忘却のカナタ 探偵は忘れた頃にやってくる/新井輝


忘却のカナタ 探偵は忘れた頃にやってくる (ファンタジア文庫)
忘却のカナタ 探偵は忘れた頃にやってくる (ファンタジア文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2018年6月刊。
困った人だけが辿り着ける探偵事務所。その社長であり、「他者の内面世界に介入できる」異能を持つ探偵の活躍を描いた物語。
「探偵」とあるけれど推理小説というより現代異能ファンタジーとして読んだ方が楽しめる作品だと思います。
異能の使い方は面白かったし、キャラと設定は好みでした。
ただ、この1冊だと色々と消化不良な感じかな。続きに期待します。

☆あらすじ☆
その探偵は記憶を『殺す』。それでも少女は忘れられない恋をする
12階建てのビルの13階にあるという探偵事務所。忘却社。救済を求める者だけが訪れることができるというその場所で、社長代行・岬翼は「他人の世界」に入り込み記憶を『殺す』能力で人助けをしているらしい――。

以下、ネタバレありの感想です。

 

困ったひとだけが辿り着けるという十二階建てのビルの十三階にある探偵社「忘却社」。
噂によると、そこでは人の記憶を消してくれるという――

そんな「忘却社」の社長・岬翼と、その秘書(助手?)・三倉咲夜を中心に、物語は二人の出会いを描かれていきます。

 

この「忘却社」の設定は結構好みでした。
翼や咲夜が用いる《認識介入》という、他者の内面に存在する《固有世界》に侵入する能力
その《固有世界》が持ち主の認識に基づいていることや、そこから問題解決のヒントを手に入れていくのだけど、どういう風に世界を認識しているのかが分かれば、当人の考えも見えてくるっていうシンプルさが良いと思いました。推理じゃないですけどね。でも「見りゃ分かる」っていうのはアリだなって。
それと、その人の認識次第で固有世界がリアルタイムに変動していくというのもインパクトがあって楽しかったです。
「その人のことで頭がいっぱいになる」=「同じ人間だけで埋め尽くされた世界に変化する」とか。薄気味悪くてゾッとしましたw

 

キャラクター的には咲夜ちゃんが一番好きです。
いかにも行動力ある正統派ヒロインって感じが好き。後先考えないところが多くてハラハラするけれど、この度胸が物語を動かしているから良しとしたい。
一方で主人公の翼はまだ良くわからない。飄々としてるときほどブチ切れてるっていうのは好きだけども。
彼自身が自分をよくわかっていない様子なので正体不明感は仕方ないのかもしれません。

 

他にも色々とたくさん登場人物がいるのだけど、いずれも掘り下げ不足なので何とも言えません。
真森の話とか解決しないまま終わっちゃいましたしね。
元社長とのバトルもよくわからないまま始まって終わって「結局アレはなんだったの・・・?」って感じが燻ってます。

 

うーん。序章なのかな。序章なんだろうなぁ。

 

そもそも第一話と第二話以降って、「現在」から少し遡って出会い編スタートってことでいいんです?
記憶を消されて退場した元社長、しれっと第一話で皆と仲良くしてるんですけど・・・・・・これはネタバレ的な?
あんな風な決別を見せておいて、「でも後では仲良くするんですよ」って予め見せられるのって微妙な気持ちになるのだけど。

 

このへんの時系列が気になるのは、第二話の時点で翼にも咲夜にも消された記憶がある(?)という伏線が置かれてるからなんですよね。
翼が忘れてしまった会いたい人と、途中で咲夜がふと思い出した兄の存在が気になります。
もし第二話で出会う前に翼と咲夜が出会っていたなら(それを二人が忘れているなら)、第二話と第三話の章題がダブルミーニングになって面白いのになーとか思ったり。穿ち過ぎかなぁ。結局そのへんに触れることなく1冊終わってしまったから、何ともふわふわした感想になってしまいました。

 

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