八雲京語り 宮廷に鈴の音ひびく/羽根川牧人


八雲京語り 宮廷に鈴の音ひびく (富士見L文庫)
八雲京語り 宮廷に鈴の音ひびく (富士見L文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2018年6月刊。
面白かった!!
武家出身の姫が、年の離れた少年東宮に嫁入りすることから始まる和風ファンタジー。
公家と武家の争いに利用された即席東宮夫妻がリベンジを決意する物語です。

慣れない公家文化に悪戦苦闘しつつも、自分なりの戦いを見つけていく武家の最強鬼姫。
そんな彼女に鍛えられながら、劣等感を乗り越えて目覚ましい成長をみせてくれる少年東宮。

絶対的に不利な状況のなかを、二人は地道な努力を重ねて強者に立ち向かっていくのです。
そこから生まれるカタルシスがとても素晴らしい作品でした。

年の差カップルならではの微妙な距離感も美味しく、ただの協力関係から夫婦の絆が生まれていく姿にグッときます。
是非2人がリベンジを果たし全てを手に入れるところまで見届けたい。
シリーズ化を待ってます!

☆あらすじ☆
「お前を一人前の男にしたる!」姉さん女房の逆光源氏物語!
武士最強の娘・雲雀に持ち上がった突然の縁談。それは公家との和睦を示す東宮との縁組みだった。武家を継ぐつもりだった雲雀は大いに不満。さらに相手は一年限りのお飾り東宮、しかも自分より十も年下の少年で――?

以下、ネタバレありの感想です。

 

武家を束ねる一族・綱月家の雲雀は、武家の男たちすら相手にならぬ最強の「鬼姫」。
公家との戦いが続くなか、将来は自分が武家を率いるものだと思っていた雲雀。
しかし「公家との和睦の条件として東宮に嫁げ」と父に命じられたことから、雲雀はしぶしぶ公家の本拠地である八雲京に赴くことに。
内心では戦場で強者と認めた暮明との結婚ならば・・・と期待していたものの、夫となる相手は暮明ではなく10歳も年下の少年東宮・鈴鳴だった――

 

「自分よりも強い男」という好みからは遠い鈴鳴にがっかりし、密かに好感を抱いていた暮明が既婚者であることにがっかりし、更には自分たちの結婚は一時休戦の時間稼ぎにすぎないことを知りショックを受ける雲雀。
この序盤の流れ、雲雀に対する畳み掛けるような精神攻撃がとても鮮やかでした。私までちょっと凹んだ。
ほんのり期待させておいてこれはないですよ・・・・・・なんとむごいことを・・・・・・

 

鈴鳴は期間限定の東宮であり、戦が再開しても雲雀には帰る場所なし。
しかし最強鬼姫は黙って泣き寝入りするような弱い女ではないのです。

そう、見返すのだ。
自分を女だと侮って、敵に売り渡した武家も。
鬼姫だ、仮初の東宮の后だと笑っている公家も。
あとは、どうすれば一泡吹かせることができるか、その閃きだけ。

このリベンジを決意するシーン、とても良いです。
絶望的な状況に落とされてもなお「全てを見返してやる!」と叫ぶ不屈の魂が格好良い。
そして「お前を一人前の男にし、次の帝にする」という雲雀の無茶な要求に対して、負けん気に濡れた瞳で応える鈴鳴も良い・・・!

 

彼らの前に立ちはだかるのは、文武両道の天才・暮明と、有力公家の出身である妻・鎬雨。
鈴鳴が真の東宮になるためには暮明よりも帝に相応しいという評価を得なければならず、また、鈴鳴の評判を落とさないために妻である雲雀は才女と名高い鎬雨に勝たなければならない。

というわけで、物語は鈴鳴・雲雀VS暮明・鎬雨の夫婦対決の様相を呈していくのです。
ここで雲雀の(ふわっとした)リベンジ作戦がシンプルで分かりやすい構図になったのは上手いと思いました。

「うちは鎬雨に文で勝つ。ならきさんは、暮明に武で勝たんと」

八雲京の文化に慣れない雲雀は、作法も知らない歌合で鎬雨と対決し。
矢を的に当てることすらできない鈴鳴は、わずか20日の訓練の後に暮明と弓で対決する。

無茶振りだろ!と言いたくなるほど圧倒的不利な条件です。
しかし、不安を押し殺し、気持ちを奮い立たせ、夫婦は必死の努力と僅かな閃きを頼りに遥かに強いライバルに挑むのです。
まるで王道少年漫画みたいな展開ですよね。胸熱。夫婦対決っていうのが更に熱い・・・!

 

個人的には、雲雀の歌合がとても好きです。
相手の土俵で自分の相撲を取るような、強気な振る舞いが最高。
立つ戦場は変わっても「最強の鬼姫」は絶対に負けないのでしょう。
しかし「歌って面白いな!」ってウキウキしてる雲雀さんは可愛いかったなぁw

 

暮明への嫉妬に心を揺らしながらも、自分の戦いを貫いた鈴鳴も素敵でした。
全てにおいて優れた暮明を前に、劣等感を噛みしめる未熟な少年。
しかし苛立ちを抑え誘惑にも負けず、自分自身の努力と相方の心意気を支えに強敵に打ち勝ってみせる。もうっ、ほんと格好良いな!
そうやって手に入れた自信があるから「強い男?・・・・・・よく分かっているじゃないか」のセリフが光るわけですね。生意気〜!好き!!

 

ラストは鬼退治の話だったけれど、シリーズ化するなら今後も夫婦対決がメインになるのでしょう。
敵としては今回の黒幕よりも暮明と鎬雨の方が魅力的でしたしね。
パーフェクトヒューマンすぎて腹が立つ暮明はともかく、やたら人間くさい鎬雨は結構好きなんですよねぇ。あの夫には苦労してそうだし・・・w
鎬雨はタイミングが違えば雲雀と良い友だちになったのかもしれないけれど、お互いの立場的に今後も相容れることはなさそう?
残念ですが、好敵手として張り合ってくれることを期待するしかありません。

 

今後が楽しみすぎてワクワクが止まりません。
続刊はやくはやくー!

 

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