後宮瑞華伝 戦戦恐恐たる花嫁の謎まとう吉祥文様/はるおかりの


後宮瑞華伝 戦戦恐恐たる花嫁の謎まとう吉祥文様 (コバルト文庫)
後宮瑞華伝 戦戦恐恐たる花嫁の謎まとう吉祥文様 (コバルト文庫)

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2018年6月刊。
後宮を舞台に、毎回テーマを変えながら謎と愛憎と陰謀が描かれる中華FTシリーズの最新作。
今回は「吉祥文様」を愛する妃嬪と傀儡皇帝の恋の物語です。
皇帝カップルは皇太子時代のものを含めると3組めになるのかな。「後宮で恋をすることの苦しみ」を当事者視点で描かれると本当にきっついですね・・・・・・
読み応えがあって面白かったけれど、ハーレムへの苦手意識を再確認。こればかりは好みの問題だからなぁ。

☆あらすじ☆
冷遇されていた皇子、高垂峰は悲願の玉座にのぼった。しかし実際には太上皇の傀儡で、名ばかり皇帝に甘んじる日々。競って媚びを売る後宮の美女たちにも全く興味を持てずにいた。風変わりな妃嬪・危夕麗を知るまでは。吉祥文様を愛する生き生きとした勝気な瞳に、垂峰はなぜか目を奪われてしまう。哀しき亡霊たちが彷徨う絢爛豪華な宮中で、恋を信じられない二人はやがて互いに惹かれ合い!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

父である祟成帝の傀儡として、名ばかりの玉座に座る皇帝・高垂峰
その後宮に住む最下位の妃嬪・危夕麗は、過去の失恋を抱えているため皇帝の寵愛に興味はなかった。
しかし、ある出来事から次第に垂峰と距離を縮めていくことになるのです。

 

垂峰って誰だっけ?と一瞬眼が泳いだのだけど、異母弟たちにやたら突っかかっていた人ですね。
あのときは「何だこいつ嫌なヤツだな」と思ったものです。でも、あの後で彼が歩んできた人生はこんなに重かったのか・・・・・・

悲願の玉座を手に入れるために犯した罪。
しかしその先に待っていたのは、父に逆らうことすらできない名ばかりの皇帝生活。

後宮シリーズのヒーローは結構アンニュイな人が多いのだけど、彼の厭世感は特にすごかったような気がします。
投げやりになることすら諦めた、心が空っぽで哀れな人って感じが・・・・・・

 

重い罪を背負う垂峰の心を知っていき、彼との絆を深めていく夕麗。
最初は勝ち気で天真爛漫系のヒロインかと思わせて、後で「実は意識して振る舞っていただけ」という弱さを見せてくるギャップにやられました。
幽霊が怖くてぎゃーぎゃー叫んでるあたりは特に何も思わなかったんですけどね。
愛する母を反面教師にしてきたという生き方を知れば魅力的に思えてくるヒロインでした。

 

そんな夕麗の恋。「後宮で恋をすること」の苦しみを理解しつつ、それでも抗えず恋に落ち、皇帝を独り占めすることができない自分の立場を悲しく思う姿が強く印象に残るものでした。

寵愛がいつまで続くか分からない。今宵は別の妃の寝所にいるかもしれない。あくまで妾にすぎない自分は「正妻」として隣に立てない――

こういう「ハーレムの一人にすぎない自分」に苦しむヒロインって本当にきついですね・・・・・・天下一不実という言葉の重みよ。
ただ、それだけに夕麗が苦しみながら恋をする描写は深く、読み応えを感じました。
好き嫌いは別として、とても面白かったです。

 

不実の宿命にある環境の中で、それでも純愛を育む垂峰と夕麗。
そんな二人の姿は健気だったけれど、垂峰が皇帝である限り別に問題が解決したわけじゃないんだよなって気持ちもあったり。こういうのが辛いんだよなぁ、このシリーズ。

 

また、序盤で明かされた青艶の末路といい、今回の一連の騒動といい、今回も後宮残酷物語は平常運転でしたし。
ぶっちゃけむごい話をすれば面白くなるでしょ?とか思ってるフシありません?
確かに面白いけど精神ガシガシ削られるんだよ〜〜!

 

夕麗の目の上のたんこぶだった妃が何人もひどい目にあって消えたことには「都合がいい残酷展開ですね〜」と少し気持ちが冷めたりも。
皇后とか何も悪いことしてないのになぁ。
余談ですが、皇后の存在があるせいか、なんだか妻公認の不倫ものを読んでる気分になりました。少しだけ。
あの「皇后の座は君のものだから安心しろ」っていうくだりの雰囲気とか・・・・・・うへぇ(不倫もの苦手マン)

 

うーーーーーーーーん、シリーズの中でも読み応えある内容でしたが、やっぱ皇帝回は地雷だな地雷
とても面白かったけれど、とても苦手です。
やっぱ後宮ドロドロ愛憎劇は第三者の視点から他人事っぽく描かれた方が気楽だなぁ。無責任な感覚ですけど。
次は皇帝回以外でよろしく・・・・・・あ、時代がさかのぼるんですね?
この後の皇位継承争いでゴタゴタする話はどうなるんだろ??

 

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