないと思える軽い口約束ではなく、互いへ愛と人生を捧げ合う固い誓約へ。
序盤で溜め込んだ不満も、ラストの二人を見れば「まぁいいか〜」という気分になりました。
おかげさまでスッキリ読了。楽しかったです。

 

ただ、謎かけに出てきた他の2か国の存在が放置されているし、暗躍していた皇太后も放置されているので、続刊がないと中途半端な部分もあります。
ぜひシリーズ化してほしいものです。
特に「王に連なる者が妖魔を操る力を持つ国」はヤバそうな気配がぷんぷんと・・・!

 

余談。
謎かけの内容自体はともかく、灯謎の文章は読みにくいと感じました。
あれを一瞬で覚えるの確かに無理でしょうね。語呂と語感が良くないんだよなぁ。

 

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