イレーナ、闇の先へ/マリア・V・スナイダー


イレーナ、闇の先へ (ハーパーBOOKS)
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前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2018年6月刊。
元死刑囚の少女が大切なものを守るために戦い続ける壮絶ファンタジーの新章第2巻。
前巻に引き続き、イレーナとヴァレクのW主人公制で物語は進行していきます(やったねジェンコ視点もある!)
前巻で語られたヴァレクの過去がこの巻で現実と繋がり、ヴァレクの主人公感がますます強まる一方。
前3部作では「無敵にして不動のヒーロー」という感じだったのに、新3部作では人間的な弱さや脆さが浮き彫りになっているんですよね。そこに惹かれる。
身体的にも精神的にも揺れ動くヴァレク。そんな彼を、今度はイレーナが支える番なのでしょう。
国家間の情勢も不穏で緊迫したムードが高まってきました。次の完結編が待ち遠しいです。

☆あらすじ☆
何者かに毒矢で射られたあと魔力を失ったイレーナ。いまだ力は戻らず、その原因も解明できないまま試練の時が続いていた。そんななか、長年苦楽をともにしてきたヴァレクと最高司令官の間の溝はいよいよ決定的に。ヴァレクは苦悩の末、ついにある大きな決断を下す―。交錯する思惑と、その裏で蠢く陰謀…怒濤の展開でクライマックスに向け加速する、“霊魂の探しびと篇”第2幕!

以下、ネタバレありの感想です。

 

イレーナの妊娠発覚。

イクシアとシティアの間で緊張が高まり、イレーナ自身も命を狙われている状況では、確かに素直に喜べるニュースではないのかも。
それでも「さっそくお祝いしたい」「もちろんお祝いしなきゃ」って言ってくれるヴァレクほんと好きってなりました。イレーナが不安を感じているだけに、尚更です。

しかも内心では「自分が父親になること」にウキウキソワソワしているヴァレクが描かれるとか・・・・・・

 

もぉーーーーこの暗殺者可愛いんですけどーーーー????

 

前巻もそうだったけどヴァレク視点になるとヴァレクどんだけイレーナが好きなんだよ!ってツッコミたくなります。
家族を奪われ、残った家族も切り離し、冷たい暗殺者として生きてきたヴァレク。
そういう生い立ちがあるから、温もりを与えてくれたイレーナを何より大事にしたいっていうのは分かりますけどね。8年で更にその気持が強まったようですし(空白期間の短編が読みたい)
ヴァレクがイレーナと新しい家族を作れますように・・・・・・どうか幸せになって・・・・・・

 

ただ、そういう風にイレーナへの気持ちが強くなりすぎたヴァレクだから、最高司令官との信頼関係を維持できなくなったのか。

これについては「ヴァレクのイレーナ優先が目立ってきてたしなぁ・・・」と納得する気持ちと、「本当に最高司令官はヴァレクを切ったの?」と疑う気持ちが半々というところ。
イレーナと最高司令官を天秤にかけて、迷わずイレーナを選ぶところはグッときたけれどでもハートの傷ってどうなのダサくないか
でも、最高司令官とヴァレクの信頼関係が壊れるのは嬉しくないんですよね・・・・・・
ヴァレクとイレーナの間でも最高司令官に対する見方は違うようだし、真相はどこにあるのでしょうか。

そもそも魔術師嫌いの最高司令官が胡散臭いオーエンと手を組んでるっていうのがなぁ。ああいうタイプ、嫌いそうなのに。
なんだか更にややこしい事態が隠れてそうな予感が。
今回でブルンズがみせた「薬物と魔術の合わせ技で洗脳」っていう手法もあるわけだし、最高司令官がどこまで自分の意思で動いてるか分からないですよね。
あるいは、最高司令官の方がオーエンをうまく利用しているとか? うーん。

 

後半で最高司令官がヴァレクを「嵐の盗賊団」退治に行かせたのも、本当にヴァレクを遠ざけることだけが理由なのでしょうか。
そこでヴァレクが兄弟や家族と再会できたのは偶然なの?

最高司令官、個人的にはまだ信じていたい。
ヴァレクが防衛長官を退任するにしても、最高司令官と袂を分かつ感じにならないと嬉しいなぁ。円満に、円満に・・・・・・

 

それはさておき。

 

イレーナの妊娠と魔力喪失の関連性については未だ謎のまま。
こちらも憶測や仮説は色々立っているけれど、よく分からない状態ですね。
魔術が失ってもイレーナの芯の強さは変わらないとは言え、不便は不便だしキキは喋らないし(まさかのヴァレク通訳展開は笑ったけど嬉しかったです)

しかし妊婦とは思えないほど荒々しい扱いを受けてるなぁ・・・・・・特に食事面。あんなヤバそうなもの飲み食いして大丈夫?

 

イレーナにキャンセル能力が発現したのは胎児の影響なのでしょうか。
なるほどヴァレクの特質を受け継いだのかって一瞬納得しそうになったけれど、ヴァレクは逆に魔力耐性を失って魔力持ちになってるし何が何やら・・・・・・
あとがきで「イレーナとヴァレクの立場がこれまでとは逆転」と書いてるのはここのことですよね。
まさかヴァレクが魔術師になって(?)イレーナの誘導で魔力を使う日がくるとはなぁ。
今まではヴァレクがイレーナを支え導く側だったのに、今度はイレーナがヴァレクを支え導く側になるのかな?
少年時代ならともかく、今のヴァレクが誰かに物を習うって、なんだか見てはいけないものを見てる気分になってニヤニヤしますw

 

イレーナの妊娠、最高司令官との軋轢、家族との再会、能力の変化――
ヴァレクを襲う様々な激動が彼の心を剥き出しにし、内側から少しずつヴァレクという人間を作り変えているかのようでした。
きっとこれは良い変化に違いない。その先にイレーナと子供との幸せな未来が待っていると信じています。

 

ああ、でもその前にイクシアとシティアの衝突を食い止めなければ。
数少ない(しかし頼りになる)味方と共に、イレーナとヴァレクがどんな活躍をみせてくれるのか楽しみです。

 

余談。
イレーナ・ヴァレクのW主人公体制もいいけれど、ジェンコの出番がもっと増えると嬉しいな!

イレーナ、闇の先へ (ハーパーBOOKS)
マリア V スナイダー
ハーパーコリンズ・ ジャパン

 

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